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特許法・実用新案法(知的財産管理技能検定3級)

知的財産管理技能検定3級の復習、「特許法」、「実用新案法」の復習です(2024年7月まで対応のテキストを参考にしています)

※勉強したことの復習のために書き残していますので、間違った理解や補足などあればぜひご指摘をくださると嬉しいです!(*^^*)


【参考書籍】

特許法

特許とは・特許法の目的

特許とは、発明を保護する制度です。
そして特許法は、「発明の保護および利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与すること」を目的としています。

発明とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう」と定義されています。

・この法律は、発明の保護および利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的とする。
・この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。

特許法:第1条、第2条1項

発明の種類・発明に該当しないもの

①自然法則を利用した②技術的思想の③創作のうち④高度のもの とありますが、それに該当しない例は…

①自然法則を利用した もののうち、
自然法則それ自体コンピューター言語などの人為的な取り決めは、「自然法則を利用」していないので、発明にあたらない。また、自然法則に反する永久機関発明にはあたらない

②技術的思想の もののうち、
例えば職人が習得する技能や、スポーツ選手が投げる変化球など、個人の技能は、客観性がなく、「技術的思想」にはあたらない。著作物なども技術的思想によらないため発明には該当しない。

③創作 のうち、
天然物や自然現象などの単なる発見は「創作」したことにならないため発明には該当しません。

④高度なもの と定義されているのは、
小発明(考案)を保護する「実用新案法」との違いを明確にするために「高度」という定義が用いられています。

発明の種類には、「物の発明」「方法の発明」2種類があります。

特許要件

特許法における「発明」に該当していても、すべての発明が特許を受けられるわけではなく、さらに次の「特許要件」を満たしている必要があります。

  1. 産業上利用できる発明であること(産業上の利用可能性)

  2. 新しい発明であること(新規性)

  3. 容易に思いつく発明ではないこと(進歩性)

  4. 先に出願されていないこと(先願主義)

  5. その他の要件

1『産業上の利用可能性』
業界は問わず産業上利用できる発明が保護の対象。逆に、産業の発展に寄与できない発明は、特許法で保護の対象になりません
産業上利用できない発明の例:医療行為(ただし、新薬や治療器具の発明は除く)、明らかに実施できないもの、業(ビジネス)として利用できないもの(個人的、学術的・実験的にのみ利用される発明)

2『新規性』
特許出願時において新しいこと、公然に知られていないことが保護の対象。新規性の判断のラインは「出願の時・分」です。また、国内のみならず、世界中で新規性があることが必要です。*意に反して公になった場合などの例外適用あり&条件あり

3『進歩性』
公知の技術の寄せ集めや、容易に思いつくような発明は保護の対象になりません。
進歩性の判断基準は、【特許出願時点で、当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)に容易に発明できないこと】です

4『先願主義』
同一の発明について複数の出願があった場合、特許権は最も先に出願をした者に与えられます。
先願主義において、どちらが早いかの判断基準は、特許出願の日が基準となり、時・分は考慮されません。(新規性の判断基準と混同しないように!)
上記のような場合が起こったときは、協議をすることになります。

5『その他の要件』
・公序良俗に反しているものは×
・公衆の衛生に害を与える恐れのあるものは×


特許を受けることができる者・職務発明

特許を受ける権利は、発明者に発生します。
発明者:自然人に限られ、会社などの法人がなることはできません。また、未成年は発明者となりえます。発明を複数人で行った場合は、その全員で共同発明者となります。(発明者は、実質的に発明に関与した者のみで、発明者の単なる上司や同僚、事務処理を行ったもの等は発明者にはなりません)
また、特許権は財産権なので、他人に譲渡ができます。(共同発明の場合の権利譲渡は、他の共同者全員の同意が必要です。)

従業者が、業務の範囲内で発明をした場合、原則として「職務発明」となります。*従業者:従業員・法人役員・国家公務員・地方公務員
会社は従業者に対し、職務発明について特許を受ける権利を譲り受けるような契約や就業規則等で予約をすることができます。その場合には特許を受ける権利は自然人ではないですが会社(法人)が特許を受ける権利を持ちます。その代わり、発明者である従業者は、会社から相当の利益を受け取るなどができ、バランスを取ることができます。

