サブスクリプションサービスの合算割引と、独立系サービスの生き残り
Appleがこの度、AppleOneというサブスクリプションをまとめたサービスを発表しました。
AppleMusicやAppleTV+など多くのサブスクリプションサービスをAppleは出していますが、パッケージにすることで複数のサービスを利用している人に割引を適用するみたいです。
Appleに関してはサービスごとの利用者数が大きな差が出ているために総合してより大きな売上を上げるための戦略なのかも知れません。
Googleもいろいろなサブスクリプションサービスを運営していますが、課金はそれぞれ独立しています。GoogleDriveの容量はGmail、Googleフォトにも使用出来ますが、YouTubeプレミアムが割引になるわけではありません。ビジネス向けですがGsuiteやGCC(GoogleCloudComputing)といったものともメールアドレスで紐付けて割引してくれると個人的には面白いですが利用者は少ないでしょうね。あるいは、AndroidのGoogle Playでアプリ購入時の支払が何パーセントか割引になるとか。
Amazonは、プライム会員にはAmazonMusicの割引適用があります。一応、AmazonDriveというクラウドストレージサービスもあって、プライム会員は写真に限り無制限で使えますが、メインで使っている人いるんでしょうか。AWSでの割引というのは、GCC同様あまり利用者はいないでしょうけれど。
顧客の囲い込みから考えると、こういったサブスクリプションサービスを複数使う消費者に割引を提供するのはごく自然な流れだと思います。
AppleOneが成功すればGoogleやAmazonなど多くのサブスクリプションサービスを抱えているところも追随するでしょう。
そうなると、独立系というか、単一のサブスクリプションサービスで成り立っている企業は劣勢になります。
音楽ならSpotify、ストレージならDropBox、チャットならSlackなど、過去に巨大IT企業に買収されるかも知れなかったけれど独立発展の道を選んだサービスは、苦境に立ってから買収されるというのも難しいでしょう。
そうなるとジリ貧になりますが、他のサブスクリプションサービスと連携して共同利用時の割引という手もあります。
その場合は同じメールアドレスで本人確認するか、共通のIDやシングルサインオン(SSO)で共通利用割引を適用することになるでしょうか。
割引することで売上・利益が減るのか増えるのか、参加する企業・サービスによって差が出てくると、割を食っている側はすぐに撤退するでしょうし、そうなると企業間で利益配分も考えないといけないでしょう。
GoogleやAppleに比べると小さいとはいっても、どの企業も一般的には十分に巨大ですし、株主からは利益に対するプレッシャーがあるでしょうから、多数の企業が参画するのは難しいかも知れません。
そうなると、結局GAFAなどの巨大企業がさらに巨大になっていくわけですが、アメリカの公正取引委員会がどこまで介入するかにもよります。現にAmazonに対して、ネットショップ部門とクラウド部門に分けろという圧力はあります。Googleなら検索・広告部門、Android部門はどちらも十分巨大です。Appleでも確か、ハードウェア販売と、App Storeを切り離せという意見もあったと思います。
ただ、事業分割までは出来ないでしょうね。かつてMicrosoftに対してはそこまでさせられませんでしたし。そもそも分割したら力が弱まるとも限りません。分割されてかえって効率化が進んでさらに大きくなるかも知れませんし。
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