【離婚しないためのツボとコツ】(離婚のツボとコツ)

*この記事は、『離婚のツボとコツがゼッタイにわかる本』(秀和システム、2016)の絶版に伴い、著者が「おわりに〜離婚しないためのツボとコツ」に一部加筆して掲載しているものです。

「離婚の原因で多いのは何?」

とよく聞かれます。あくまで、私の経験上のお話ですが、直接の離婚原因で多いのは、やはり、暴言や暴力、不貞です。ただ、夫婦の間で、結婚当初から、暴言や暴力、不貞があった、ということは、ほとんどないのではないかと思います。
 そういった夫婦の不和がどこから生じてきたのかと考えてみると、やはり、生活習慣のズレに対する不寛容さからなのではないかと思います。

(1)自分は毎日タオルを取り替える主義なのに相手は1週間に1回しか取り替えない

(2)自分は毎日掃除機をかける主義なのに相手は1週間に1回しかかけない

(3)自分は毎日洗濯機をまわす主義なのに相手は洗濯物をためて2日に1回しか回さない(これで、節水・節電論争まで起こるかもしれません)

(4)自分は相手が出かける時は玄関まで行って笑顔で見送る主義なのに相手はリビングから一声かけるだけ

等の、自分は○○するのに相手は○○しない、という「違い」は、挙げはじめるとキリがありません。
 このような「違い」が、少しずつ不和を拡大していきます。不和という表現は少しおとなしめかもしれません。「自分の常識から外れている、人格的におかしい人」という形で、相手の人格に対する不信・非難を拡大していきます。
 
 ただ、自分の常識というものは、あくまでも今までの自分の生活によって構築されてきたものです(アインシュタインは『常識とは、20歳までに得た偏見のコレクションである』という言葉を残しているそうです)。自分の常識は、ひょっとしたら、自分の実家の文化に過ぎないのかもしれません。そして、自分が不満に思っている、相手の行動は、自分の常識からは外れていても、相手の実家の文化なのかもしれません。一緒にいたいと思うのであれば、「常識」の違いを、個性や文化の違いとして受け入れる、良い意味での「妥協」が必要なのだと思います。そのような「妥協」を拒絶して、相手を自分の思う通りにしたい、コントロールしたいと思う時に、暴言、暴力や経済的なDV(あるいは、方向性は逆ですが、同じように相手をコントロールすることを意図する自傷行為)が行われ、不和を拡大していきます。不貞についても、(生じる原因は1つではありませんが)「妥協」を拒絶した時に生じることがあります。
 とはいえ、「妥協」する(=相手に寛容になる)ことには、それなりのエネルギーが必要です。人間ですから、無意識のうちに、エネルギーの必要な「妥協」を拒絶してしまうことは当然あります。だからこそ、「妥協」を心がけることに加えて、相手をコントロールしようとしないために、相手の人格に対して不信感を持った場合には、それが、自分のどんな気持ちに由来するのかを、自分の中で、きちんと整理・分析し、言語化することも必要だと思います。

 もちろん、あまりにお互いの「常識」がずれる、「妥協」を要求される部分が多いのであれば、無理をして一緒にいるのは大変なことです。頭では「妥協」することの大切さがわかっていたとしても、家庭生活という極めて私的な空間で、「妥協」というエネルギーを消費し続けることは、とても大変なことです。この場合には、どちらかが悪いというわけではなく、相性が悪かったとして、離婚を検討するべきなのかもしれません。

「離婚をする」という決断、「離婚をしない」という決断、そして「決断をしない」という決断、いずれもが人生における大きな決断になるはずです。
 ただ、多くの離婚に関わる弁護士として、後悔しない決断をすることが、今後、幸せな人生を送るために大事なことだと確信しています。
 本書が、後悔しない決断の助力になれるよう、願っております。


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弁護士・精神保健福祉士・AFP/元スクールソーシャルワーカー/離婚をはじめとした家族問題に関するお仕事と,支援者の一員としてケース支援に加わるお仕事が多いです。