日本人が遂に感じる物価高とその影響

世界的な物不足とインフレに加えて、日本の場合は脅威的な円安と相まって、様々な分野での値上がりが目に見えて現れるようになってきました。

ウクライナ戦争が始まる前から、既にコンテナや運転手などのロジスティクス面での不足があり、中国のゼロコロナ政策によるサプライチェーン危機があったのですが、そこでウクライナからの穀物が途絶えたことによる小麦など食料品などにも世界的な影響が出ています。

そして途中までは政府・日銀も輸出面でプラスになると言って円安を容認していたこともあってか、日本円が歴史的な値下がりをし続けています。

これらの影響により日本でもインフレ気配が出てきました。それでも欧米に比べるとまだマシのようですが、それでも飲食料品、日用品、電気ガス料金の値上げによって、日本人も物価高を痛感せざるを得なくなりました。

急にこんなに値上がりするなんて、と思う人も結構多そうです。そもそも、通常の健全な経済状態ですが、年2%程度のインフレが当たり前なのですが、日本ではこの20年、30年近い間はインフレどころかむしろデフレ状態でしたから、物が値上がりしていく感覚を知らない、あるいは忘れた人がほとんどです。特に若い人は生まれたときからほぼ物価が変わっていないという世界的には異例な経済です。

それでもこの30年間、ずっとお得だなあと買い物していた人もいません。「モノ」の値段は上がらなくても、実際には消費税が上乗せされているため、ずっとデフレだということを実際に支払う金額としては実感出来ません。

3%の消費税が導入され、5%になり、8%になり、10%になってきたため、生活の実感としてはデフレを享受してきたというよりは、増税分は苦しんだ、あるいは収入の方が減って苦しい、という感覚の方が多いでしょう。

増税分・減収分の感覚が強いと実際の物価自体が値上がりしていないことを認識しづらくなるのは当然です。

その一方で労働者の賃金は上がらず、社会保障費は上がり続けます。そんな状態で日本の将来のために生産性を上げなければならないというのは無謀なプランとしか思えないのですが、実現出来るでしょうか?

さらに収入・資産の格差も広がっていますので、平均値の動きが無くても生活の質が悪化した人は確実に増えます。

贅沢品・嗜好品が値上がりするのはともかく、生活必需品が値上がりすると、収入・資産の少ない人の苦境が増すことになります。

世界的な物価高と歴史的な円安によって色んな分野でのモノの値段が上がっていくわけで、食べ物の値上がりも待ったなしです。特に輸入品は円安とのダブルパンチです。輸入品の肉や小麦をそのまま調理や加工して作っているものは値上がりせざるを得ないでしょう。

国産品と銘打っていたお店や名産品などが、もし値上がりしたら実は輸入品を使っていたかも……、まあ、自給率の高い卵でも鶏の餌が輸入飼料ばかりで、その影響で値上がりしてもおかしくないですから、必ずしも偽装ということでも無いでしょうけれど。ようやくコロナ禍から抜け出せそうになってきた飲食店はさらに厳しい状況になるのは間違いないですね。

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