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学長と飲む、ということをどう捉えるか?筑波大学の卒業生向けの取り組みが、ぶっ飛んでいて興味深い。

大学広報は日進月歩しており、日々その活動の様子を見ていると新しいアプローチや表現が出てくるのを目にします。中には、これはすごいと膝をたたくようなものもありますし、頭にハテナが浮かぶものもあります。でも何はともあれ、新しい取り組みは、新しいというだけで見ていて胸が躍るし、インスピレーションを刺激してくれます。今回、見つけた筑波大学の取り組みも、おそらく前代未聞なのではないでしょうか。発想がぶっ飛んでいて、個人的にはすごく好きなタイプの“新しさ”を感じます。

卒業生×学長 オンライン飲み会

卒業生×学長オンライン飲み会」。いいでしょ?だいぶよくないですか?このタイトルを見て、誰がどういう動機で参加するんだろうと思った人はいませんか?私は見た瞬間、思いました。だってゼミの恩師なら会いたいと思うけど、学長は在学生のときも、卒業生してからも、恐らくほとんど関わったことがないと思うからです。

また、筑波大学の永田学長は、一般的な国立大学の学長よりも任期は長めですが(ここらへんは昨年いろいろありましたね)、それでも学長になって8年弱です。在学時の学長であれば、多少の思い入れがあるかもしれません。でも、そうでない卒業生の方が圧倒的に多いでしょうし、その場合、ほんとどこにも引っかかりどころがないのではないでしょうか。

……と、アレコレつっこんでみましたが、これは懐かしさをフックとする場合です。そうでなくて、学長という立場の人と話すという、単純にそれだけを特典として考えるなら、実はけっこう面白いのではないかと思うのです。筑波大学の教職員はおよそ4300名、企業で考えるとそこそこの大企業です。しかも、教育研究での実績も多く、知名度が高い大学です。ある意味では、大手企業の社長みたいなものなのです。そういう人と、サシ飲みではないにしろ、少人数のグループで飲めるわけです。しかも、筑波大学の卒業生であれば、卒業してすぐのペーペーであってもそれができてしまう。これって、すごく貴重な体験なのではないでしょうか。

さらにいうと、学長という立場にいる人は、この大学をどうすべきかを日常的に考えている人です。この大学をどうするかを考えるためには、大学業界のこれからであったり、教育というものがどうなるか、研究がどうあるべきか、さらには社会そのものがどうなっていくのかなど、さまざまな諸要素についての予測やビジョンがないと組み立てられません。学長が考えるさまざまな”これから”について、じっくり聞けるのって、ものすごく贅沢だと思うんですね。

ちなみに、受験生向けのイベントで学長と話せるものはいくつかあるようで、これについては以前noteに書かせてもらいました。

このnoteのオチと似てしまうのですが、せっかく学長と酒を酌み交わしながら話せるのに、その貴重さであったり価値を、筑波大学のイベントではうまく表現し切れていないように思うのです。学長の人柄がいいのもけっこうなのですが、このイベントから得られるものはそれだけじゃないはずです。学長というのは、教育研究という視点から、遠くを見えている人(もしくは見ようとしている人)です。そうであるなら、どのようなものが見えるのか、それについてざっくばらんに語ってなんぼじゃないでしょうか。ここらへんを真剣に考えて参加する卒業生たちがいたら、ヒリヒリしたオンライン飲み会になりそうですが、取り組みとしてずっと面白くなりそうです。ぜひ収録してYouTubeで公開して欲しいものです。

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