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【第1話】闘いの幕開け

~前書き~

この記事は、私の以前の仕事での経験を、小説っぽく描いています。かなりマニアックな内容ですが、割賦販売法、特定商取引法、消費者契約法、利息制限法などに触れて頂けるので、お役に立てると幸いです。

また、クレジット業界を取り巻く消費者問題について、『被害者にならないためのポイント』にも、触れさせて頂きます。

『消費者金融を訴えて過払金を返してもらえた』という話は世に沢山ありますが、訴えられた側が、『顧問弁護士に依頼せず、力技で悪あがきした』という話はあまり情報がないと思いますので、どうぞ、お楽しみ下さい。


1.訴えられる前には、必ずジャブが飛んでくる

「社長、また弁護士から受任通知の『内容証明郵便』が届いてます。」

花子(主人公の妻)は分厚い郵便物の束を、不機嫌そうに座右(主人公)のデスクの上に放り投げた。

「ほう、今回はまた、随分分厚いな。内容証明郵便の代金、えらいかけてるな。」

どうせ、いつもどおり、『過払金返還請求』の受任通知だろう。なにも、こんなにネチネチと書き連ねなくとも、ちゃんと対応しますってばよ。

内容は、座右が思っていた、『いつもの過払金返還請求』とは、少し趣きが違うものであった。

「ん?これ、貸金じゃなくて、割賦のほうの契約じゃね?割賦で過払金請求とか、この弁護士、ナニをアホなこと言うてんねん?」

【解説:貸金業法と割賦販売法、適用範囲の違い】



2.ジャブにはジャブで返しとく

座右は、第三者介入(顧客が法律家等に委任をして、その受任者が紛争に介入すること)の際に返信する定形フォーマットに、顧客名と、当該顧客との取引経過、債権残高を打ち込んだ。

「おっと、今回は過払金返還請求の対象外だと、ちゃんと書いておかないとな。」

座右は、定形フォーマットの一部をdeleteし、こう、付け加えた。

「本契約は、貸金業法の適用を受ける契約ではなく、割賦販売法の適用を受けるものである。よって、貴殿の主張には、理由がない。よって、当社が債務者に対し返還すべき金員は、何ら存在しない。」


3.ジャブのあとは、強めのパンチが飛んでくる

「社長、またこの間の山根さんの弁護士から、内容証明来てるよ。」

「は?また内容証明?こっちは郵便代ケチってFAXで回答したのに、ご丁寧にお金かけて内容証明使うとか、えらい豪気な弁護士や。」

またしても、随分分厚い書面である。

内容を確認して、座右は面食らった。

『当方の主張どおり、◯月✕日までに、依頼人が既に支払った、金67万8300円を返金しない場合、法的措置を執る用意がある。』

ええ?本気なのか?割賦販売法適用の契約に対して、過払金がどうのこうのと、本気で訴訟する気か?

「まあ、弁護士先生お得意の、単なる脅しだろう。」

まったく、弁護士ってやつは、『バッジ付けたヤクザ』や。

いや待てよ、ヤクザ屋さんも、お偉方はなんかバッジとか付けてるっけ?

帰りにツタヤで“仁義なき戦い“借りて帰ろかな。

「こういう時は、黙殺するのが一番や。おんなじこと繰り返して言ってきているだけだから、回答のしようがないし。」

座右はそう呟きながら、書類の束を、顧客『山根里美』のファイルに差し込み、書庫に仕舞うよう、事務員に指示をしたのだった。


4.いやいや、訴えるなら、はよ訴えなハレ

2カ月程経った頃、また、例の、鬱陶しい弁護士から、内容証明郵便が届いた。

文書の内容は、前回、前々回とほぼ同じで、末尾に、「これが最後通告」と、仰々しく書いてある。

最近の若い弁護士は、横着でいかん。

骨のある弁護士なら、電話かけてきて、こちらの雰囲気や力量を探りに来るものだ。

横着な先生は、『全部書面』でやろうとする。

恐らく、うちが吹けば飛ぶような地方の零細金融だからって、甘くみているな。

訴えるなら、さっさと訴えればいいのに。

内容証明だろうと、FAXだろうと、普通郵便だろうと、紙キレでウェイウェイ騒いだって、意味などない。

内容証明3発(内容は同じで末尾をちょろっと変えたもの)打って、債務者から結構いいお金、巻き上げてんやろな。

山根さんとかいうお客さん、会ったことあらへんからどんな方か知らんけど、お気の毒に。

山根里美(もちろん仮名)の顧客ファイルは、具を入れすぎたサンドイッチのようになっていた。


5.最近は、訴訟のハードルが下がっているようだ

最初の内容証明を受け取った日から、半年程過ぎたある日のことだった。

「失礼します。特別送達をお届けに参りました。印鑑をご用意願います。」

特送なんて、久しぶりだな。大概、和解で片づけてるハズなんだが。なんやろか?

【解説:特別送達について】


「うおおおお!本当に訴えてきよった。まじか(;´Д`)」


裁判所は、中部地方のとある都市の簡易裁判所であった。


「遠いなぁ~。厄介な案件抱えてしまったなぁ。」


最初、とりあえず内容証明でも送ってみて、相手の出かたを見る。

内容証明の脅しが効かないとなると、訴訟して勝てる可能性を探る。

訴訟を起こすかどうかの判断基準は、以下5通りであろう。

1.勝てる可能性が高いかどうか

2.持久戦に持ち込んで、相手と根比べして少しでも何か取れそうか

3.顧客からの手付金目当て

4.訴訟を起こすと和解してくれと言ってくるかもしれない

5.その他(その他については、追って触れます)


ともあれ、ここから、1年にわたり、座右社長の苦闘は続くのであった。

それは、訴訟経験などなかった座右社長にとって、大きな苦しみを伴うものであった。

だが、その苦しみを受け切り、乗り切った先に、咲き香る花の美しさもあるのだろう。


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ホームレス高校生→ブラック企業の跡取り婿→創業者一族の理不尽に反発して独立 苦労続きの人生をノンフィクションで綴り、あなたの励ましになりたい 過去を振り返りながら、人の優しさを思い出しています 人が輝く資本主義を体現する、力のある経営者を目指します 座右の銘は「不撓不屈」

コメント8件

宮咲さん
オレオレ詐欺を是非!
生活の知恵関連は守備範囲外なもので。

体験系、法律系にコロっといっちゃいますね☆
ということは、裁判の方は逆に購入予定ないって事ですか?それとも両方ご興味?
どっちでももちろんいいですよ。それでももうほぼ準備しちゃったから先に出品しますけど〜
ライフスタイルは主婦メインだからお気になさらないでね〜。
宮咲さん
裁判の話と、オレオレ詐欺の話、どちらも興味があります。

アップしていただくのを楽しみにしています。
裁判の方はさっき投稿しましたよ。誤字脱字あったらごめんなさい。よろしくお願いします。
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