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全社DX推進と現場DX推進との違い

はじめに

こんにちは。

最近、全社DX推進と現場DX推進を行っていまして、似て非なるもので、勘違いしたまま動くと火傷すると思いまして書かせていただきました。

この記事は個人の認識や見解であり「これが正解」という事ではありません。ネガティブなコメントがあっても、それ自体を否定するものではありませんので割引いて読んで頂ければと思います。

まとめ

レガシーシステムが多く、このまま既存システムのブラックボックス状態を解消しつつ、データ活用ができない場合、2025年の崖に突入し、デジタル競争の敗者になってしまう。
技術的負債が多いシステムの維持管理費が高額化し、IT予算の9割以上になるかも。

DXは、古いシステムのリプレースして、業務再生→最適化をして、生産性を爆上げを目指す。そのため、往々にして現場の混乱を招く、フォローする体制が必要

ブラックボックス化しているシステムは安易に改修しない

特に、個人の業務を最適化したシステム(マクロ、プログラム、RPA)、担当者一人で運用しているシステムは要注意

お詫び

このnoteでは、似たような言葉が続けて出てきます。できるだけ誤解を招くような配慮はさせていただきます。具体的には、「全社DX」、「現場DX」という言葉は、本来は使うべきではないです。なぜなら、「現場DX」という言葉は正しくないため、使うべきではないです。ただ、ベンチャー企業を含めて、DXを現場DXと言う意味合いで使っている方も多いため、あえて記載しています。

そもそも、DX化って何?

最近よく聞くDXですが、デジタル化やIT化と何が違うのか?というのが疑問に思うと思います。デジタル化やIT化とどのような違いがあるのか、明確になっていない人も多いでしょう。似てますよね。

デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)は、「今までにない製品やサービス、ビジネスモデルを作り出す」、「生産性の向上、コスト削減、時間短縮などのメリットをもたらす働き方を改善する」こととで、企業のITシステムを作り直して(= 既存システムを捨てる)生産性を上げることとなります。
デジタル化やIT化は、全社で使えないし、既存システムを使う(捨てない)ため、現場DXです。

DXを推進しないといけない理由

経済産業省が出した「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」から引用となりますが、端的に理由を言ってしまうと、「今までの業務システムが古すぎたり、現場ごとに最適化されているから、企業全体で見れば生産性が低い、このままいくと、2025年以降、現在の約3倍、最大12兆円/年の経済損失が発生、システム投資の殆ど(9割)が既存システム投資になって、生産性だだ下がりするから、皆さんDXしましょう!」となります。

多くの企業がレガシーシステムに手を入れていて、それをいつまでも残しています。放置すると「近い将来、使いにくいシステムがそのままで、維持費がむちゃくちゃかかるから、新規投資はできなくなるかもよ!」ということになります。

DXのデメリット

意外と忘れられますが、DXを進めることはメリットだけでなく、デメリットもあります。

DXを進めることは企業のIT戦略(仕組み)を大幅に変えることであり、企業のIT戦略の見直しです。すなわち、ITのルールを大幅に変更となるため、入れるだけでは、現場は混乱します。ITは利用ユーザに使ってもらって初めて意味をなします。ルール変更を伴うそれには経営陣からのバックアップが欠かせません。

むしろ、現場から見ると、今まで使えていたシステムや、デジタル化、IT化、RPAで効率化したシステムを捨てることとなり、利便性、生産性は一時的に下がります。「なぜ既存システムを捨てるのか?」を説明することが難しいです。ここを丁寧に説明して、再度、現場で最適化すれば、生産性を一気に向上させることができます。

なんで、こんなことになっちゃったの?

「現場が頑張りしすぎてしまったから」これに尽きるとと思います。

システムの刷新は、多額の労力や費用がかかり、現場が変化を受け入れてくれない、多額の投資をした新システムを使わないなど、リスクが大きいので、従来システムの改修、改修を長年行ってしまい、手がいれられないほど複雑化してしまいました。長年(数十年)使ったシステムなので、保守・運用を行う担い手がおらず、既存システムの維持管理費が高騰してしまい、IT予算の多くを既存システムに投じなければならなくなってしまう。システム刷新しようにも、企業にも、協力会社さんにも全体を俯瞰(把握)できる人がいないため、調査を行うことすらできなくなる。。。

