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オールナイトシネマパラダイス:熊本で出会った映画監督の話

こんにちは、エムコです。みなさん、映画は好きですか?「見たことない!」っていう人はきっと少ないですよね。「金曜ロードショー」はいつしか「金曜ロードSHOW!」に変わってしまったけれど、子供の頃から繰り返しテレビで放映されるジブリに心ときめかせ森の入り口で木の根っこのトンネルを探したり、初めて行った映画館でパンフレットを握りしめて見た映画とポップコーンの味を覚えていたり、レンタルビデオ屋さんで借りたいDVDが貸出中で適当に借りて帰った映画がヒットだったりハズレだったり。今は映画の楽しみ方も変わってしまったかもしれないけれど、きっとみんなお気に入りの一本や想い出深い一本があったりするんじゃないでしょうか。

でもそんな映画も、"その映画を作っている人"が存在するわけなんですが、でもそれってスクリーンよりさらに遠く向こう側にいる感じがしていましたし、東京の映画館でバイトしていた私ですらもちろん会ったことなんかなかったわけで。でもそんな私の人生で、初めて【映画監督】に出逢う日がきたのです。しかもこの熊本で。今日はそんな、彼とその作品を見た私が感じたことを、あえてご本人へのインタビューはせずにかきしたためてみたいなと思うのです。

真夜中のひとり上映会

せっかくこのような記事を書かせていただく機会をいただいたので、まずはその監督さんの作品をひとりで夜中に一気見させていただくことにした私。コーラとポップコーン…は深夜なので遠慮して、コーヒーとチョコレートを準備してイヤホンをつけました。まずはぜひ、みなさんにも見ていただきたいなと思うわけです。

Where the Sun Rises (2018)

かつて映画が大好きで、大好きが故にタダで見放題エンドロール見放題の映画館でのバイトを続けた浪人〜大学時代。結婚して、子供を産んで、すっかりゆっくり映画を見ることもできなくなりました。見るとしても家族が好きなスター・ウォーズやドラえもんなどが関の山。落ち着いて自分の時間を二時間確保するのは至難の業で、こんなにゆっくり作品を見ることができたのは何年振りだろうと、ゆっくりじっくり、ひとつひとつを拝見。

一本、二本。まだシネマパラダイスは始まったばかりの序盤から、不思議と頭の中から離れなくなった言葉がありました。

それは、"慈しむ” と言う言葉でした。

英語で言うなら:An Affectionate Person

Tak's Kitchen (2020)

そうです。先ほどの映画にも出演されていたこの方こそが、作品を手がける映画監督:松田 拓真さん。出身は東京都。ニューヨークの大学で映画を学び、2018年に新町のまちおこし映画プロジェクト「どっこいしょフィルムプロジェクト」(*後述)がきっかけで熊本へ移住されました。

【慈しむ】いつくし‐む
《五他》かわいがり大切にする。いとおしむ。

あえて英語にするなら、An affectionate person:愛情深い人。

ひとつひとつの画面のコマ割り、視線の動き、音、人の表情、動き、言葉の選び方、画面の切り取り方。専門じゃないから難しいことはわからないわけですが、でもなんだかそういった映像から伝わってくるはしばしから、その瞬間瞬間、そこにいる人、空気、起こっていること、そういうものをありのままに受け止めて、それを慈しみ、愛おしみ、楽しんでいるような。松田さんの目を通してみた世界はこんな風に映るのか、と考えずにはいられなかったわけです。

埋もれがちな、流してしまいがちな日常の一瞬に、こんな風に物語と一緒に宝物みたいに切り取ってくれる人なんだな、と。それもきっと、創り上げた世界なんじゃなくて、松田さんそのものがそういう世界線に生きているような、だからそんな彼が見ている世界をもっと見たくなるような。そしてこの世界に写っている向こう側の人や世界に命が吹き込まれるような、そんな不思議な感覚がありました。

「この映像作ってるの誰?どんな人なの?」と、もし事前に松田さんを知っていなくても思っただろうなと思います。

熊本との出会い:「どっこいしょフィルムプロジェクト」

飛べ新鳥町 Trailer (2019)

Dream of A Boy Trailer (2019)

