
【10分スケッチ】『ウォールデン 森の生活』より

私は、誰もが今より格段に強く確信をっ持って生きるほうがいい、と考えます。もし心の底から人を助けたいなら、自分のことは心配しなくても暮らせます。仕事などの小さな問題で頭を悩まさず、心底やってみたいと夢見る大切なことに使うのです。自然は、人間の強さだけでなく、弱さも応援してくれます。ところが私の隣人の中には、いつも何事かを気にかけ、心配している人がいます。それでは、いつまでも治らない慢性の病気と同じです。私達は仕事を前にすると、これは大変だと大げさに考え、頭をいっぱいにします。でも、仕事を始めると、考えたことの一部ですんでしまいます!それに、病気で仕事を休んだ時のことを思い出してください。それでも地球はちゃんと回っていたではありませんか!
私たちは、心配しすぎのお人よしです。できれば信仰など持たないで暮せばいいのです。いくら心配し、緊張して暮らしても、目覚めている昼だけのことです。夜のお祈りの後は、結局、訳のわからぬ眠りに入っているではありませんか!
私たちは、いつも誠実に生きるようにさせられています。変われるのに変わらず、自分の小さな暮らしを大切にし、それが唯一の生き方だと思いこんでいます。ところが実際は、ひとつの中心から無数の放射線を描くことができるように、人の生き方はみな違います。
人が変わるとは、歓びあふれる奇跡であり、偉業です。この奇跡は、いつでも、今の瞬間にでも、起こって不思議はない奇跡です。孔子はこう言っています。「知るとは、本当に知ったということを知ることです。知らないことは知らないと、はっきり知ることです」。私たちは多くのことを知っているといっても、大部分は思い込みです。知るということは、私たちが人に聞き、書物で読んで想像して理解していた事実を、自分の経験で理解した事実にするという作業です。そうして初めて人は、自分の暮らしを、自分の考えという頑丈な土台の上に築くことができるのです。
読み始めたばかりの本から、かっこいいなーと思った箇所を抜書き。
改めて眺めてみると、「訳のわからぬ眠り」というところが妙に気になる。
谷川俊太郎が眠るのが好きと話していたことを思い出した。
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「森の生活」は1800年代後半に、マサチューセッツ生まれの詩人・ナチュラリストであるヘンリー・D・ソローによって書かれた本。
2004年に新版として翻訳されたものだけれど、日本語がとても読みやすくてありがたい。
まだ上巻の46ページまで。
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