という悪夢、、、最近聞かなくなりましたけど、むかしむかし、某銀行でそんなお話あって、IT界のサグラダファミリアとかありましたけど、あれに近いです。(経緯は違えど、構造は同じです。)

全社のDX推進

私は全社DX推進プロジェクト(カケザンプロジェクト)でアンバサダー(現場の推進者)から事務局(全社の推進者)に入り、主に、運用と各現場業務の効率化を行っています。

導入のタイミングで必要なのは、プロジェクトマネージャー(PjM)に質問を集中させないような体制にすることです。PjMがパンクすると終わります。当社の場合、利用ユーザのうち、営業さんが非常に多いため、質問に対してのレスポンスが悪いとツールを使わなくなることが懸念されました。そのため、各部門にアンバサダーを立てて、アンバサダーが答えられないものは事務局に問い合わせてもらう体制にしました。似たような質問については、マニュアルを作成して、boxnoteにマニュアル一覧を作成してSlackに投稿しました。ユーザから見ると、Slackかboxどちらかを検索すれば、問題を解決するようにしています。

# と書いていますが、Slack導入時の体制は 全従業員(2500名) vs 2名という体制で崩壊しかけました。 


現場のDX推進

ここが非常に厄介です。DX化を行ったことで、既存システムが使えなくなることがあります。担当者がシステムで行っている内容を説明できる方がいいのですが、既にブラックボックス化していたり、業務内容が最適化されていないのにシステム化されていると難易度が格段に上がります。

例えば、今までシステムでアラートメールを送っていたのに、全社でSlackを利用することとなると、業務内容の見直しが発生します。

◆アラートメール送られてくるシステムの場合
(1)利用ユーザはメールを見なくなるために気がついてもらえなくなる
(2)ユーザの行動が遅れる
(3)対応が遅れる
(4)事業部門(バックオフィスなど)が例外処理対応で工数がかかる

これをSlackに置き換えるとなると、以下の2つの方法になります。

a. チャンネルに投稿する → SlackAPI連携での対応
b. メールの投稿先をSlackのチャンネルのアドレスに変更する → プログラム改修での対応

しかし、現場はそもそもSlackを使いこなせてなかったり、コードを書ける人がいないケースなど、お手上げになるケースが多いです。そのため、事務局では、システム担当者と相談を受けて一緒にアイデアを出したり、システムがAPI連携している場合は、連携するAPIの開発を行っています。すべて応じているわけではなく、現状のシステムから他のシステムにリプレースを検討してもらう場合もあります。

気をつけない部分として、依頼をそのまま受けるのではなく、依頼者にシステムについてヒアリングを行ってください。なぜなら、すでにそのシステムがブラックボックス化している可能性があるからです。ブラックボックス化しているシステムは、今後の改修が難しかったり、リプレースできないことが想定されるため、運用で回避してもらうか、こちらもリプレースをお願いすることもあります。(下手をすると、改修したことにより、改修した人がリプレース担当者になる可能性があります。業務内容わからないのにリプレース担当になったら地獄です。。。。。)

特に、個人の業務を最適化したシステム(マクロ、プログラム、RPA)、担当者一人で運用しているシステムはブラックボックス化しやすいので注意が必要です。

あとがき

長い文章なのにも関わらず、最後まで読んでいただきありがとうございます。

ご覧のとおり、DXというのはスマートではなく、意外と泥臭い業務です。

今まで、DXに対する過剰な期待があったり、言葉に惑わされている企業・担当者を多くみてきました。DXは必ずしも必要ではないが、対応が遅れれば遅れるほど労力がかかる事。DX導入推進を行うコーポレートエンジニアや情報システム部門の重要性を知っていただければと思い書いてみました。


Appendix

当社(dip)の取り組みで、カケザンプロジェクトという全社DX化推進事業があり、私は2020年12月からメンバーに参画してます。

カケザンプロジェクトの内容と成果は、リンク先の記事となっています。よければ御覧ください。

「DXをリードする会社にしたい」- ディップCOO志立の語る社内業務DX事例「カケザンプロジェクト」の舞台裏

導入わずか3カ月で利用率100パーセントへ導いたSlack利用浸透術!形骸化させない全社システム導入の極意

そのPjMである、破壊神じゃなかった。。。お嬢の記事はこちらとなります。

未経験から念願の情シスに転職成功したはずがなぜか破壊神と呼ばれています



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