見出し画像

速筋/遅筋の割合は変化する?一歩先をいくトレーニングプログラムを考えよう!

みなさんこんにちは!トレーニングコーチのはるにゃんです!

“Strength and power are 2 of the most critical attributes underlying success in sport”筋力とパワーはスポーツにおける成功の根底となる最も重要な特性である

アスリートにとってパフォーマンスアップをするために、筋力とパワー強化は重要になります。

スプリントスピード向上やジャンプ力向上において、下肢の最大筋力向上がもたらす役割は大きく、筋力を向上することで障害予防効果もあることが証明されています。
ここで筋力を高める要因について考えてみましょう!

筋力を高める要因

①筋断面積

筋肉が太ければ太いほど大きな力を出すことができます。筋断面積の増加が大きいほど筋力も向上していることが報告されており、筋断面積の増加は回復の出来る範囲で高ボリュームのトレーニングを実施し、十分な栄養を摂取することで達成されます。

筋肥大

②神経機能

中枢神経からの命令で筋は収縮しています。その命令が大きくなったり、命令の頻度が増加すれば出せる力は大きくなります。
ここを強化するには低負荷の高ボリュームのトレーニングよりも、しっかりと高い強度(重さ)でトレーニングをする必要があります。
トータルの負荷(強度×回数)をそろえたトレーニングでも、強度(重さ)を高めに実施したトレーニングのほうが筋力が向上したという報告もあり、それは神経の機能の改善によるものだと考えられます。
また、カフェイン摂取で筋力が向上する背景には、この中枢への作用によるものだと言われています。

カフェイン

③速筋と遅筋の割合

速筋、遅筋見分ける方法、定義づけとしては複数の方法がありますが、ミオシンの酵素活性の違いから判別したり、ミオシン重鎖のタンパク質のタイプから分類する方法が一般的です。
それらの方法では
Ⅰ⇒遅筋    Ⅱa⇒中間筋    Ⅱx、Ⅱb⇒速筋
と分類されます。

『速筋は収縮スピードが速い筋肉で、遅筋は収縮スピードの遅い筋肉。重さを扱ったスクワットはゆっくりだから、遅筋が鍛えられる』という勘違いがあります。
速筋は速い収縮が可能なだけでなく、強い収縮が可能な筋肉です。
一方で遅筋はゆっくりの収縮が得意というより、持久的な力発揮が得意な筋肉。


速筋と遅筋の割合の変化

『速筋と遅筋の割合は生まれつき決まっているから、筋力向上をするには筋肥大をするか、神経の機能を向上させる必要がある』というトレーナーもいますが、実は速筋と遅筋の割合(筋線維組成)も、トレーニングによって変化することが分かっています。

また、ウエイトトレーニングの実施方法によっては速筋の割合が減っていくことが報告されています。

「強い収縮で速筋が使われるって言ったのに、速筋の割合が減るの?」と思ったかもしれませんが、使われる=増えるではありません。

面白い研究報告があました。

Blancoらはウエイトトレーニング中の速度を計測し、何回何セットとあらかじめ決めて実施するのではく、挙上速度が○○%低下したらそのセットを切り上げるという方法でトレーニングを実施しました。

その結果、20%の速度低下でトレーニングを切り上げたグループは速筋の割合が維持されたのに対し、40%の速度低下まで実施したグループは速筋の割合が有意に低下したことが示されました。

また、扱う重量が速筋と遅筋の割合にどう影響を与えるかという研究も紹介します。

Camposらは3~5Repsの高強度トレーニング、9~11Repsの中強度トレーニング、20~28Repsの低強度トレーニングの3群に分け、それぞれ毎セット限界まで実施するトレーニングを実施したところ、どの群においても速筋線維の割合が同様に減少したことを示しました。

扱う重量は、あまり速筋に与える影響は大きくないようです。

2つの研究とも共通して言えることは、どの重量であっても限界まで追い込み過ぎると、速筋の割合は減るということです。


🔻最大筋力には、筋肥大、神経の機能の向上、速筋/遅筋の割合が影響するので、それぞれの改善が必要

🔻トレーニングの実施方法によっては速筋の割合が低下する場合がある

近年は『いかに速筋の割合を減らさずにトレーニングをするか』ということも研究されています。(VBT、Intra-Set Restなど)

こういった情報も頭に入れながら、日々のトレーニングについて考えてみましょう!


宜しければサポートお願いします!頂いたサポートは1人でも多くの選手・クライアントが笑顔になれるよう活動に使わせていただきます!