友部 博教(HRMOS WorkTech研究所 所長)

東京大学大学院で博士号を取得後、名古屋大等でコンピューターサイエンスの学術研究に取り組…

友部 博教(HRMOS WorkTech研究所 所長)

東京大学大学院で博士号を取得後、名古屋大等でコンピューターサイエンスの学術研究に取り組む。2011年、DeNAに入社し、マーケティング分析やピープルアナリティクス施策を担当。メルカリの人事を経て、ビズリーチに入社。タレントマネジメント室を経て現職。ディズニーが大好き。

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人事施策の効果測定をどうやって行うか

今回は施策の効果測定のお話です。 どうやって人事施策の効果測定をするのか、は私もよく相談される内容でもあります。今回は、人事で効果測定をどうやって行うか、について書かせていただきます。 人事において施策の効果測定を行うためのポイント人事において施策の効果測定を行うためにはどのようなポイントがあるのか、以下の3点にまとめてみました。 施策の狙いを明確にする あらかじめ分析の設計を行う 定期的に効果測定方法を見直す それぞれのポイントについて簡単に説明します。 施策

    • 人事において「成功事例」をどう受け取るべきか

      人事におけるデータ活用や分析のお話をいろいろなところでさせていただいてますが、その中でも良く聞かれる&いただく反応がよいのは「事例の紹介」、特に、「施策の成功事例」です。 「会社や組織を良くしたい」という想いから、ご自身の手で施策を設計・運用している人事の方は多いです。特に、人事課題は見えているものの、「打ち手」がない時、「施策の成功事例」を参考にしたいと思うのは当然のことだと思います。 成功事例からインスピレーションを受けて、課題解決にドンピシャの施策を設計できることも

      • 「びっくり退職」をなくしたい

        「びっくり退職」というものがあります。優秀な今後を期待される社員が、突然退職してしまう、という事象です。現場でマネジメントを行っている管理職の方も、もちろん人事の方も、全く予期していなかった退職を告げられた瞬間は驚き、次の瞬間には業務に穴を明けないために人員をどう補填したらいいのか、それまで今いるメンバーに負担かけないようにしなきゃ、などと思いを巡らせてしまうため、「びっくり退職」はできればなくしたいものでもあります。 「ちょっとお話があるんですが…」と部下から声をかけられ

        • なぜ人事データが集まらないのか

          こんにちは。HRMOS WorkTech研究所の友部です。 人事でデータを活用するためのツールとして採用・労務・タレントマネジメントなど各種機能に対応した人事システムがあり、人事で利用されている方も多いでしょう。一方で、そういったシステムの導入に人的リソースや金銭的コストなどを投資したにも関わらず、「期待以上のデータ活用ができていない、時には期待通りでさえない」と感じている方もいらっしゃるかと思います。 人事システムの得手不得手や、その機能が会社の課題と合致しないことが、

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          ChatGPTを使ったデータ分析で人事は今後どう変わるのか

          こんにちは。WorkTech研究所の友部です。 以前、ChatGPTを使って人事でどんなことができそうか、について、こちらのnoteに書かせいただきました。 その後、2023年7月にリリースされた「Code Interpreter」という機能がリリースされました。ネーミング的にも、エンジニアとか技術系の人しか関係ない機能なのでは、という風にも見えますが、人事の方でも十分活用することができる機能です。この機能を使うと、人事データを使った分析が、データアナリティクスに詳しくな

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          早期離職率は何%が適切なのか

          こんにちは。WorkTech研究所の友部です。人事領域でよくモニタリングされるKPI(重要業績評価指標)の一つに、離職率(退職率)があります。退職率が人事や経営に頻繁に参照される理由は、以下の三つがあるでしょう。 データの収集が容易である。 結果指標として活用しやすい。 会社の状態を視覚的に理解しやすい。 では、実際にKPIとして退職率を活用するとき、一体何%が適切なのでしょうか。 適切な退職率は会社や事業のフェーズによって変わる退職率を数字として算出すると、「この

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          人事でChatGPTは使えるのか

          こんにちは、HRMOS WorkTech研究所の友部です。今回は巷で話題になっているChatGPTについて、です。ChatGPTは最先端の自然言語処理技術の一つで、文書生成や応答を非常に高い精度でこなすので注目されています。 ChatGPTについて、文書校正や英語学習への応用など様々な使い方が考案されています。実際、ChatGPTが何ができるのか、使い方などは研究者や技術者すら驚くような使い方が報告されています。 では、人事領域においても、ChatGPTは使えるのでしょう

          人事で活躍する「データ活用人材」のイメージ

          こんにちは。WorkTech研究所の友部です。人事でデータ活用を行いたい、と思ったとき、必要となるのはデータを効果的に扱える「データ活用人材」です。 データ活用人材のイメージは、事業で活躍するデータサイエンティストの要件など参考になるでしょう。育成に当たっては、データサイエンティスト育成の講座など、材料となるものはいろいろあるかと思います。 では、「人事で」データ活用ができる人材はそのイメージと同じなのか、それとも違うのでしょうか。これまで事業におけるデータ分析と人事にお

