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「反省」  詩・本多裕樹

「反省」

恋もあったろう
むかしむかしの事だった
あなたは楽しくあれ
二人は楽しくあれ

時がすぎ、良き思い出となり
儚き盛りの瞬間に
そう言う事もあったもの
だが、それは長く続くものか

例えば、婚姻でもしていれば
その若き日の愛も
保存して
そのまま人生を進ませるだろう

若い頃の恋はとても貴重な夫婦の宝物
思い出の日々
あらゆる記念日
二人の思い出が家庭の歴史を創造する

老人となって恋する事もあろう
あまり生産的でない
若き日の男女の情熱が家族を作る
それは真摯なもので輝きに満ちている

愚かさも光り
楽しき日々のある日々に
時の月夜は二人にキッス
春風がささやくよう祝福する

肉体のみずみずしい男女は
あらゆる可能性に
神々ですら妬むくらいに
輝きに満ちた青春

若い時に恋愛を楽しんでおけ
中年になると何も楽しみがなくなる
本ばかり読むのが
唯一の望み

結婚式には幸せになって下さいと
言う人はほとんどだろう
それを知らないで
今まで来た。やはりあの言葉は真実だった

修羅の道を行けば
そこは幸福も無い
仏道を極めようとすれば
そこは誰もが行ける地獄ではない

できれば道を極めようとするな
不幸になるばかりか
人間であることを犠牲にして
得られる極地の極みの世界である

空を掴むような
数学や哲学、芸術
そんなことをして人生を滅ぼすことはない
ただ、人生の生きる喜びに浸れ

昔、ある人が夢を語っていた
その人の夢は家族を作ることだと仰っていた
当時、私はそれが理解できなかった
その人が真っ当な人生を歩もうとしている事を

今、あの人は達成しているのだろうか
私は、芸術に励み、
今、干からびて、枯れている
あの人は真っ当な夢をもっていた

私は長生きしようと考えた
地味ではあるが、仕事と文人芸術を続けようと
華やかではない
我慢大会ではあるが、生きる

哲学、そいういものを研究していた
今、その研究してきた事が
私はついていけない
脳から消え去った。哲学の思考が

なんでも学問には寿命がある
学問に寿命があるのでなく
研究者自身に年齢における知力の寿命がある
学問は永遠に続く、人生より長く、時代を越えて

若さを浪費するなかれ、
くだらないことに力を使ってもいいが
時間も生命力もどう使うのも自己責任だが
消えるものは消え、枯れて無くなっていく

若さもいずれ消費され老いていく
美しさは醜くなっていく
しかし、知恵だけは輝く
知性だけは宝物にしていこう

老いて、知恵がないのは愚かで
経験が宝物になる
様々なものを見聞し
自らの知恵となせ

若さは儚き桜の花
瞬時に花は散って若葉の木になるが
青春は桜の花の瞬間で
その時期を見誤るな

経験が宝となり
知恵が財産だ
様々な事が思い出で
老いても、光り放つ

若さは消え去る
醜くもなる
生命も刻一刻と失っていく
そうして、自然に帰る。土に還る

2024年9月1日 本多裕樹


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