特許出願の流れ

特許出願の全体の流れは、下記の通りで…ざっくりですが
出願ののち、方式審査に入ります。出願から1年6か月で出願公開がされます。方式審査ののち、出願から3年以内に「出願審査請求」を行います。この出願審査請求をしないと、実態審査が始まりません。3年以内に出願審査請求を行わないと出願は取り下げられることになります。
実態審査の結果、拒絶理由がない場合は特許査定となります。
拒絶理由がある場合には、意見書・補正書等で拒絶理由を解消します。
特許査定となった暁には、登録料を納付し、設定登録となります。この時点で特許権が発生します。

特許庁 初めてだったらここを読む~特許出願のいろは~https://www.jpo.go.jp/system/basic/patent/index.html

特許出願には、『願書』『明細書』『特許請求の範囲』『図面(必要な場合のみ)』『要約書』を添付し、特許庁長官に提出します。
明細書には、発明の名称、図面の簡単な説明、発明の詳細な説明を、当業者がその発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載します。
特許請求の範囲は、特許権を取得したい発明で保護したい項目を請求項ごとに簡潔に記載する必要があります。

方式審査では、出願書類の内容がちゃんとしているか審査します。
方式審査が通ったら、原則出願日から1年6か月を経過すると特許出願の内容が特許庁によって公開公報に公開されます。原則、といったのは、早期出願公開の請求をすれば、1年6か月前でも公開がされます。(特許登録時は、特許公報です!)

出願公開まで行きましたら、出願から3年以内に行う出願審査請求です。
この出願審査請求は、誰でも請求をすることができます。
この出願審査請求時、手数料も納付する必要があります。

実態審査では、出願された発明が特許権取得の要件に該当しているかを審査します。
そのまま特許査定となるか、特許要件を満たしていない場合は拒絶理由通知がされます。
拒絶理由通知がされた場合には、提出期間内に意見書(審査官へ反論する書面)もしくは補正書(拒絶理由を解消・補正する書面。新たな追加はNG)の提出をすることになります。
上記を行っても特許要件を満たさないと判断された場合には、拒絶査定となります。

拒絶査定となった場合の対応として、査定(の謄本を受けた日)から3か月以内に拒絶査定不服審判をおこすことができます。審判の結果、審決がされることになります。この審決後に、拒絶査定のままだった場合には、30日以内(謄本を受けた日から)に審決取り消し訴訟をおこすことができます。

特許査定になった場合は、査定(の謄本を受けた日)から30日以内に、3年分の特許料を支払うと、設定登録がされます。
4年目以降の特許料は、設定登録から4年目になるまでに一括や分割などで特許料を支払うことになります。納付をしないと特許権は消滅します。
先にも触れましたが、特許権の存続期間は、出願日から20年間で、更新制度は原則ありません。しかし、医薬品・農薬品の場合には、認可に時間を要することが多いため、救済措置として延長登録出願で最長5年の存続期間の延長ができます。

また、特許権を無効にさせる手続きもあります。
・特許掲載公報の発行日から6か月以内に、誰でも特許異議の申し立て
をすることができます。
また、利害関係人に限り、特許無効審判を請求することができます。

国内優先権・分割出願

国内優先権とは、特許出願をした後、その発明を基礎として新たな発明がされた場合にその発明をまとめて出願できる制度です。
発明の新規性の判断は、先の出願を基準になされます。また、出願から3年以内の出願審査請求の期限や、20年の存続期間は、後の出願日を基準にされるというメリットがあります。
国内湯煎権を主張するためには要件があり、先の出願から1年以内にのちの出願がされていることなどがあります。

分割出願とは、一つの出願の中に複数の発明が含まれている場合に、そのうちの一部の発明を新たな出願にすることです。
分割出願した出願は、現出願の出願日にさかのぼって出願したとみなされます。(使う事例としては、一つの出願のうち複数の発明がある中で一方の発明だけが要件を満たしていた場合に分割にするなどがあるようです)この分割出願にも、要件があります。

