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【10分スケッチ】ロックンローラーになれよ


ロックンローラーになれよと、子供たちには思っていたはずなんだけど、そのことを久しぶりに思い出したのは、Spotifyが男の子と女の子を流したからだった。
久しぶりにロックンローラーになれよと聴きながら、本当にロックンローラーになれよと思っているのは、自分に対してなのだろうなと思う。
息子が小市民でありたいと言ったら、そうなんだ、と受け止めるだろう。
でも、自分にそれは許さない気がする。

あれはたしか2019年の夏の終りか秋の始まりかその両方の混じった頃に、山中湖のほとりのステージで、富士山をバックに、岸田繁が弾き語りをしていた。
私は家族と一緒に、芝生で寝転んでその歌声を聴いていて、
ロックンローラーになれよ
を、受け取ってしまったのだ。
それはリクエストととして受け取ってしまったから、私は今までの枠組みの外に出なくてはならなくなってしまった。
ロックンローラーになれよを抱えて。
だからなのか、それを渡したい気持ちがあるのだ。息子に。
それはきっと渡しても減らないものなのだけれど、大事なものだから渡したいと思うのかもしれない。
なかなかロックンローラーになれないから、渡さねばと思うのかもしれない。

男の子でも女の子でも何でもいいけど、ロックンローラーになれよを抱えている母の元で育つことは、彼らにとってどんな影響があるのだろうか。

それはそれとして、私は私のロックンローラーを抱えて生きるしかない。
私のロックンローラーは確定申告もする。

久しぶりに思い出したから、今日聴きたくなった曲をプレイリストにまとめる。

ロックンローラーになれよ
欲望を止めるなよ
コンクリートなんかかち割ってしまえよ

たった3行なのに、なんで覚えていられないんだろうな。

この曲の話。


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