連続のイメージ

最近感じることをぽつぽつ

 お笑いでネタ書いてライブ出て、いわゆる努力的なことを積み上げる感じ.高校生の部活で毎日走って、筋持久力を上げて体幹を鍛えて、大会にむけて頑張る感じ.受験に向けて机に向かって夜遅くまで頑張る感じ.テーマは違うけど、ずーっと同じ人生の過ごし方してる.目標掲げる→それに向けて日々鍛錬→うまくいかない→それでも諦めず努力努力!→それっぽい結果でたかも!いぇーい!のサイクルに飽きた.まじでやってらんねぇ、やめる時は事務所ライブでおちんちん出して客席突っ切って換気中に開放された出口から新宿の夜を全裸で駆ける.西部新宿駅の改札を飛び越え、次の人生行き急行列車に飛び乗る.電車は次第に速度を上げ浮力を伴い車両が宙に浮く.そのままいけ、行ってくれ、今見えてる黄色が紫に見えるくらい全く別の世界

 ホリンピックラジオ.名古屋で芸人してた頃にお世話になったフリーライブ集団の方々が放送しているラジオ.日々人間と会話する機会がない.知っている人の声を聴くと安心するし孤独がまぎれる.主催者のレンガホリオさんは名古屋で有名なピン芸人のおじさん.どんなラジオも聞き続けるとパーソナリティ達の人柄が分かってきて普通のことでも面白く感じる.知り合いがYouTubeチャンネルを持っている人は少なくない.このラジオを全国の沢山の人に聞いてほしい!という強い思いはないが、ただ何となく、知ってる人の声がオンラインで離れていても聞けるこの時代に感謝し、一方でそれができるからこそ物理的なつながり、直接の出会いが減ったのだとも思う.


 死ぬ前の3年くらい、じいちゃんはあんまり喋らんくなってただただ縁側を見とった.久しぶりに変えると時間が止まってるかのようにまたじいちゃんがベットに座りながら縁側の景色を見とる.「おぉ誰かと思ったらひろあき君かぁ」僕は隣に座って、じいちゃんと会える回数は多分もう3桁もないんだろうと思う.二桁もないかも知らん.じいちゃんはいつも畑にやってくる黒猫がいることを教えてくれた.しばらくしたら案の定それがやってきて、なんかよくわからん土の塊みたいなのを持っていった.じいちゃんは嬉しそうに「こらっ!」と怒るフリをしとった.名大に行きたかった.じいちゃんが唯一知っとる大学だったから.だから絶対に名大に行ってじいちゃんに喜んで欲しかった.大学受験で落ちた時は本当に悲しかった.院で行けた時はすぐに軽自動車で実家に帰って直接じいちゃんに伝えた.よくわかってなかったけど帰った後に母さんが説明して理解して喜んでくれたらしい.院卒業して就職先が決まってないことは触れずに4月4日に実家に帰ってじいちゃんに卒業証書を渡した.いつも通り時間が止まった縁側だった.「これはなんだん?」「名大終わったよ」なんかマジで端折りまくった説明だけして何もすることないのに名古屋の下宿先に帰った.その次の日にじいちゃんが救急車で運ばれて、2か月後に亡くなった.僕の卒業を待っててくれたみたいなタイミングだった.じいちゃんが亡くなって父さんからラインが来て、全文読まずに内容が分かって、半分くらいで読むのをやめた.仕事をしてない自分はなぜ下宿してるのかもわからない名古屋のワンルームで平日の昼間にパジャマのままベッドに座っている、あの日のじいちゃんみたいに.おもむろにテレビを点けたらいつも通りのワイドショーば流れてて、こんな事情なんかお構いなしにタレントはいつも通りの笑顔を映し出していた.一瞬信じられんくて、すぐにそりゃそうだろ、となった.

 生きてることの実感がない.電車に乗ってる僕はもう既に亡霊なのかもしれない.ドアが開いても動かずにその場にいれば乗客が僕の体を通り抜けていくかもしれない.

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