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文芸世界のお天気予報~おもしろい本を探している方へ~

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本屋さんに並んでいる作品を読むのが大好きなので、本についてのコラムをたくさん入れていきたいと思っています。
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記事一覧

弱さや欠落があったとしても

友人の家に泊まり、娘さんたちとアニメのDVDを見てごはんをご馳走になった。 私がいいな、と…

上田聡子
11か月前
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一ノ瀬 縫さん「サンティトル」は自分自身への祈りに出会っていく物語

就活に失敗し、捨て鉢な気分を抱えた高柳芽美がふらっと向かったのは商業施設のビルの屋上。柵…

上田聡子
1年前
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天花寺さやかさん「京都府警あやかし課の事件簿」7巻の感想です!

今年の9月に発売された、天花寺さやか先生の「京都府警あやかし課の事件簿」7巻の感想を書きた…

上田聡子
1年前
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レシピ一枚を支える、スープ作家の背骨――有賀薫さんの「こうして私は料理が得意にな…

note発のスープ作家、有賀薫さんの「こうして私は料理が得意になってしまった」を拝読しました…

上田聡子
1年前
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「料理と利他」を読んで「名前のない仕事」について思った

私は小説を書いているけれど、作品にこめるメッセージは「私という個人が発するものだけれど、…

上田聡子
1年前
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【後編】神戸遥真さんの恋シェイクシリーズは高校生の等身大の気持ちがめいっぱいつま…

こんにちは、上田です。めっちゃくちゃ暑いですが、私はさっきまでカフェにて読書してました!…

上田聡子
1年前
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天花寺さやかさん「京都府警あやかし課の事件簿」6巻の感想です!

おはようございます!上田です。 発売からもうすぐ半年になってしまいますが、天花寺さやか先生の「あやかし課」6巻の感想をまとめたいと思います。 1巻から追いかけている身としては、作品がどんどん人気になっていくのが嬉しくて。そして変わらない、さやか先生の京都への想いにも、作品を通してずっと惹かれ続けています。 では、感想いきます! 第一話 丹後王国と海の秘宝 大ちゃんと塔太郎さん、そしてまさるの葵祭行列見物という微笑ましいシーンからはじまる冒頭。ちとせに戻った大ちゃんは、

【前編】神戸遥真さんの「恋ポテシリーズ」は初バイトしたときの気持ちを思い出す

おはようございます、上田です! 久しぶりに本の紹介感想文をお届けしたいと思います。 神戸…

上田聡子
2年前
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前川ほまれさん「セゾン・サンカンシオン」は多くの人に届いてほしい

昨年読んだ小説のなかでも、ひときわ心に残ったのが、前川ほまれ先生の「セゾン・サンカンシオ…

上田聡子
2年前
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瀧羽麻子さん「夜明けのレタス」を読みセカンドステージを生きることについて考えた

こんばんは!上田です。今日も本の感想を書いていきたいと思います。 瀧羽麻子先生の作品は、…

上田聡子
2年前
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彩瀬まるさん「ひと匙のはばたき」が心に残ってこんなバーに行きたいと思った

彩瀬まる先生の「まだ温かい鍋を抱いておやすみ」という短編集から、1話目に収められている「…

上田聡子
2年前
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おいしいを分け合える人を思いながら千早茜さん「さんかく」のページをめくる

すごくすごく愛せる、ずっと大切にできる小説に出会ってしまいました。千早茜先生の「さんかく…

上田聡子
2年前
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はるかに遠い人を思うこと――「ピルサダさんが食事に来たころ」を読んで

日々の生活――暮らしは世界中どの人にでもある。その暮らしをまざまざと描き出す作品がとても…

上田聡子
2年前
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夏の名残を感じながら佐久そるんさん「氷と蜜」を読んだ

上田です!過ごしやすくなりましたね。 今日の本紹介は佐久そるん先生の「氷と蜜」です。小学館「おいしい小説文庫」のうちの1冊として出されたこの小説のテーマは、かき氷。まだ9月初旬だというのに急に夏が行ってしまったかのように涼しいですが、夏を惜しみつつ、ご紹介しようと思います! 物語は、主人公の陶子が母と驚くほど美味しいかき氷、その名も『日進月歩』を、奈良のひむろかざはな祭というかき氷のお祭りで食べるシーンから始まります。 かき氷といって、赤や青のカラフルなシロップをかけた