そしてこちらが、やはり熊本と松田監督との関係を語る上で外せない、そして私と松田監督が出会ったきっかけでもある、新鳥町商店街まちおこし映画・どっこいしょフィルムプロジェクトで制作された映画「飛べ新鳥町」(ドキュメンタリー)と「Dream of A Boy」の二作品の予告編です。(本編は松田さんのVimeoにて有料配信中:https://vimeo.com/ondemand/dokkoisho/408812293 他)

このプロジェクトは一般公募で市民キャストを集め、本格的な映画づくりを通して新鳥町(新町)商店街を盛り上げていこうというもの。松田監督はこのプロジェクトのため、当時住んでいたニューヨークから当時はまだ縁もゆかりもなかった熊本に呼ばれたそうです。

偶然そのキャスト募集の投稿をFacebookでみたことが、私自身と松田監督の出会いのきっかけ。オーディションを通して子供が偶然にもこの映画に参加させていただけることになり、私は息子の付き添いだったためやや遠くから撮影を見守っていましたが、とある撮影中にとても印象的な出来事がありました。

それはラストシーンの撮影。主人公の旅立ちを商店街の仲間たちが見送るシーン(予告にもなってますね)。それぞれ自由に主人公に声をかけてあげてください、というものですが、なかなかうまくいきません。みんな素人さんなので、照れだったり、どうしていいかわからなかったり。ぎこちなくなっちゃうわけです。そこで松田さんは、勢揃いしているキャストを前に、ご本人もどううまく言葉にしていいかわからなかったのかもしれません、必死に自分の言葉で、この映画にかける想いを話してくれました。

このシーンがこの映画にとって本当に一番大切なシーンであること。
この映画で僕は伝えたいことがあるんだということ。
そのためにはどうしてもみんなの力が必要なんだということ。

あとあとキャストをされていた方が、「あのシーンで監督が想いをぶつけてくれたことで、どこかいい経験・思い出づくりに映画づくりに参加しているお客さんのような気持ちでいる自分に気づいた。あの言葉で、自分もその映画をつくりあげている一部なんだって実感ができた。」ということを言っていたことを思い出します。映像そのものからだけでなく、その取り組む姿勢からも、人へこんな風に訴えかけられる熱意のある方なんだと感じたことをよく覚えています。

一方で、撮影が終わってからご挨拶させていただくと、「本当に小さいお子さんにこんな夜遅くまでおつきあいさせてしまって…!!!!僕緊張で眠れなくて〜〜!!」と、こんな大役をこなした方とは思えぬ等身大の彼の発言を聞いちゃったら、夫婦揃ってすっかり彼のファンになっちゃいますよね!松田さん、大丈夫です。家族そろって本当に松田さんとの出会いに感謝してます!!!

そして、Hub.craftと一緒に熊本に根を張る。

作品作りを通してこのまちの人たちの暖かさに触れ、今ではそのまま新町に家を借り、どっこいしょプロジェクトの撮影を担当されていたHub.craftに勤務しつつ、作品づくりや映像を通してこの熊本という場所でその土地の人たちや魅力を伝えるお仕事につかれている松田さん。

↓どっこいしょプロジェクトをきっかけに熊本に移住された松田さんについてのインタビュー記事はこちらをぜひ。

まだまだこれから、松田さんを通してみた熊本が見れるのが楽しみで仕方ありませんね!

ちなみに2020年4月25日に開催され満員御礼だった、そんな松田さんのこれまでの作品を阿蘇のドライブインシアターで見ることができるDrive in Theater Aso移転記念上映『松田拓真's film story』が、さらに追加上映を5月16日(現在こちらも満員)、そしてさらに17日にも決定したとのこと。詳しい情報はFacebookでご確認くださいませ🙌

さらに松田さん、ただいま映画監督とバーテンダーによる、お店と地域のための英語動画プロジェクトでクラウドファンディング挑戦中!!こちらも注目です!

国内・海外のお客様が利用するお店のコンセプトを動画により「可視化」する事で、お客様にそのお店・エリアに「特別な想い」を抱いてもらい、再来店、再来日したくなる環境を創る。外国在住経験のある2人の制作者だからこそ作れる国際的な目線の動画を活かし、持続可能な仕組みを産む、これこそが私たちの動画の価値です。



本日はHub.craftに生息中の松田さんについてのお話でした!
ではまた次回ハブクラフトカンサツニッキでお会いしましょう🙌

動画提供:松田拓真's vimeo (https://vimeo.com/takumamatsuda )
文:谷本明夢

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