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037_『公の時代』 / 卯城竜太(Chim↑Pom) 、松田修

現代日本における最重要アーティストの一つであるChim↑Pomの筆頭格、卯城竜太と、これまた最前衛に位置しているであろう松田修の対談集。

美術手帖での連載をまとめた本で、とにかく、濃い。

そして、とても重要な示唆に富んだ一冊。その渦中で、あいちトリエンナーレの問題が起きたことも非常に運命的。

個人的には、自分の中でも重要なテーマだった「作家性とは?」について、改めて考えさせられる機会になった。

日本各地で起きる芸術祭に「作家性」が先行してアーティストが選ばれてしまうという現象。そして、いざ選ばれたアーティストは結果的に様々な拘束により作家性が発揮されないという皮肉。それでも「話題」のアーティストを呼ぶことに成功したという芸術祭という事実は残ること。

自分は「作家性」というものをまったく尊重していない人間で「作品がすベて」だと基本的は思っているので、「作家性」が重宝されてしまうシーンに辟易していて、やるせなくもなっていたところ。

一方、「作家性」がなくなってしまうと、それはそれで作家が外部に取り込まれてもしまうわけで、難しい。

そういった意味でも、アーティストが主導してキュレーションしていくような展覧会が増えていくのが理想なのかなとも思う。そのあたり、Chim↑Pomはそれをやれているわけで、やはり改めて要注目。


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