【あややノート】第36回 これまで紡いできたもの
こんにちは。HUG for ALL代表のあややです。秋になって「はたちクエスト退所編」で、施設を出た若者たちと関わる機会が増えました。また、普段オンライン中心の1施設目も10月には対面の活動をしたこともあって、子どもたち一人ひとりの解像度が高まっている感覚を持っています。
この秋はなんだか改めて、私たちHUG for ALLがやってきたことを振り返る機会が多くあったような気がします。そこで今日は「これまで紡いできたもの」というテーマで書いてみたいなと思います。
つながりから生まれる幸せ
先日、HUG for ALLの「ゆるりとした居場所」であるHUGスナックに、施設をこの春退所して一人暮らしをしている女の子が遊びに来てくれました。
初めて会ったのが小5のとき。そこからもう8年が経って、いまは学校に通いながら、就職のことなども話すようになりました。小学生・中学生・高校生になって、施設を出て、今。その事実だけでも感慨深くて、HUGスナックで彼女と語らいながら、なんだかとても幸せな気持ちになりました。
HUGスナックに来たクエストフレンドと、「ひさしぶり!小学生のころサッカーして以来だね!」「またみんなでサッカーしたいなぁ」と話す姿には、あのころの面影もやっぱりあって。子どものころに一緒に遊んだ経験が、私たちの中にも、彼女たちの中にもあって、それが絆になっているんだなとしみじみ感じたりもしています。
10年近く前からつながっているということ。それによって、絆や信頼、愛情が培われてきたこと。これってすごく幸せなことだなと思います。
子どもたちにとってもそうであればいいなとは思うけど、でも、まず何よりも、子どもたちと関わる私にとって、私たちにとって、大きな大きな幸せなんだと感じています。
人生が、変わった。
HUG for ALLで活動してる仲間には、いろんな人がいます。大学生から70代の方まで、年齢も性別も仕事も住まいも、本当にさまざまな仲間が集まっています。
つい先日、そんな仲間の1人から、「HUGと出会って人生が変わった」という言葉をもらいました。
彼との出会いは数年前の研修企業主催のワークショップ。企業の人事やCSRのご担当者のかたを対象に、SDGsや社会貢献活動について考えるプログラムで、私は「現場実践をしている人」として話をさせていただきました。
そこでは何人かの方から「もっと根本的に社会の仕組みを変えるべきでは?」「制度が変わらないと意味がないのでは?」と、私たちの活動の意義を問う指摘をいただき、私は少し言葉に詰まってしまいました。
実は私の記憶はそこで止まっているのですが、今回、彼から「そのときのあややの言葉が転換点だったんだよ」と言われました。
これをきっかけに、彼は私たちの活動にジョインしてくれました。いまは高1になったある男の子の担当を、かれこれ6年以上、小3のときから続けてくれています。その子の幸せを願い、その子にとって必要なことを考えながら、関わりを続けてくれている彼は、このあともきっと、「この子を幸せにしたい」という想いを共にしながら、活動を続けてくれるんだろうなと思います。
HUGと出会って、子どもたちと出会って、人生が変わった大人がいる。私自身もそうだし、彼もそうだし、他にも何人もそんなメンバーはいるんだろうなと思います。
これってすごいことだなと思います。子どもたちの姿から、私たち大人が学び、変わっていく。子どもたちにはそれだけのエネルギーがあって、そのエネルギーが大人たちの人生を変えている。子どもたちにもその事実を伝えていきたいなと、今改めて思いました。
じっくり、ひとつずつ。
私たちが紡いできたものは、薄紙のようなものを1枚1枚積み上げてきたようなものかもしれないけど、それでも着実に、そこに「何か」はあって、さまざまな「変化」も起きていて。
そのプロセス自体にも意味があって、振り返ったときに何らかの「結果」がある。私たちの活動はそんなふうな形で、続いていくのかもしれないなと思います。
「じっくり、ひとつずつ。」という私たちのバリューにある通り、私たちはそれぞれの瞬間の意味と、それが重なっていくことの意味を、これからも大切にしながら、丁寧に一歩一歩、歩み続けたいと思います。