ワンピースめっちゃ面白い

当たり前のこと過ぎて改めて言うまでもないことなのですが、ワンピースめちゃくちゃ面白いですね。
子供の頃にリアルタイムでアーロン辺りまでアニメで追っていた記憶はあるのですが、原作を初めて腰を据えて読んでみて驚くほど面白くて、ズブズブとはまり込んで行きました。
現在Kindleで10巻まで購入し、読み終えました。
ちょっと予想以上に面白くて止まりません。古い漫画は中古で買い集めがちなのですが、定価で買っても全然損した気分にならない。

何が面白いのかなんて語り尽くされていることだと思いますが、自分の場合どこが面白いかを覚書程度に書いておこうと思います。
読書記録的なことですかね。

・絵が抜群に上手い
改めて言うまでもなく、ワンピースは絵がめちゃくちゃ上手いです。
クセは強めにあるのですが、クセがあった上でトータルで成立させるバランス感覚もすごい。
特に自分が感動したのは、キャラクターの気持ちいいアクションが遠近法と相性が良いものとして設定されていることです。
言わずと知れたゴム人間、剣士、棒使い、パチンコ使い、キックコック。
このいずれもが、遠近法映えするアクションが出来る。
特に顕著なのはゴム人間です。
伸ばせば伸ばすほど遠近法が効いて迫力が出る。
しかもルフィはインパクトの前の予備動作は描かれても、予備動作のための予備動作は省略されています。
ゴムを伸ばすということは、なんらかの力で引っ張ることが必要ですが、ルフィはゴム人間の特性なのか、それとも単に省略されているのか、その部分普通にスルーされがちです。恐らくテンポが悪くなるからです。
要はいわゆる漫画の嘘なわけですが、それが気持ちのいい嘘です。
コマ割りにおいて描写を飛ばすのはスピード感に繋がります。
ページをめくった最初のコマでルフィの手足が「ゴムゴムの…!」というセリフと共に突然伸びている。これがびっくりするのと迫力を出すのと、そしてインパクトへの期待を膨らませます。
伸ばせば伸ばすほど。
これは大発明です。大きく振りかぶって、投げた!という気持ちよさを体一つでトゥーマッチに表現しています。
このように、とにかくアクションを見ているだけでもとても面白い。
各キャラクター毎に違いはありますが、基本的には遠近法の効いた絵で迫力があるのが素晴らしいと思います。
小手先でちまちました迫力のないアクションは興醒めもいいところです。

・話作りが抜群に上手い
最早語るまでもないことばかりなのですが、この漫画あまりにもストーリーが上手です。
何が上手いのか?
私はキャラクターの心と体が一致していることだと思いました。
この漫画、少なくとも自分が読んだ範囲ではキャラクターの心に反したことを、キャラクターの体が行うことが全くありません。
つまり一本筋が通っているわけです。まるで生きた人間がそこにいるかのようです。
フィクションというものは、作り手のさじ加減ひとつでどうとでもなるものです。
神の見えざる手そのものが作者やスタッフの手にあります。
しかし、この漫画のキャラクターはさじ加減が上手すぎて、そういう意図的なものを全然感じません。
どう考えても満身創痍のゾロが打たれ強すぎるのですが、その裏付けがゾロの心の部分にあるわけです。心が折れないから体も折れない。
どう考えてもコックにしては強すぎるサンジも、心に裏付けがあります。ついでに体もめちゃくちゃ強い元海賊に蹴られまくったから、という理由で打たれ強かったりします。
あえて意図を感じるとしたら、キャラクターの心が強ければ体も強くなるということでしょうか。
めちゃくちゃ弱っちいウソップですら、この法則で魚人を倒しました。
神の見えざる手です。
しかし余りにも気持ちのいい手です。読み手の心がマッサージされていきます。

そういうわけで、心の強さを描くためには心の弱さも描く必要があるわけです。
弱いところから弱さを認めて成長して強くなる。これはこの漫画に限らない原理原則です。
ここが気持ち悪いとどうしても読みにくい漫画になると思います。人間の生理に合わないからだと思います。
その点この漫画、全く出し惜しみせず弱いところも描きます。
基本的には過去に話が飛ぶのですが、興醒めするような過去が現れません。
ああ確かに今のその人物から逆算していくと、そういう過去はあるだろうな…と思えるのです。
階段落ちだけはなんかちょっと荒い感じはしますが、逆に言えばそれくらいしか違和感は無いです。
新人漫画家の描くストーリーとしてはあまりにも破格だと思います。

基本的にはこの二つが大きな柱でしょうね。
絵と話が上手くて面白い。
当たり前っちゃ当たり前の話です。だからこそ王道なんですけどね。
王道ど真ん中をどーん!と突き進んでいく気持ちよさ。
非常にシンプルな表現になりますが、この漫画の面白さはそこに尽きます。
私がひねくれて王道を避けてきた人間だけに、王道の面白さに打ちのめされる思いです。
私も頑張って力をつけたいと思います。

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