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中国進出に失敗し続けるアメリカの歴史と米中対立の行方

世界最大の資本主義経済の持ち主であるアメリカ合衆国にとって、世界最大の人口を誇る中国の巨大市場はアメリカにとって長い間垂涎の的でした。しかし、その中国市場を取り込もうとしてきた歴史がありながら、きちんとアメリカ的資本主義経済に取り込めたことは過去一度もありません。

アメリカの資本主義経済が発達して太平洋に乗り出してきたのは南北戦争後の19世紀後半からとなります。19世紀末には日本を含む列強各国が既に権益を得ていた清朝末期の中国市場へに後追いで乗り込みました。その時点でアメリカに残された権益はすくなく、機会均等・門戸開放のスローガンを掲げて「俺にも中国の旨い汁を吸わせろ」と列強各国に要求しました。

しかし、列強は当然ながらそんなスローガンなんか無視したわけですが、次第に力を付けていくアメリカに対し英仏独露伊などのヨーロッパの大国は第一次世界大戦で敗戦もしくは大きな痛手を被りました。大戦の終盤に参戦したアメリカの被害は少なく、経済力で国家間の力関係がひっくり返ってしまい、英仏伊はアメリカに対しての発言権が弱まり、ドイツは敗戦と賠償で国家経済が破綻状態になり、ロシアは革命で共産主義政権になりましたのでそれどころではありません。

そんな中、アメリカと同じく大戦で直接的な被害を被らなかった日本は中国への干渉を強め、それに対してアメリカが抗議し続け、最終的には極東全体において利害が衝突した日本とアメリカが太平洋戦争を戦うことになりました。結果としてはご存じの通りアメリカの勝利となり、晴れてアメリカは中国に手を突っ込める、と思ったら、毛沢東率いる中国共産党政権の樹立によって、それまで以上にアメリカは中国大陸から弾き出されることになってしまいました。

20世紀末、世界各国の共産主義政権が倒れていく中で中国の共産党政権は鄧小平の指導の下、市場を開放して資本主義経済を取り入れました。ここで晴れてようやくアメリカが大手を振って中国市場に進出できました。天安門事件やその後の人権侵害問題がありつつも、欧米各国は中国市場の巨大さのために妥協し、経済的繋がりを重視して人権問題は時々指摘する程度に抑えました。中国にとっても世界の工場になることで爆発的な経済成長を手に入れることが出来たので、各国政府にとってはWinWinの関係で進みました。

このまま中国市場が資本主義経済になっていくかと思いきや、中国が経済力とそれに伴い軍事力も付けてきたことで、鄧小平の「韜光養晦」路線を捨て、アメリカが持つアジアにおける覇権に露骨に挑戦してきました。20世紀前半の日米対立のように21世紀前半の今は米中対立が発生しました。

今次の米中貿易戦争は短期的には暴れん坊のトランプ大統領と独裁性を強める習近平による争いですが、歴史的には必然とも言える対立です。誰が大統領で誰が国家主席であってもいつかはこのような米中対立は生まれていたはずです。中国はアメリカを相手に例えば中国外のアジアの覇権を望んで軍事や経済で勝負を挑んでも勝てませんが、中国における経済市場をアメリカに渡さない、アメリカを追い出す、ということに限定すれば可能でしょう。ただし、その場合は欧米市場における自由なアクセスを中国側も失います。そうなると日本・朝鮮半島・東南アジア各国への帝国主義的経済進出を強めてくるでしょう。でないと中国内の生産物をさばききれません。帝国主義が生まれて死んだ19世紀から20世紀にかけての歴史を学ぶべきです。どうやって日本が様々な干渉や圧力を排除して日本の国益を確保するか、そのために歴史を学ぶことは決して無駄にはならないでしょう。

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