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          組織開発を定量的にどう評価するか

          こんにちは。WorkTech研究所の友部です。年末年始いろんな情報を眺めていた中で、「パフォーマンスが高くないと判断されてた人が退職したら、実はその人がハブになっていて業績が悪化した」という内容のものがあり気になりました。これは極端な例ではありますが、これに近いことはいろんな企業・組織で起こりうるかもしれないな、と思っています。 経営目線で人事を見ていると、ビジネスに直結する「個人のパフォーマンス」へ目が行きがちです。一方で、個人のパフォーマンスを下支えする活動に関しては見

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          採用のKPIをどう考えるか

          こんにちは。WorkTech研究所の友部です。このnoteでは人事におけるデータ活用を中心に書かせていただいてますが、これまで社内にいる人財をどう活用するか、を中心にお話をして来ました。いわゆるタレントマネジメント領域のお話ですが、人財を活用しようにもそもそも入り口の採用がちゃんとできていないと、活用どころではありません。そこで、今回は入り口である採用におけるデータ活用について、とっかかりとなる話をしたいと思います。 こちら研究所でも直近のホットトピックでして、「採用のKP

          従業員サーベイが「大変」なのはなぜか?

          こんにちは。HRMOS WorkTech研究所の友部です。 今回は従業員サーベイ(アンケート)の話です。組織の課題発見や従業員の方々のコンディションを把握するに当たり、従業員の方々にアンケートで直接聞くというのは非常に有効な手段です。私も人事で何回も関わったことがありますが、時々こう感じてしまうことがあります。 従業員サーベイは大変。 人事で従業員サーベイに関わって、「こりゃ大変だ」、と感じたことがある方もいらっしゃるでしょう。何が大変のか列挙してみます。 サーベイの設

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          退職率15%の世界

          こんにちは、HRMOS WorkTech研究所の友部です。今回は皆さんが特に気になっている人事のテーマである「退職」、特に「退職率」の話をします。 人事データの中でも、比較的算出しやすく、かつキャッチーな指標である退職率。人事の課題やデータ活用を考えるキッカケにもなる指標で、可視化することで戦々恐々となります。 ただ、退職率を出してみたものの、それが良いのか悪いのか、退職率の絶対値を見てもよくわからないまま右往左往することもあります。一年前や二年前と比較したり、部署間や職

          「ELTV(従業員生涯価値)」の最大化を考えることで人事に何ができるか?

          こんにちは。HRMOS WorkTech研究所の友部です。 私は人事の方々とお話する機会も多いのですが、みなさん、様々な業務に対応し、忙しい日々を送っていらっしゃいます。 なぜ人事の方々が忙しいのか、にはいろいろな理由があるかと思いますが、とにかく扱わなければいけない施策が多いのではないでしょうか。 そしてそれを取捨選択しなければならないのですが、優先順位を決めるのが非常に難しい。そのようななか、優先順位を決める時に「とにかくパフォーマンスが上がればいい!」とか「エンゲージ

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          「リファラル採用」は本当に効果的なのか?Visionalの人事データを基に検証してみた

          こんにちは。WorkTech研究所の友部です。 私自身、現職も前職もリファラル採用により入社しました。リファラル採用とは自社の社員紹介による採用のことを指します。人となりを知っている方からの紹介のため、事前に会社や働いている人のことを深く理解できたり、自分に期待される役割が明確になる等、私自身の体感的にもリファラル採用のメリットを感じていました。 採用する会社にとっても、リファラル採用はポジティブに捉えられている事が多いですが、定性的な印象から判断されることが多いとも感じ

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          人事領域に「KPI設計」が必要な理由

          こんにちは、WorkTech研究所の友部です。 前回は「ハイパフォーマー分析をどこから始めるか」について書かせていただきました。パフォーマンスについての定義が決まれば、それをベースにKGIやKPIを設計できるので分析にとってHappyだよね、というお話でした。 人事に限らず事業やサービスにおいて、分析やデータ活用において切り離せないのがKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)です。私のような分析屋の最大の仕事はKPIのデザインである、と

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          「ハイパフォーマー分析」をどこから始めるか

          こんにちは。WorkTech研究所の友部です。 人事でデータ活用や分析をしていると、退職分析と同じくらい相談を受けるのが「ハイパフォーマー」に関する分析です。「そもそもハイパフォーマーと呼ばれる人がどの部署にどれくらいいるのかを知りたい」というものや、「ハイパフォーマーの性質を知りたい」などです。これらを分析で解決できるのではないかと考えるのは自然なことだと思います。 会社や組織の生産性を向上するために、ハイパフォーマーの再現性がわかれば有効です。社員の活躍を支援してハイ

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