友部 博教(HRMOS WorkTech研究所 所長)
「ハイパフォーマー分析」をどこから始めるか
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「ハイパフォーマー分析」をどこから始めるか

友部 博教(HRMOS WorkTech研究所 所長)

こんにちは。WorkTech研究所の友部です。

人事でデータ活用や分析をしていると、退職分析と同じくらい相談を受けるのが「ハイパフォーマー」に関する分析です。「そもそもハイパフォーマーと呼ばれる人がどの部署にどれくらいいるのかを知りたい」というものや、「ハイパフォーマーの性質を知りたい」などです。これらを分析で解決できるのではないかと考えるのは自然なことだと思います。

会社や組織の生産性を向上するために、ハイパフォーマーの再現性がわかれば有効です。社員の活躍を支援してハイパフォーマーにすることや、ハイパフォーマーの退職率を下げたい、などがあるかと思います。

またパフォーマンスに関する指標を作ることができれば、人事における分析やデータ活用に有効です。パフォーマンスに関する指標は人事のKGI(Key Goal Indicator)として利用できるため、人事施策の効果測定や横並びでの比較が可能になり、データに基づく課題の優先順位付けや人事戦略立案などが期待できます。

ハイパフォーマーの分析として、主に以下のようなテーマがあるのではないでしょうか。

  • ハイパフォーマーを増やす
    - ハイパフォーマーになりうる人を採用したい
    - 社員を活性化してみんなハイパフォーマーにしたい

  • ハイパフォーマーを減らさない
    - ハイパフォーマーのパフォーマンスを維持したい
    - ハイパフォーマーの退職率を抑制したい

これらを行うために、ハイパフォーマーの特性を分析する必要があります。今回はこのハイパフォーマー分析について、まずどこから始めるとよいか、について考えてみました。

何の話?

  • ハイパフォーマーって人によって定義が違う

  • 定義にはいくつかの基準がありそうだから整理してみた

  • ハイパフォーマーの定義をすり合わせることが大事

ハイパフォーマー分析は難しい

ハイパフォーマーの分析を行いたいというニーズは高いものの、中々すすめるのが難しいことが多いです。その一番の理由が、パフォーマンスの定義があいまいであることかなと思います。

ハイパフォーマーはその文字通り高い生産性を上げる人、のことを指すのですが、企業や組織のフェーズ、業態、職種によりニュアンスが微妙な違いを感じることがあります。現場において、現在高いパフォーマンスを出している人をハイパフォーマーと呼んだり、成長著しい若手社員をハイパフォーマーと呼んだり、立場により見ているところも違うので、実際認識合わせをしてみるとバラバラなケースも多くあります。

データを集めてハイパフォーマーの分析しようとするなら、ハイパフォーマーの定義が必要になります。その定義も、「高い生産性を上げる」からもう2,3ステップ深めた定義でないと、数字やデータに落とすことは難しいです。職種によっては、受注数や売上などをパフォーマンス指標とすることができますが、バックオフィスやエンジニアなど、直接的な売上数字を持っていない部門に関しては具体的な指標を作るのに苦労しているかと思います。

また、ハイパフォーマー分析によく用いられるデータに、人事評価データがあります。これもパフォーマンスの指標としてはある程度有効ですが、目標設定や評価の質に影響を受けるので、制度の運用状況次第、というのが正直なところです。

そこで分析に必要なデータ集めや指標づくりの前に、まずはハイパフォーマーとはなんぞや、という定義を社内や組織で明確にすることが重要です。

ハイパフォーマーの定義

定量的な指標を考える前に、そもそもハイパフォーマーを定義する必要があります。これまでいろいろな人事の方々と話してきましたが、ハイパフォーマーの定義は企業や組織のフェーズ、立場によってバラバラであるものの、いくつか基準となりそうな種類がありそうです。

いくつか基準をピックアップしてみました。

実績によりハイパフォーマー定義する場合

ハイパフォーマー定義でわかりやすいのは、実績(成果やアウトプット)をたくさん出している人です。会社や組織に大きな利益をもたらしてくれる人なのでハイパフォーマーと言えます。これまでの実績の大きさや期間により定義すると、以下のようなパターンがあるかと思います。

  • 直近のアウトプットの絶対値が大きい人

  • 入社してからこれまでのアウトプットの総量が大きい人

  • 期待されている役割に対して、出しているアウトプットが大きい人

将来性によりハイパフォーマーを定義する場合

一方で、これまでの実績にとらわれず成長度合いを見た上で将来に期待してハイパフォーマーと呼ぶ場合もあります。今後大きなアウトプットを出す可能性から定義すると、以下のようなパターンがあると思います。

  • 現時点で期待されている役割が高い人(抜擢人材)

  • 成長速度が早い人

  • ポテンシャルがある、将来大物になりそうな人

ポテンシャルをどう計測するか、についてはもう一段深堀りが必要ですが、マネージャーや人事の見立てから測ったり、視座の高さや情報のキャッチアップの貪欲さなど定義をより具体的にしていくことで計測できるのではないかと思います。

実績による定義でも将来性による定義でも、共通なのは「この後高いパフォーマンスを出してくれるか」の期待の予測であることです。いわゆる将来のeLTV(Employee LifeTime Value:従業員生涯価値)が高い人が誰かを、これまでのアウトプットから予測するか、その成長率などから予測するか、の違いに過ぎません(eLTVの考え方や定量化についてはこのnoteで改めて詳細に説明いたします)。実績による定義についても、過去貢献してくれた人を探したいのではなく、今後持続的にアウトプットを出し続けてくれる人を探したい、ということになるかと思います。

どちらにしても、ハイパフォーマーは何らかのアウトプットに紐づく定義になります。業種や職種によりアウトプットの形は異なると思いますが、経営や事業に直接的でも間接的でも影響を与えるものであることが重要です。

ハイパフォーマーの定義をすり合わせる

ハイパフォーマーについて議論するときには、どの要素を指しているのか、あるいはどの要素とどの要素を組み合わせた話をしているのか、明確にすることが重要です。ここがしっかり定義できてしまえば、そこからどのような指標を取ればいいのかわかるので、分析を始めることが可能になります。

とっかかりとして社内のハイパフォーマーを何人かリストアップしてみて、それぞれの人が上記のどの定義に当てはまるのかチェックするとよいと思います。自社基準でのハイパフォーマーが言語化できるので、ハイパフォーマーに関する分析を一歩進めることができます。

今回のnoteではハイパフォーマー分析のはじめの一歩として、ハイパフォーマーの定義についてお話しました。定義に応じて、具体的にどのような指標を見るべきか、その指標を見るためにはどのようなデータを取得するべきか、についてはWorkTech研究所で研究中です。別の機会にこちらのnoteでもお話できればと思っております。

人事データの活用や、人事関連の指標の開発、分析の考え方などWorkTech研究所へのご相談やnoteへのリクエスト等ございましたら、引き続きお気軽にお申し付けください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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友部 博教(HRMOS WorkTech研究所 所長)
東京大学大学院で博士号を取得後、名古屋大等でコンピューターサイエンスの学術研究に取り組む。2011年、DeNAに入社し、マーケティング分析やピープルアナリティクス施策を担当。メルカリの人事を経て、ビズリーチに入社。タレントマネジメント室と現職を兼任。ディズニーが大好き。