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107_『横浜トリエンナーレ』

横トリに行くのは、久しぶり。それこそ、初回と2回目くらいしか行ってない気もするのだけれど、それは「横浜」という名称と都市型芸術祭というものが上手くリンクしていないというか、東京から電車で30分強の場所にあ理、首都圏に内包されている横浜という土地で芸術祭が自立できるのかということに疑問があるという点で、その着地点が見出せていないのが正直なところ。

それでも今回訪れたのは、やはりこのコロナ渦において開催された芸術祭に必ずしも意味があると信じているから。

また、ディレクターのラクス・メディア・コレクティヴがどのような展示会を作るのかにも非常に興味があって、コレクティブがある種の新しい様式にもなっているシーンにおいて、どう展望を見せてくれるのか、その点に尽きる。

結果としては、アーティスト側のディレクションに対する呼応がビビッドに作品に表れていて、その点はとても刺激的な内容でした。

個々の作品については強弱もあり、印象に残った作品は実は少ないものの、これだけメッセージ性を前面に出す作品が集まったのは、日本の芸術シーンにおいては貴重なことだと思う。

ところで、会場の一つ、プロット48のアンドレアス・グライナーのインスタレーション兼パフォーマンスが作品がすごくよかったのだけれど、11:00/13:00/15:00の回があり、たまたま13:00の回を見ることができた。

会場の中で待っている間、目の前の席に座っていた家族 。末っ子の小さな男の子が暇を持て余して歩き回っていたところ、開演数分前に転んで泣き出してしまい、お母さんが「せっかくずっと待ってたのに...」と非常に残念そうに男の子と外に出て行ってしまった。

パフォーマンスは関係なく始まってしまい、15分のパフォーマンスはとても貴重な面白い体験だったのだけれど、男の子にとっては、きっとそんなことは関係なくて、その自由さがとても良いなと思ってしまった。多分、お母さんのやるせなさは尋常でないとは思うけれど。

それにしても、暑くて、横浜美術館からプロット48への移動には日傘を借りることができるので、ぜひ借りた方が良いと思います。

そして、こんな暑さの中でオリンピックが開催されようとしたことに恐怖さえ覚えてしまう終戦記念日。


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