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こんなやつもいるから大丈夫です、知らんけど

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日常の疑問や問題意識、抽象的な問いをあーでもない、こーでもないといいながら、簡潔で読みやすいエッセイにまとめます。 どうぞ、肩の力を抜いてお読みください。 きっと何か発見があり… もっと読む
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2021年6月の記事一覧

宿で朝食を忘れられた私は、とりあえず白湯を飲んでみた

寝坊は社会的に容認されるべきだと私は思っている。 朝食の約束「簡単なパンとかでよければ、朝ごはん、用意しますよ」 オーナーの彼女は朗らかにそう言った。 私のこの冬の旅の目標は、この宿に来ることだった。 つまり、この目標は宿の玄関をくぐった時点で達成されている。 宿に行くことだけが目標のため、私はこの町がどんなところかさえ知らない。 つまり、今晩の夕食すら下調べしていない私にとって、明くる日の朝食に思いを馳せることなど不可能に等しかった。 そのため、私は何も考えず、朝

どうせ頑張らないといけないんだから

先日、ある人からこんな質問があった 「今年の目標ってあるんですか」 私の今年の目標は頑張らないことである。 自分としてはあまり深い意味はない。ただ無理を省みず、頑張って故障したら元も子もないよなと思うということである。 私の短い人生経験においてではあるが、この世はいつの間にか頑張らざるを得ない構造になっている。 私が意気込もうとそうでなかろうと、結局いつの間にか頑張ることになる。 つまり、どうせ頑張らなければいけないのだ。 だからこそ、私は頑張らないと腹に決めている。

キャベツの百切り

先日、キャベツの千切りを作りながら思った。 「百切りじゃね?」 とんかつ屋さんで出てくるキャベツが千切りだとすれば、私のまな板の上にあるのは百切りではないか。 さて、これを機になんとなく数字が入った表現と私の周囲の実情を比べてみることにした。 万事休す。どうしようもならないとき、万事休すと口にする。もちろんこれは例え話だが、もし1万通り解決案を用意できたら問題は解決できるのではなかろうか。 千に一つ。極めて珍しいこと。ただ餃子は一日100万個作る中華料理チェーンがある現

消去法は私の「自分らしさ」

きっと私の自分らしさは、これまでもこれからも後ろから私を追いかけてくる。 自分らしさを考える少し先になるが、とある方面から「自分らしく生きる」について話してみませんかという依頼をいただいた。とはいえ、私自身は、自分らしく生きているという自覚もないし、「自分らしく生きたい」と強く願ったことはなかったように思う。 他方で、ライフスタイルを特集したメディア、特に地方移住関連の雑誌では「自分らしさ」を求める動きを感じずにはいられない。 もちろん自分らしさを強く願ったことのない私で

蛍光灯って、蛍感ゼロだよね。

先日、蛍光灯が切れた。 どうやら今は工事なしで取り付けられるLED式の蛍光灯が売っていたりもするそうだが、そもそも蛍光灯はなぜ蛍光灯と呼ばれるのだろう。 蛍光灯という名前のくせに、蛍感ゼロだよね。蛍光灯。 蛍光灯が蛍のように点灯しようものなら、おそらく光の下の私はイライラしはじめる。蛍の点滅は許せても、蛍光灯の点滅は許せない。おやおや、もしかして切れかけで先端が黒ずんでくるのが蛍っぽいってことか?だとすれば、蛍に謝ってほしい。 というわけで、蛍光灯に照らされながらインタ

蛹と蝶と挑戦とー手塚治虫『ブッタ』に思う

挑戦には不安がつきまとう。失敗したらどうしようだとか、たとえ上手く行っても痛かったり辛かったりしたらどうしようだとか。 今でこそ「究極的にはその時にならないと分からない」と思えるようにもなったが、昔はよく足踏みをしていたように思う。 さて、挑戦はたぶんしたほうがいいと個人的には思う。それは新たな自分に出会えるといったようやプラスの意味よりも、いずれ挑戦しなかったことを後悔するという苦しみが待っているからである。 実際私も何か新しいことに挑戦するときには「後悔したくない」

私の中の王様に、メロスは激怒した。

スマートフォンは従順である。 「タイマー、20分」 「20分ですね。よーい、スタート いつもの職場の昼休み、食事を済ませると、少し昼寝する。 職場での昼寝なので、さすがに寝過ごすわけにはいかないとタイマーを設定するのだ。指を動かさずに、声だけで。 「タイマー、20分」と無機質に声を出すとき、私は少し嫌な気分になる。なぜなら、あまりにも横柄な自分がそこにいるからだ。 上司になら「タイマーを20分、かけてもらえませんか?」とお願いするだろうし、実家の両親や友人であったとし