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心のなかに物理的に踏み込む | 15分で考える音楽以前のこと(4)

足寄のゲストハウスぎまんちの儀間さんに、子鹿を撃って捌くところを見学させてもらった。すごくきれいで可愛い、生後半年ほどのバンビ。罠にかかっているところを、散弾銃で下顎を撃ち抜いて、首にナイフを入れてトドメ。よくある「改めて命に感謝」みたいな感想はわいてこなかった。自分で手を下していないからだろうか。首の肉の赤みを見て、美味そうだなと思った。

釣りで自ら魚を殺すときは、グチャッとした気持ちがこみ上げてくる。すまんな、お前らもおれを食っていいからな、南無三、腹が減るのは悲しいことだ、生きることだけで罪なのだ。魚の脳を破壊してエラにハサミを入れるときの、改めて「自分は動物で、世界は残酷だ」と思い直す瞬間が、好きというか気に入っているというか、忘れないでいたいと思う。

あと、単純に釣り上げたときの興奮は定期的に味わいたい。釣りは最高のギャンブル。15cmくらいのちんまりしたメバルでも、オラアアアアアアアって叫ぶもの。

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足寄で、自分一人でイギリスの田舎にあるような洋館を建てている人の敷地に案内してもらった。自分一人で!!!全部作ってんだって!!!ペンキ屋のおっさんが!!!儀間さん曰く「足寄のサグラダファミリア」。もう、本当にすごい。外観はもう完全にイギリス田舎のそれなのに、本人はイギリスに行ったことがないらしい。「俺のイギリス」を作っているのだ。鹿の剥製が3つ飾ってあって、そのうち1つは木彫りなのだ。言ってることがわからないだろ、実際に行ってもわかんないぞ。でも、あちこちに積まれている本や映画のスナップから、溢れんばかりの情念を感じることができる。ものすごい念がこもっている。しかも、庭もすごい。ハスカップ畑とか展望台とか。

この足寄のサグラダファミリアや、津別のシゲチャンランドのような、誰かの情念がエリアに具体化している場所が好きだ。南富良野の動画クリエイター・せいしゅう曰く、南富良野にも「サンタヴィレッジ」というおじさんが一人で作り上げた村があるらしい。ゼルダの伝説BotWの「イチカラ村」じゃん。本州にもそういうのあるのかな。北海道は手つかずの場所が多いから、新しい村とか作るのに適しているんだろうか。エリア、っていうのがたまらない。彼らの心のなかに足を踏み入れることができるのだ。

おれも、死ぬまでにぜったいそういう物を作りたいと思った。変なおじさんになります。

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15分みじけー。

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