見出し画像

GYAO!葬送①待っていた情報が届きにくい時代&ダンバイン編

無料動画サイト『GYAO!』が3月31日にサービス終了するそうじゃないですか。残念だな~よく作品観たな~という人は多いんでしょうか。わたくし、一度もGYAO!にアクセスしたことがありません。でも、いつか使ってみようとは思っていたんですよ。「CMがウザイ」と噂に聞いていたので、存在も知っていましたしね。ごめんよGYAOちゃん、ぼくが観ていれば救ってあげられたものを!(勘違い)

というわけで(?)こうしてはおれんと初めてGYAO!にアクセスし、どんな作品を観られるのかチェックしてみたのですが……「なるほど」という感じ。多くは語りませんが、よそでも観られる感がとても強く「なるほど」(二度目)という感じです。なんかね、語彙を失わせるパワーがあります。

ただ、同じ無料で観られるサイトでも『TVer』とは違って、古い作品を観られることは利点のひとつのようです。知らなかった! 言ってよ!(伏線)

そこで今回の記事『GYAO!葬送』では、極めて偏った視点ではありますが「これは観ておいた方がいいのでは?」という古い作品をピックアップ。あわせて「GYAO!の何がまずかったか?」を後学のため(?)によく考えていきます。

聖戦士ダンバイン

『聖戦士ダンバイン』は、ガンダムでおなじみの富野由悠季監督による大昔(1983年)のロボアニメ。他の富野作品との違いは、中世ヨーロッパっぽい異世界を舞台にしたことくらいで、あとはだいたいいつもの"富野節"。秀作です。なんでも『ガンダム』にされちゃう現代に作られなくて本当によかったと、心底思います。

いわゆる「異世界転生モノ」の走りみたいに言われますが、一緒にしてほしくないです。あと、死なずに異世界へいくので転生とは言いません。異世界召喚モノです。一緒にしてほしくないのは同じですけど。

なおぼくは、大人になって、さる信頼できる筋から名作だと教えてもらい、観直したらたしかに名作だったと知ったニワカです。ダンバインの本放送があった当時、小学生だったぼくはこの作品を観て「ツマンネ」と序盤で切り捨てています。ひどい掌返しですね。

反省をこめて小学生時代の無責任かつ残酷な「ツマンネ」を大人になって解きほぐしますと、色使いが合わなかった(キャラの区別をつけやすいようド派手な服を着ている等)、メカデザインが合わなかった(昆虫ベース)、世界観(中世ヨーロッパ風)が合わなかった、見続けられなかったので物語については知りもしなかった、という感じです。ごめんなさい!

メカデザインは今見直すとけっこう面白味があり、悪くありません。アニメでは作品全体の配色がよくないせいで、かなり損をしていたのではないでしょうか。当時はガンプラブームがまだ続いていたうえに前年(1982年)から『超時空要塞マクロス』も放送中だったので、ダンバインのメカデザインにはかなり「違和感」を覚えた記憶があります。受け入れられなかったのは、運が悪かったせいもありそうです。鉄人28号の次がコレなら、シャアのヘルメットは茶色いカブトムシ風だったろうし、水星の魔女もいまごろカゲロウ型ガンダムに乗っていたのではないでしょうか。ガンダムエフェメラル(ephemera=カゲロウ)ですね。なんかありそうな気がするけど知りません。

問題は、中世ヨーロッパ風の世界観の方でしょうか。「中世ヨーロッパ風ならRPGとかでもおなじみだし、なぜそこに抵抗を感じる?」と疑問に思うかもしれませんが、当時はファミコン発売直前のためドラクエの登場によって醸成される"中世ヨーロッパ風世界への親しみ"がまだありませんでした。ダンバインの世界観は、子どもにとっては「なじみのない、古い外国風」でしかなく、硬くて渋いイメージにしか見えなかったのです。アニメでも、途中でテコ入れがなされます。

物語と展開については、そもそもガンダムですら子どもに好評なストーリーだったわけではありませんから、あくまで大人びてきてようやくわかるもの。大人になってから観直すから「良い」と言える、という前提は崩せません。

なお、1983年2月5日が初回放送日だったようなので、もうすぐちょうど40周年を迎えるんですね。微妙に運命を感じます。

そういえば、主人公ショウ・ザマ(日本人)とともにアメリカからトッド・ギネス、ソ連からトカマク・ロブスキーの2人も召喚されるのですが、トカマクの出身地はハリコフなので今で言えばウクライナ人。物語の途中で地上世界(当時の現代社会)が描かれるのですが、今や超有名都市となったキエフで×××(ネタバレ回避)が起きたりもします。そういうところに"運命"はあってほしくないのですが、さてどうでしょう。目が離せません(?)。

なお、GYAO!での『聖戦士ダンバイン』の配信は、1話が2023年3月15日(水) 23:59までとなっていますが、2話は明日1月28日(土)23時59分まで、3話目以降はそれぞれさらに1日後(29日、30日……)までの配信となっているので少しでも気になった人は今日にも観始めてください!

「待っていた情報」が届きにくい時代

さて。ちっとも知らなかったわけですが、GYAO!の各作品の無料配信期間は微妙に短めのようですね。期間は作品によって異なり、15日だったり21日だったりいろいろなようです。

配信期間の短かさについてはTVerも似たようなものですが、ここまで短いとTwitterなどのSNSで「今観られるよ!」と拡散される作品なら気付くのですが、そういう機会に巡り合えない作品は埋没します。過去の名作はある瞬間に爆発的に話題になることはほとんどないので、いつ何を観られるのか知りようがありません。

唯一過去作が話題になるのはいわゆる「生誕祭」のときくらいです。ところが、まさにダンバインが40周年を迎える2月5日には、もう2~10話が観らないわけですから「なにやってんの!」という感じです。こういう"定期入替制度"は最新作には有効ですが、過去作にはあっていません。

ま、映像を提供しているバンダイとしてはバンダイチャンネルで観てね、という感じでしょうし、U-NEXTでも観られるのでいいんですけどね。有料ですけど。

一方noteやブログなどは、SNSと違って「今だけ」の話題を書くことにわりと不毛感があります。本や文章を好むひとは、あとあと役に立つ知識を求めていることが多く、そういう意味ではGYAO!もTVerも、noteとの相性は良くありません。

TwitterなどのSNSも「同好の士」が集まって外部の情報が入ってきにくい"エコーチェンバー"化で知識が偏ることが問題になっており、様々な情報を手に入れる"アンテナ"としてはほぼ役立たなくなっています。

昨今、AI(やアルゴリズム)の発展によって"届けるべきところに情報が届く"ようになっているとに言われますが、ぜんぜんそんなことはないどころか、逆に後退しているのではないでしょうか?

SNSでもウェブでも動画でも、広告に触れる機会自体はめちゃくちゃ増えたのに、同じ情報の繰り返しばかりな気がしませんか? 実際、GYAO!で流れるCMも同じものがひたすら繰り返されます。利用者もスポンサーも、そして終了を迎えたGYAO!自身も含め、誰も得していません。無駄な広告によって、時間が無駄に浪費されるだけです。

GYAO!に限らず、ウェブ広告や動画広告で「知ってよかった!」と思える情報を得る機会がどれだけあるでしょう? 昔なら目にしていた「知ってよかった情報」や「待っていた情報」が明らかに届きにくくなっていると思います。GYAO!自身が広がりを欠いたのも、そういう時代背景あってのことなのかもしれません。

(つづく)


この記事が参加している募集

アニメ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?