じゃあな。
街から人が消えた。
崩れた建物、潰れた車、腐った死体……。
壊れた夜の街から人が消えた。
そう思えるぐらい、今夜は静かだった。
何かの残骸を踏み付けながら、街を歩く。
夜風が冷たい。
息が白い。
夜空が澄んでいる。
そんな、柄にもないことを思いながら立ち止まった。
まぁ、でも、今日ぐらいはいいんじゃないかと思う。
もうすぐで、今年が終わる。
壊れた街に、新年がやって来る。
「……今日ぐらい」
俺は、持っていた鉄パイプを投げ捨てた。
過去にも、未来にも、拘りなんてない。
だが、
「じゃあな……夜の街」
何かが終わり、始まる瞬間だけは、しっかりと感じようと思った。
夜の街へ、作品のネタを集めに行く為の費用に出来ればと思います。