見出し画像

久しぶりの散歩。

風にあたるのが気持ち良かった。

陽が指してきて
気分がぽかぽかしてきて
青い空が澄んで見えた。

ナナカマド
サルビア
マリーゴールド
コスモス。

道のあちこちに七色。

トンボやスズメがパタパタ飛んでる。


泣きそうになりながら
でも軽くなる気を感じてた。

大地を足の裏で掴みながら
強く蹴り上げながら
ゆっくり歩いた。


まだ冬の匂いは感じない。


彼との思い出の道は
まだ苦しい。


車の中でシートを倒して
手を繋ぎながら
好きなお笑い芸人の話なんかをして
ゲラゲラ笑いあった。
くだらない話で
ただただ笑いあった。

ふたりとも笑っていた。


泣いたことはたくさん。
笑ったこともたくさん。
何度か口論もあった。

ただ
幸福感は忘れたくないと思えた。


ふたりの温度も
笑顔も笑い声も
悲しげな顔も


一緒にいられた幸福感まで
葬り去る必要なんてなくて
思い出して笑顔になれる記憶まで
閉じ込めてしまうなんてできなくて

ありがとうって
ちゃんと言いたいのに
想いをくれて
ありがとうって
何度だって伝えたいのに
素直に言えなくなっていた。

変化は何も悲しいことばかりじゃない。


好きな想いは変えられなかった。


当時のように素直になれなくても
そういう時期にいるだけなんだって
遠く離れても
自分の想いだけは
ごまかせないんだって諦めた。

いつかまた
バカみたいな会話で
バカみたいに笑い合えるかもしれないって
まだ捨てられない
希望みたいなものがあるのも事実で


好きなだけ
好きでいたらいいって
諦めた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?