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Impact HUB Tokyo のリモートワークスタイル(後編)

Impact HUB Tokyoは、創業当時からリモートワークを取り込んできました。

「スタッフ全員が同じ時間に働く必要はない。生産性(アウトプット)にフォーカスせずに、到達したい状態(アウトカム)を意識することでリモートワークで陥りがちな悩みの解決につながる。」

と語る真悟さん。

パソコンから離れて、余白を遊ぶ。12年目のリモートワーク。(前編)に引き続き、Waseda Neo主宰の「WORK AT HOME 〜家で働く、心地よく」の内容を含めながら、失敗や仮説検証を繰り返しながら進化し続けているImpact HUB Tokyoのリモートワークスタイルに迫りたいと思います。

同じ時間に働くのは非効率。価値の共有のもと、それぞれのタイムゾーンで働くチーム

Impact HUB Tokyoでは時差勤務を推奨しています。

「夜型人間を朝9時ミーティングに招待してもいいことは起きないんです。逆に子育て中の人に16時以降にメールを送ってもすぐには返答が返ってこない。みんな同じ時間に働く方が不効率ですし、その人のニーズにあった勤務時間を設定してもらいたいと思っています。

ただ大事なのは、自分のタイムゾーンをチームに共有しておくことです。自分と向き合い、作業スケジュールを組み、チームに理解してもらう。一緒に仕事をするチームはコミュニティだと考えているので、価値の共有が重要です。

起業家のコミュニティを運営しているImpact HUB Tokyoならではの考え方と言えます。

「みんなが違うタイムゾーンを生きていると思っている」という共同代表の槌屋詩野さんの言葉に驚いたことを覚えています。時差勤務を推奨しながらも、なかなか実現化できていない企業が多いのではないでしょうか。

課題や状況を共有するリトリート合宿

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Impact HUB Tokyoでは、年に2回リトリート合宿を実施。自分自身を主語とし、チームに課題を共有する場に。また週に1回一対一で話すミーティングも行っています。

「リモートワークを組織として機能させるためには、お互いの調子や体調に敏感にならないと機能しない部分があります。コミュニティなので上下関係はなく、チームとして動いているのでお互いをサポートしあうことが大切です。

何が貢献できるか、お互いにとってのベストコンディションを探すこと。ある意味、自分と向き合うことが必要とされているといえます。

「一対一で話していると、実は腰痛で作業が止まっていた、アイディアが枯渇していたなど、状況は変わっているのに、前と同じような仕事の量をこなそうとしていたり、その人の今の状態を知ることができます。このミーティングはもっと働きやすいよう、一緒に解決策を考える場になっています。」

対面で会えない分、意識していることは他にあるのでしょうか。

「価値観の似ている人たちが集まり、盛り上がってアイディアが生まれるというようなコミュニティ論がオフラインだと成立しやすいのですが、オンライン(リモートワーク)だと難しい部分があるので、コミュニティが成長できるような余白の担保を意識しています。

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日本はとくに、オフラインで独特な信頼関係の構築をしてきた部分があるようです。(参考記事:日本でキャッシュが愛されるわけ ー前編ー

「人は言葉だけでなくてボディランゲージも含めて話を聞いているのですが、言葉以外の部分のほとんどはオンラインだと消えてしまうのです。足も見えないし、貧乏ゆすりをしているかどうかもわかりません。信頼は言葉だけでは構築されません。

オフラインで会っていた時に構築してきた信頼貯金のようなものを、切り崩して行かなくてはいけない状況に今なっていると思います。オンラインのみでは、新しく信頼構築をするのは難しい部分がある。今後働き方においてオフラインの時間がさらに貴重になるとコロナで痛感しました。