特許権の効力

特許権で保護される範囲は、出願時に提出した「特許請求の範囲」に基づいたものになります。ただし、
(1)試験または研究のために特許発明を実施する場合は、特許権者の許諾を得なくても実施できる例外があります。
(2)特許権者から購入した製品については、特許権が消尽するため、特許権者の許諾を得なくてもその製品を使用したり、転売することができます。

特許権の侵害

特許権を侵害された場合は、
差止請求
:差し止める請求、侵害品の製造・販売をやめてもらう、その設備の破棄を請求するなど。
損害賠償請求:侵害を受けたことにより被った損害の賠償を請求すること
不当利得返還請求:特許権の侵害によって不当に利益を得た者に、その利益の返還を請求すること。損害賠償請求との違いは、損害賠償請求権が3年で時効になることに比べて、これは時効が10年であること。
信用回復措置請求:特許権の侵害によって害された信用を回復するための措置を請求できること。
刑事罰懲役罰金刑が科せられること。

以上があります。

特許権を侵害していると警告された場合は、下記①~⑤の手順で対応します。
 特許原簿でその特許権が有効かどうかを確認する
② 本当に権利を侵害しているかどうか、特許請求の範囲を確認する。
 侵害していた!場合は、その特許に無効理由がないかを確認する。
④ 無効理由があるなら、特許無効審判を請求する(利害関係人のみ請求できる)。
もしくは、特許掲載公報の発行日から6か月以内であれば誰でも特許異議の申し立てをすることができます。
⑤ 若しくは、先方の警告に従い実施の中止や実施権の交渉などの対応を行います。

特許権の実施権

特許権者は、発明を実施する権利(実施権)を許諾したり、特許権の譲渡を行うことができます。
実施権には、①専用実施権、②通常実施権 があります。

① 専用実施権
専用実施権
とは、定めた範囲において、特許発明を独占的に実施できる権利です。これは当然ですが、複数人に与えることはできず、特許庁に登録しなければ効力が発生しません

② 通常実施権
通常実施権とは、定めた範囲において、特許発明を実施できる権利です。これは専用実施権とは違い、特許権者は複数人に権利をあたえることができます。また、当事者間の契約で効力が生じ、特許庁への登録は不要です。
さらに、独占的通常実施権というものもあり、これによって独占的に実施権を受けることができる特約ができます。これも特許庁への登録は不要です。

①②ともに、特許権者が複数人にわたる場合は、実施権を許諾するためにはほかの全員の同意が必要になります。
※特許権の譲渡についても同じく、特許権が複数人に共有されている場合は、自己の持ち分であっても他の共有者の同意がないと譲渡できません。

☆特許権者の意思に基づかない通常実施権
特許権者の意思に関係なく、例外的に他人に通常実施権が付与されることもあります。
先使用権:特許の出願前からその他人が発明して実施していた場合は、先使用権が認められ、特許権者に実施料を支払わずに発明を実施できるケースもあります。(先願主義の例外らしいです。難しいです)
職務発明:会社に従事する者が職務発明をして特許権を取得した場合、会社側には通常実施権が認められます。
裁定実施権:発明が継続して3年以上実施されていない場合は、特許庁により裁定がされ通常実施権が認められることがあります。

実用新案法

実用新案法とは、小発明と呼ばれる考案を保護する制度で、
自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」とされています。
また、方法の考案は保護の対象ではなく、物品の考案について登録を受けることができます

☆特許法との違い
存続期間:出願から10年
手続き:方式審査のみで、実態審査がない

このように、比較的簡単に取得できる考えられる権利なので、
実用新案の権利者が差し止め請求する場合などには、実用新案技術評価書*を相手方に提示する必要があります。
*権利の有効性を特許庁の審査感が評価した書面

まとめ

特許法、内容が濃かったので、要点はここかな?というところを抜粋するのが少し大変でした。
勉強してから、いつも目にするあの商品・この製品、あれも特許なのかな…?と日常で少し意識するようになりました^^

それに対して、実用新案法は…すごくさっぱりしていました。
3級では、あまり出題されない部分なのでしょうか?
次は、意匠法の復習しようと思います。


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