2022-08-05

文体の舵を取っていた。
以下は今回提出した文章とその反省、感想。

第二章 句読点と文法


〈練習問題②〉ジョゼ・サラマーゴのつもりで

 一段落〜一ページ(三〇〇〜七〇〇文字)で、句読点のない語りを執筆すること(段落など他の区切りも使用禁止)。
 テーマ案:革命や事故現場、一日限定セールの開始直後といった緊迫・熱狂・混沌とした動きのさなかに身を投じている人たちの群衆描写。

戦国の世では響き渡る法螺貝の音色が開戦の合図として知られていたが現代のスーパーにおいては店員のメガホンによるただいまからタイムセールのお時間ですという掛け声が開戦の合図でありいざそれが行われると先程まで平々凡々といった様相で買い物に勤しんでいた客は皆たちまち威圧感を放ち軍功を挙げようと一心不乱に開戦の合図がなされた売り場へと向かい行く手を阻む敵を追い抜かしたり突き飛ばしたり自分を追い越そうとする敵には決して追い抜かされないように背中で進路を塞ぎ無理に進路をこじ開けようと突進してくる敵にも動じず不退転の覚悟で急ぎ特価商品を奪える分だけ奪っていくその姿はもはや平々凡々なお客様などではなく手柄すなわち首級を挙げんと躍起になって血眼で戦場を見回す豪兵そのものでありしかも店内にいる全ての客がそのような豪兵へと変貌を遂げるためタイムセール中のスーパーはまさしく戦場に他ならなかった。

反省点

・スーパーを戦場に例えるのがありきたりすぎて面白くない。
・単に『スーパー』と言うだけでは説得力が薄い。このように混んでいるスーパーなんてそうそうないため、『スーパー』だけではイメージを喚起させられない恐れがある。
・重複表現が多い。
・現代と戦国時代を対比させるのであれば、戦国時代の描写をもっと入れた方が釣り合いが取れる。
・戦国時代の描写が浅い。(血眼で戦場を見回す ← これはシンプルにださすぎる)

感想

句読点のない一文ということで、幸田露伴『五重塔』(あれは読点だらけだが)のような、一文一文がやたら長いものの、実際は主語と述語がすぐ近くに置かれており、それで一文とするのであればかなり短くなるところを、接続詞によって長文にする、という書き方から、読点をひっこ抜いたら長文で読点のない一文が完成すると考え、実践した。
結果、読点を省いたにも関わらず無理のない語りの文章を作成できたと個人的には思った。しかし、句読点抜きでも語りとして意味のあるものを成立させようというところにばかり気を配ってしまって、語る内容が面白くなくなってしまった。
また、わざわざこうして文体の舵を取っていこうとしている以上、手癖で書こうとせず今までと異なるアプローチで文章を書くことも考えなければならないと感じた。
どうせなら成長するやり方を取っていった方が良い。

以上。

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