コロナで「会う」価値が変わってきたといえるかもしれません。限られたオフラインの時間はこれからますます重要になりそうです。

生産性(アウトプット)にフォーカスしない。到達したい状態(アウトカム)を意識する

ここでは講座でも質問が多かったアウトカムについてのお話を。アウトカムがなぜ大切なのでしょうか。

「オフラインで仕事をしているとコメントをすぐもらえたり、その場でパッとキャッチボールのような会話が生まれやすいんですよね。

1人で仕事をしていると、孤独を感じてしまったり、フィードバッグもなく、自分の生産性が高いのかどうかわからなくなりがちです。」

リモートワーク では1人で孤立をしてしまう、すぐ聞けない、など今までと違う環境で戸惑った方も多いのではないでしょうか。

リモートワークではアウトプット(生産性)にフォーカスせずに、アウトカム(到達したい状態)を意識することが大切です。状態を意識すること。ビジョンを設定すること。作るものだけを決めるのではなく、何を成し遂げたいのかを意識するのです。行き詰まったときも、見え方が変わって発想の展開が起こります。」

アウトカムとは到達したい"状態"のこと。意識することで、目先のことに囚われずに、全体のビジョンがみえるようになる。そうすることで今置かれている自分の状態の捉え方が変わってくる。

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「物を作って終わりではないし、ゴール設定もないので”状態”で説明するしかないんです。たとえば社会を良くしようとする枠があるとすると、そのなかでどういう役割を自分が持っているか、ビジョンを設定することです。」

「隣の同僚が手を動かしているのか、頭を抱えているのか、あくびをしているのか、オフィスで働いているように見えません。自分の作業が終わったから、終わりではすまない環境がリモートワークだと思います。この意味でアウトプット(生産性)よりアウトカム(到達したい状態)が重要だと思っています。

アウトカム(目指したい状態)を意識することで、リモートワークで陥りやすいアウトプット(生産性)の悩みに対する捉え方が変わるのではないでしょうか。

リモートワークはそれぞれの自由を尊重しないと難しい

「家はプライベートな空間で、雪が降れば除雪をする必要がでてきたり、状況は常に変わりますし、オフィスで行っていたことをそのまま家ではできないときもあります。リモートワークはそれぞれの自由を尊重しないと難しいです。」

チームとして仕事をする上で、役割分担だけに囚われるのではなく、まめにコミュニケーションをとることも大事だそう。

「解決したい方向や、向かいたい方向がチームで明確に共有されていると、今あるリソースでなんとかしようとするアイディアが自然発生していきます。アウトカムに向かった職場を作ることがリモートワークでは大切になってくるのです。」

「極端な例ですが、テロ組織は密なコミュニケーションをとっていたというよりも、アウトカムが機能しているとも言えます。敵はひとつ、やることはひとつで、その共有はパワフルです。」

向かう方向を一致させることで、リモートワーク がお互いにとってベストな状態になるのですね。今後ますます、リモートワークが推奨されてくる中、アウトカムに向かった職場を作ることが、心地よく働くヒントになると感じました。

リモートワークにあるべき論は不要

「あるべき論は不要だと思っています。日によって、人によって作業内容によってもペースは変わるわけで、同じ作業をやっても3ヶ月前とは違う時もあるんですよね。そんな時は、前回と同じようにではなく、今回は別の作業と考える必要があります。到達したい状態はそれぞれあると思いますが、意識することが大切かなと思います。」

リモートワークはこうでなければいけない、と囚われなくていい、そう考えると、いまあるリモートワークでの悩みの解決の糸口になるのではないでしょうか。

何年も前からチームでのリモートワーク実践しているImpact HUB Tokyo。起業家に伴走するため、価値を共有することで、新しいアイディアが自然発生していきます。

WORK AT HOME 〜家で働く、心地よくをテーマに前編、後編に分けて掲載をしてきましたが、移住とリモートワークについてマガジンにも記事がまとまっております。

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軽井沢から飯綱高原に引越し、ログハウスでの生活を2年してみた真悟さんの所感もまとまっていて、”移住のリアル”を知りたい方にぜひおすすめです!ぜひこちらもご覧ください。

マガジンはこちら 移住とリモートワーク

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