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SimpleではないAppleと、革新的ではないIT産業

昨年発売されたiPhone12miniはあまり売れ行きが良くないそうです。

個人的には、小さめのiPhoneが欲しい人はSE2を選ぶだろうし、高性能のiPhoneが欲しい人は12ProやProMaxを選ぶと思います。12miniはラインナップでダブついているポジションになってしまっているのでしょうね。

思えば、iPhoneも種類が増えました。4Sまでは最新製品は1種類でしたが、5と5sが出てから複数が出るようになり、今では12Pro、12ProMax、12、12mini、SE2と5種類になりました。

iPadもジョブズが発表したときはもちろん1種類でしたが、今ではiPad Proが2サイズ、iPad Air、iPad、iPad miniと5種類あります。

ApplePencilですら2種類、AirPodsも3種類、Apple Watchも2種類が最新製品としてラインアップされています。

Macに関して言えば、2015年から出ていた無印MacBookが消滅したので、数年前に比べるとサイズ展開から見れば製品点数は減っているのですが、IntelMacとM1 Macが混在しているのでさらにややこしくなりました。

いずれはAppleSiliconオンリーになるのでしょうけれど、何年も先の話ですのでまだまだApple製品の陳列棚は減ることは無さそうです。

まあ、そもそもMac自体がApple全体の売上高の中では少なめですので、ラインアップが増えても減っても大差ないかも知れません。

AppleはSimpleであるということがアイデンティティというか、DELLやHPみたいに闇雲に製品を増やしていかないことが高い利益率の源泉でもあったはずですが、カラーバリエーションも含めてここまで増えると、だんだん他のメーカー系大企業に近付いているようにも見えます。

ティム・クックがCEOになってからラインナップが多くなったとも言えますが、売上・利益のアップを求める株主からの圧力にも逆らえないのかも知れません。

そういう意味では、奇人・変人でもあったスティーブ・ジョブズだったら株主なんか平気で無視していたでしょうし、そんな姿勢をユーザーも支持していたでしょう。

もうジョブズが亡くなってから今年で10年です。未だに彼の影を追ってもしようがありません。ただ、Apple=Simpleという等式が徐々にニアリーイコールになりつつあるのは間違いなさそうです。

先日、クック自身が10年後にはAppleにいないと発言しました。もう既に10年近くCEOをしていて、ここからさらに10年というのはないということですが、まあそうでしょうね。

さすがに次のCEOとなると、ジョブズやジョニーアイブがいるAppleを知らない世代になるかも知れません。その頃になると、Appleも特別な企業ではなく普通の大企業になっているのでしょうか?

そう言えば、ウォーレン・バフェットはIT企業・テクノロジー業界には手を出さなかったですが、唯一持っているのはアップル株です。GAFAMの中でアップルのみ、ハードウェア販売から始まり、今も核になっている企業です。GoogleもAmazonもFacebookもMicrosoftもネット企業・ソフトウェア販売がメインです。これがバフェットにとっての違いだったのかも知れませんが、見方を変えるとAppleのみ、バフェットの理解しやすい企業になってきたとも言えます。

IT業界自体が、爆発的に変化が起きうる産業ではなくなっているかも知れません。数人で始めたベンチャー企業は大きくなっていく途中で資本を受け入れたり、買収されたりしていきます。

これからGoogleやFacebookのような企業が新たに出てくるかというと微妙に思えます。Instagramが売上が全く無い時にFacebookに買収されたように、完全に一匹狼で巨大になることは難しい時代です。

大企業が中小企業を買収してさらに巨大になっていく、かつての鉄鋼業や自動車産業などがたどった道をIT業界も進んでいます。IT業界はこれから人工知能が一大産業になるのかも知れませんが、ある意味想像の範囲内です。50年どころか、30年前と今との違いと同じ差が、今と30年後の間にあるとは思えません。

21世紀の後半をリードするような、地球規模のブレイクスルーが起きるのは、IT業界ではなくて全く別の新しい業界じゃないでしょうか?

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