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7/1開催「〜クラファン応援〜みんなに知って欲しい!性犯罪に関する刑法の今とこれから」*イベント報告レポート*

7月1日、ヒューマンライツ・ナウがウェビナーを開催し、好評につき増枠を重ね約100人もの方にご参加いただきました。

テーマは「〜クラファン応援〜みんなに知って欲しい!性犯罪に関する刑法の今とこれから」。フリーアナウンサーでHRNプロジェクトサポーターの佐々木真奈美をファシリテーターに、Voice Up Japan代表の山本和奈さんライターの小川たまかさんヒューマンライツ・ナウ伊藤事務局長が、日本の性犯罪に関する刑法改正の重要性をお話しいただきました。

トップバッターは、ライターの小川たまかさんです。

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Profile: 主に性暴力に関する問題を、Yahooニュース個人などで執筆。著書に『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』(タバブックス)。

まず小川さんは、「性犯罪とは性暴力の中のほんの一部で、全ての性暴力がなぜ性犯罪にならないのかという理由の一つに、刑法のハードルがとても高いから」という点を挙げられました。

2017年の性犯罪に関する刑法改正で議論した項目の中で積み残された論点に、時効の撤廃、暴行・脅迫要件の緩和または撤廃、そして性的同意年齢の引き上げなどがあります。現在、日本の性的同意年齢は13歳。これは、13歳以上だと暴行や脅迫を立証できなければ、相手を罪に問えないことになります。

小川さんは、「日本の義務教育では性行為などについて教えないのにも関わらず、性的同意年齢が13歳に設定されているのは大人が矛盾を放置している。」と疑問を呈しました。

また時効に関しても、「強制わいせつが7年、強制性交が10年の現在、例えば5歳で性虐待を受けた子は12歳までに訴えなければいけないのは非常に酷なこと。子どもが性虐待にあった場合は時効を成人まで延長している国や、時効のない国もある。色んな方法を考えることはできると思う。」として、性犯罪の時効の撤廃を検討してほしいと締めくくりました。


続いてはVoice Up Japan代表の山本和奈さんです。

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Profile:「声を上げやすい社会にする」「全てのジェンダー・セクシュアリティー 問わず平等な社会」の二つのビジョンを持つ一般社団法人Voice Up Japan 代表理事。南米チリのフィンテック企業 WAYVX 代表取締役。

山本さんからは、「なぜ性暴力を受けた人が声をあげにくいのか」というお話しを中心に、刑法改正の重要性を語って下さいました。

まず前提として、性暴力とは決してレイプだけではなく、同意のない性行為、痴漢、ストーカーや盗撮も性暴力であるということを知ってほしいとした上で、「日本は性犯罪や性暴力が少ない安全な国だと思っている方も多いかもしれないが、そこには暗数といって、表に出ない件数や統計に現れない数字、声をあげられなかった人が沢山いる。表向きの数値がいくら低くても、暗数が大きい方が怖いと思っている」というお話しがありました。

平成24年の法務省の資料によると、被害者全体のうち18.5パーセントしか被害届を出していない事実があり、性暴力の実態すら把握できていない現実があるとのことです。

性暴力の被害者が、被害届を出せない・出さない理由として山本さんからは、

・警察からやめた方がいいと言われる

・(家族などに)恥だからと言われる

・何が性暴力なのか知らない人がいる

・どうせ捕まらないから話しても無駄だと思ってしまう

という点などが挙げられ、加害者に有利なシステムであるところに問題があるとして、刑法改正の必要性を訴えました。


最後はヒューマンライツ・ナウ伊藤事務局長です。

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Profile:1994年に弁護士登録。米国留学後の2006年、日本発の国際人権NGO・ヒューマンライツ・ナウを立ち上げ、国内外の人権侵害解決を求めて活動中。また、ミモザの森法律事務所(東京)代表として権利の実現を求める市民の法的問題の解決のために日々活動。著書に『なぜ、それが無罪なのか!?性被害を軽視する日本の司法』 (ディスカヴァー携書)など。

まず伊藤事務局長からは、「現在の日本の法律では、性犯罪が成立する要件が非常に狭いし、暴行・脅迫はすごくハードルが高い。また、抵抗できないのが抗拒不能とされるが、それを決めるのはほとんどが男性の裁判官となっている。」など、日本の現状が語られました。

また2019年に行われたNHKによるアンケートで、例えば「二人きりでお酒を飲むだけで性行為の同意があったと思われても仕方ない」と思っていると回答した人がいたことに触れ、「まず意識を変えなければいけないのではないか。諸外国ではYes means Yes や、No means Noといった考えが進んでいる。」との話しに加え、突出した日本の性的同意年齢の低さにも警鐘を鳴らしました。


〜終わりに〜

2017年6月、110年ぶりに性犯罪に関する刑法が大幅改正されましたが、現在も無罪判決が相次ぎ、被害者は泣き寝入りするしかない状況が続いています。

さらなる改正に向け検討会の設置が決まった今、「市民の声を国会に届けて刑法改正を実現する」ために必要な活動費を調達することを目的に、クラウドファンディングを実施中です。(8/11 23:59まで)

小さな団体である私たちが、継続した活動をしていくために、皆様のご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

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