見出し画像

note発で小説家になってその後ひと月半のはなし

こんばんは、上田です。毎日毎日暑いですが、みなさん溶けていないでしょうか…?私はぐったりしています。

7月8日に初の小説「金沢 洋食屋ななかまど物語」が発売されて、約ひと月半。そのあいだにとても多くのことを経験しました。

まずはなんといっても、私のホームタウンともいっていいほど愛着のあるnoteから書籍化作品を出せて、言葉にならないほど嬉しかったです。

いろんな人に「noteから小説デビューってできるんだね!ここでこれからも書き続けていく励みになったよ!」というようなことを言って頂けました。

noteからの小説書籍化は、私自身、ここで6年間活動を続けてきて「無理かもしれない」と自分でも何度も思ってしまったときがあったので、くつがえせたことがまず本当によかったな、と思っています。

私には、noteがこうなったらいいな、っていう希望があって。それは、note発の小説作品が、どんどん書籍化されていく未来です。noteは、とても魅力的な人が集まるプラットフォームだと思っているし、何より、集まる書き手も作品も、風通しがよくフラットなのが、大好きな場所であるゆえんです。

そのために、私自身、noteでこれからもエッセイや小説を書き続けていこうと思っています。だいそれた野望かもしれませんが、noteから小説ではばたいていける、その道をつくる一人になりたい。もちろん一人では難しいとは思うのですが、もっと味方や仲間をつくって、巻き込んでいきたいです。

新聞とテレビの取材も、人生で初めて受けました。

地元新聞に大きい記事が載り、95歳の祖母が、毎日その新聞を自分のベッドの横に置いて、くしゃくしゃになるのもかまわずに何度も読んでいるという話を母から聞いて、本当によかったなと思いました。

やはり石川県出身である編乃肌先生と一緒に、ローカルニュースでも取材していただけて、ころげまわるほど恥ずかしかったですが、テレビに自分が映る、というたぐいまれなる経験もしました。

テレビを見てツイッターをフォローしてくださった方や「金沢 洋食屋ななかまど物語」を買ってくださった方が数名いて、それもとっても嬉しいことでした。

職場の人や、友人や、本当にたくさんの方が応援してくれて、温かい言葉をたくさん聞けた、人生でとても嬉しいひと月半でした。

しかし、同時に「作家であること」の厳しさも私は同時に知ることになります。

つい先日、担当編集者であるAさんから、このような主旨のことが伝えられました。

次回作の企画が通るかどうかは、ななかまどがどれだけ売れるかにかかってきます。

「き、きききききびしい……」

いままでいろいろな作家さんが「作家としてデビューするより、生き残っていくほうが難しい」と言っていた理由や、Twitterでの広報にそこまで?と思うほど熱心に力を入れていた理由がいっぺんにわかりました。

売れないと、次の本が出せない。

たくさんの人が私に「次回作が出たら買うね!」とか「次回作の構想は進んでる?」と聞いてくれました。私はそれらの言葉に鼻の下を長くしていましたが、そんな場合ではぜんぜんありませんでした。

そして、何冊も何冊も商業で本を出している作家さんたちに対して、改めて深い尊敬の念を抱きました。

小説が、上手くなってみたい。小説が大好きだから、上手く書けるようになりたい。

そんな思いで、始めたnoteでの作品投稿は、自分を思いがけない明るい場所に連れていってくれましたが、光の下に立ち続けるにも、また資格が要る。

そんなことを思い知らされました。

サイン会のトークイベント(テレビで取材されたもの)の中で、作家として先輩である編乃肌先生が、私にこんなことを聞きました。

「WEBに小説を公開してして活動しているWEB作家としてのスタンスはどうしうものでしょうか?」

私はあまり深く考えずに、こう答えました。

「私自身、WEBで6年近く作品を発表してきて、今回商業出版というチャンスをいただいたわけですけれども、やはり発表媒体であるnoteには愛着もあります。それで、WEBでの作品発表も続けていきつつ、紙の本も出しつづけていけるようにがんばりたいと思います」

でも、編集者さんからこんな返信をいただいたあとに読むと、改めて、WEBで書き続けるって大切だな、紙で本を出していくためには、とにかく、WEBでも公募でも、書き続けて、作品を作り続けていくのが大切なんだなあ、と改めて強く感じました。

それと、このタイミングでですが、日中の仕事を辞めました。「作家として食っていくんだわーい!」と思ってやめたのではけっしてありません(苦笑)むしろ続けたかった…

夫の勤務先が変わったので、それに伴う引っ越しのためです。というわけで、いまは家の中が段ボールだらけなのですが、その中で書いています。

noteで小説を発表している人たちに伝えたいことがあるとしたら、

1:書籍化しての紙本を目指すのももちろん素敵だけど、WEBにも軸足はしっかり置いて、知名度や広報力もあげてファンをつくっていったほうがいいよ!

2:1冊出せても、売れないと2冊目そのものがないかもしれないよ!油断するな!

3:生活費はなんとか確保しよう(切実)!

この三点です。

私も、これからがんばって作家活動を続けていくべく、いっそう努力したいと思います!

そして最後に、担当編集者Aさんの言葉は厳しく見えるかもしれませんが、とても私を認めてくれていて、いつも応援してくださる優しいかたです。

Aさんとまたお仕事ができるよう、その器を大きくしていくのが、当面の私の目標でもあるんです。

noteの小説書きのみなさん、これからも作品をつくってまいりましょうね。

私もがんばります。

noteから書籍化した経緯はこちら

私のデビュー作「金沢 洋食屋ななかまど物語」
PHP文芸文庫より発売中

温かい感想がたくさん届いています!
ぜひお手にとってみてね!

髭男の曲「Laughter」が最近の心の支えです。めっちゃ勇気でる。






いつも温かい応援をありがとうございます。記事がお気に召したらサポートいただけますと大変嬉しいです。いただいたサポ―トで資料本やほしかった本を買わせていただきます。