緊急事態宣言が解除されて

緊急事態宣言も解除されて、少しずつ元の日常が戻って来る予感を感じながら、買い物に出かけていると、道端で若者たちがたむろしていた。

こんな光景もまた、日常が戻ってきた証拠。

もちろん、まだまだ気をつけないといけないけど、解き放たれた気分になるのもわかる。

会話は聞こえて来なかったけど、いきがりたい盛りの彼らだから、

「俺らめっちゃ密なんやけどー!」

とか言っていたに違いない。
悪ぶりたい年頃の彼らにとって、今もっとも破りたいルールは、おそらく「3密」。

密であればあるほど、カッコいい、という謎の価値観が生まれているんだと思う。

その証拠に、凄いお互いの顔が近かった。

「密な俺ら、カッケー!」

である。
元気そうでなによりだ。

そんな光景さえこの二ヶ月は見れなかった訳で。
たぶん、彼らがたむろしだしたのも、緊急事態宣言が解除されてからだと思う。

では、緊急事態宣言中は彼らはどうしていたんだろう。

やっぱり、『リモートたむろ』してたのかな。
「それぞれの距離は離れてるけど、俺ら同じURLの下で繋がってるぜ」的な。

ちょっとでもたむろ感出すために、わざわざコンビニの写真をバーチャル背景にしたりして。

それぞれが、たむろしやすそうな理想のコンビ二の写真を持ってきて、

「お前の背景のコンビニめっちゃたむろしたい!」
「いや、それやったら、お前の背景のコンビニも、座れるとこいっぱいあってたむろしやすそうや!」

と、盛り上がって、そのうちに

「なぁ、緊急事態宣言終わったら、実際にこのコンビニ行ってみん?」
「良いなぁー!」
「いやでも、このコンビニの写真、ネットで拾っできたんやけど、調べたら北海道やねんけど!」
「遠!」
「でも、、、いつかさ、、また日常が戻って旅行とかできるようになったら、みんなで行くんも悪くねぇな、、、。」
「ああ。」
「俺ら最強やもんな、、、」
「全国のコンビニで、たむろしようぜ、、」

みたいに、熱い流れになっているかも。

日常が戻って、全国の町に人の流れが返ってきた頃、リモートたむろをしていた彼らの聖地巡礼が始まるかもしれない。

#エッセイ #コラム #随筆 #外出自粛 #緊急事態宣言 #若者

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