かっこわるい自由 ー『島暮らしの記録』
ムーミンシリーズに『ムーミンパパ海へ行く』という一冊がある。ある日、ムーミンパパが島で暮らしたいと言い出し、一家は美しい森に囲まれたムーミン谷を離れて、荒涼とした島で生活しはじめる。島での暮らしはこれまでとは勝手が違い、何もかも思い通りにならず、ムーミンたちは長いこと悩み続ける。その描写が読んでいてちょっと苦しくて、子どもの頃、大好きなシリーズの中で、一冊だけ少し苦手に思っていた。
著者のトーベ・ヤンソンも島で暮らした経験が長かった。これは、トーベが無人島に小屋を建て、そこで