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数学を勉強する意味(文系ver.)

 「数学を勉強する意義」を書籍やネット上で発信している方は多く居ます。私も遂に仲間入りできました。以下は、文系向けの受験数学の授業で生徒たちに伝えた文章です。授業のある日の朝の3時頃に目覚めて、6時くらい迄、夢中で書き続けたことを覚えています。(ちゃんと起きて書いてましたよ・笑)

◯ 一つの意味

 すべての子ども達に当てはまる「想い」だとは思っていません。特に、文系の学問を大学で学ぼうとしている人、何かを成そうとしている人なのに、高校で学ぶ数学の意義が不要と思っている人向けに書きました。



『高校数学を文系の君たちが勉強する意義』

 高校の数学が文系の君たちにとって、何の役に立つのか?という問い(大前提)を一緒に考えましょう。

(第一理由)知識技能理数系
 まず第一の回答は「何一つ役に立たない」というものです。たしか に、義務教育の数学は生活や仕事の最低限のスキルに必要でしょう。ただ、高校の数学は、あくまで大学数学の準備であって、特に理数系の学問の礎でしかないからです。(理数系の学問、仕事の為の準備と捉えれば文系には不要と思われます。)また、中学の代数・幾何・関数(解析)・確率統計を強化する為に勉強するという立場もありますが、そんなに高度なことは必要無いでしょう。

■(第一理由)知識技能人文系
 ただ、文系の学問・仕事にも数学はふんだんに利用されています。 経済学は、数学的根拠で成り立っている学問です。経営学などは、その知識を借りています。芸術(美術・音楽)にも数学的整合性・美的感覚は利用されています。それを応用した、現代の CG建築学は数学的計算が無ければ成り立ちません。哲学は、数学よりも独立した学問と言えますが、大学院時代の哲学の同僚に言わせれば、数学は無くても良いが、数学的な証明の手法を用いた方が理論に権威が付く、とありました。心理学をしている友人が多く居ますが、基本的に統計が使えないと調査ができません。精神物理学と言う概念もあり、数学を使います。教育学は、心理学を(一部)借りている学問のようなものですから、そういう意味では数学は必要です。 政治学・法学言語学には数学は及ばずですが、それでも、前者では数学の論理性を知っておくこと、科学技術の礎たる数学の教養を嗜んでおくことは不要ではないでしょう。後者は、統計的手法、暗号理論を知っておけば、より解析しやすいでしょう。占術は、非科学であると立場が低く見受けられていますが、ビックデータを処理できる現代では、統計・AI の発展と共に数学で解析できるものとなるでしょう。ただ、それでも、自分にとって数学は要らない、と考えを変えない人も要るでしょう。

■(第二理由)形式陶冶性(論理性など)
 第二の回答として、思考力・論理性(演繹性)整合性、抽象性などを鍛える練習として、捉えられます。これは必要でしょう。だから、数学は難しいのであって、乗り越えた所に達成感が広がっているでしょう。他の学問よりも、数学は、より強力で抽象的な理性的な思考を必要とします。それはこの正解のない世界に、解を見いだすという一つの道筋を表してくれています。
 ただ、考える訓練ということならば、他の学問、他の機会や経験の方が、文系には興味があるし、向いているかもしれません。


■(第三理由)教養
 第三の理由を強調したいのですが、その前に、高校の数学が贅沢だ(義務教育ではない)と言うことを再認識しておきましょう。さらに、「役に立つ」という意味は、「必須」であるという意味とは異なることにも留意しておきます。その上で、「教養として知っておく」という意義を伝えます。幅広い意味がありますが、単に物知りになる、自分に関係ないことでも知っておいた方がよい、ということではありません。(もちろん、これも必要だと思います。)

■(第三理由)社会での数学の必要性
 そもそも、この成熟した社会で働くにあたって、数学も他の学問も必要ありません。「あったら有ったで良い」くらいの認識でしょう。たしかに不要です。より詳細に言及すれば、数学に詳しい一部の人間が、様々なものを用意してくれているので、それを享受すればよいと思います。たしかに、そうです。それも否定しません。その一部の人間に成れとは (強要しては)言いません。(成ってほしい気持ちはありますが。)


■(第四理由)想い
 しかしながら、最も言いたいことは、今ある学問、今ある仕事の中で思考を満足するのではなく、「新しいこと」を為して欲しいということです。そのときに、何を学んでおく必要があるでしょう。もちろん数学など不要な場合もあるでしょう。ただ、理系・文系、今流行の 情報系、医学にも美術も、他にも、これだけ幅広く活用されている(昔の第一人者が数学とリンクさせた)歴史がある学問(mathematics)を知っておけば、未知なることに対して、何かしらのアプローチとして利用できそうだと思いませんか。大きなことでなくても、何かしら小さな『新しいこと』であっても状況は同じです。
 特に、先頃、新しい時代になったばかりです。何かの第一人者になるべき(なってほしい)皆さんには、新たな未知を切り開くために使われてきた(歴史が示している)強力な思考手段・科学技 術の礎である数学というものを、その教養を興味と共に身に付けておいてほしいのです。


■勉強方法
 数学は、たしかに難しいです。ただ、勉強内容にだけ思考を巡らすのではなく、その勉強手法も含めて、そこまで自分で考えるべきことです。自分の勉強をしてください。分からない 所は、あなたの分からない所です。それを解決するのは自分の勉強しかありません(質問してもよいです)。


■まとめ
 教養の部分を強く推しましたが、ここまで書いたことは、全て数学の勉強を上手くすれば得られることです。数学は、理系文系問わず幅広く利用され、考える礎・考え方の礎となっている。その上で、直近には、受験の為に数学は必要だし、数学パズル等をはじめ、面白さや達成感を得られやすいものだとも思います。
 これらを踏まえて、「自分にとって数学は不要」と思うのであれば、自分で意義を見いだすか、諦めて受験の為だけにほどほどに勉強するか、勉強をしない(捨てる)、のどれかで良いと思います。 ただ、もう一度、高校の勉強は贅沢であることを思い出してください。勉強は、しなければならないことではなく、そもそも贅沢なのです。数学から逃げ続けても何も支障はありません (それで自分自身が良ければ)。ただ、それらはいずれも、自分の夢と道筋が明確に定まっている人間だけができることだと思います。


■まとめ 2
 これらの理由と想いを持って、皆さんに数学を学んで欲しい、と思っています。教科書の内容の中には、一見ショボいもの、無味乾燥のものもありますが、たいが、大きな理論・結果の初歩の一手となっています。分からなければ、聞いてください。どれくらい精確に応えられるかは分かりませんが、できるだけ世界が広がるように努めます

(以上、ここまで)


◎ 最後に、

 今回の『記事』では、数学を勉強する意味の一つを語りました。でも、子どもの数だけ「数学を勉強する意味」があります。(それは言い過ぎかな?!)他にも「数学を勉強する意味」は持っていますので、また一つずつ伝えていきます。

 今回も、ここまでお読みいただき、有り難うございます。HSoplusMATHより。

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自分の考えの整理がスキなので「記事」にします。よろしくお願いします。 先生×数学教育で、自分の経験を話にしていきます。 これらの「公約数」ではなく、「公倍数」で仕事をしていきたいです。