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108_『さよならのあとで』 / ヘンリー・スコット・ホランド
言葉にならないことを目前にしてなお、生きていくために、拠り所となるのは、もしかしたら言葉なのかもしれない。
死はなんでもないものです。
私はただ
となりの部屋にそっと移っただけ。
から始まる一編の詩。
100ページあまりの一冊に込められた想いをひしひしと感じる。
この本を作るために出版社である夏葉社が立ち上げられたということに深く頷く。そして、深い感謝しかない。
103_『NEUTRAL COLORS - ISSUE1』
無類の本好きであるという自負はあるけれど、好きという点においては、やはり雑誌というものは外せなくて、特に学生時代はお金もなく、ひたすらに本屋さんに寄ってはらゆる雑誌を立ち読みしていた懐かしい記憶、は誰にでもあるだろうと思うけれど、自分にとっても例外ではなく。
インターネットが常なるスタンダードである今とは違って、少し前まではやはり雑誌こそが情報の先端だったのは言うまでもなく、自分にとっても、週刊
094_『ガルヴェイアスの犬』 / ジョゼ・ルイス・ペイショット
太陽、地球、月。
それぞれに名前がある。
けれど、夜空に一瞬だけ現れる流星に名前はなくて、それでも、その軌跡に不思議な感傷を覚えてしまうのだから不思議。
偶然なのか、何かが引き寄せたのか『ガルヴェイアスの犬』という本を読んでいたら、深夜、東京の上空に現れた流星のニュースを知った。
人は名前を付けたがるもので、それはきっと名前を付けることで安心したいから。
逆に言うと、名前がない物は得体の知れ
090_『逃亡派』 / オルガ・トカルチュク
またも素晴らしい作品との邂逅。
いや、正確に言えば、再会。
数ヶ月前、一度図書館で借りたものの、返却期間が来てしまい断念した作品。
返却してしまったあとも、頭の中にずっとその余韻が残っていて、改めて手元に届き、無事に読了。
初見ではなかなか読み進めることができなかった作品。
少し特殊な作品かもしれない。作品に内包される情景と読者の想像力が共鳴してようやく、物語に踏み込んでいくことのできるか
069_『山小屋の灯』 / 小林百合子、野川かさね
もう、1ヶ月以上も山に登っていなくて、次にいつ山に登ることができるのか、まったく先の見えない今。
一方で、外出自粛ムードの中、少し外を歩いただけでも、肌で春の到来を感じる。それは、同時に登山がこの上なく気持ちの良い季節がきたということ。
きっと、今日も山は確かに変わらず存在していて、そして、本来であれば、山小屋には今夜、光が灯っているはずで。
山の上で過ごす時間は、その一瞬一瞬が美しくて、中