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詩論 芸術の書 断片 1・2

1、原稿用紙


 さて、詩の事を語るわけですが、詩の宇宙が作られるのは、心の中ですが、最初に再現される場所は原稿用紙であると思います。または、原稿用紙でなくても、その場で即興に詩を語る場合もありますが、ここでは原稿用紙について考えてみようと思います。原稿用紙に、文字が書かれたらそこで、詩のはじまりが展開されていくのです。詩はどこからくるか、詩は天より来るのです。そして、原稿用紙に再現されるのです。詩には動きもあり沈黙もある。その小宇宙である原稿に空間があればそこに、言い知れぬ空間と音楽ができてくる。沈黙の中には音楽が流れている。

 原稿用紙は、詩人にとって詩を記録する手段であります。 

 ペンでもって、世界を描いていく。その受け皿で、記録の手段が原稿用紙になっていきます。

原稿用紙は、小さな宇宙のです。

 そこに、あらゆる可能性の生命が生まれていく可能性を内包している。

 初めに原稿用紙があり、そこに宇宙が展開されていくのです。

 原稿用紙にあらゆる世界が創造されていくのです。

 原稿用紙は最初、マスの集積であり、そこに文字が書かれてあらゆるエネルギーである文字によって世界ができる。詩の母は、原稿用紙であるのです。

 あらゆる文字を保存して、詩人の言霊を保存するのです。

 原稿用紙は生命の保存場所でもあるのです。

 そして、そこは、生命の可能性であるという事です。




2、自動書記


 詩においてよくあることが、ペンが自然に動くことがある。それを自動書記という。これが可能となるには、心の音に自由になることです。もしくは、ペンが動くがままに筆記するのである。どんな文章にも初めに一歩、初めの一文字から始まる。初めの一文字にすべてが込められている。詩は一文字書かねば始まらない。一行書かねば二行目はつづかない。


書かねば始まらない。


なので、最初の一文字は勇気が要る。一文字から世界が展開していくのであります。初めの一歩があらゆる世界が展開される。詩においてはそれがはっきりしています。書いていくうちにイメージが出てくる。脳裏にイメージが浮かぶ、風景が映ってくる。音楽が流れてくる。そしてペンでもって原稿用紙に文字から文章が展開されあらゆるイメージの映像や音楽と物語が、天上界から降りてくる。それを言葉でもって文章でもって原稿用紙に音楽の韻文の、音の文章を作ってくる。それで詩が書かれていく。詩はそういう意味で、預言的可能性があると思います。


天上から、諸天の神々、天使たちの言葉が、イメージが詩に込められていくのです。それが、詩としてできてくる。詩は、詩人個人によってできるのでなく、その詩の一篇においていろんな諸天の力がかかわっているのです。

詩は詩人が書くであろう。しかし、それは詩人という預言者が神々のイメージとインスピレーションを受けて、霊感を受けて、詩人が代行して原稿用紙に書いて表現するのである。詩人という器に入ってきて、それを詩人が書き綴るのである。その時、詩人が静かな瞑想的な環境の中、まるで神殿の神官や巫女のごとく天上のイメージを受信して神託を書いていくうちに自動にペンが動くことがある。それには、詩人自身が自分に自由とならなくてはならないし自我から解放されなくてはならんない。詩人の器に霊水が入りそれを詩として表現して行く。詩がそこで生まれるのである。原稿用紙にインスピレーションが転写、執筆によって表現されて具体化していきます。原稿用紙に定着してそれが人に読まれることで、詩の内容が解凍して、読者の中に世界が広がっていくのです。

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