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七月の星々(140字小説コンテスト)応募作 part3

part1 part2 part3 part4 part5 結果速報

月替わりのテーマで開催する140字小説コンテスト。

【7月のテーマ】
作中に必ず『』という文字を入れる。

7月31日までご応募受付中です!
(応募方法や賞品、各月の受賞作などは下記をご覧ください)

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応募作(7月13日〜19日・投稿順)

uriko(サイトからの投稿)
いわゆるマルチ商法の電話番をしていたことがある。「今ドイツの城からかけてるんだけど」「私もどうしたら成功を」「借金まみれ」「息子が勧誘されて」「火をつけてやる!」。その中に「ただ人と話したい」二時間ごとにかけてくる迷惑なお爺さんがいた。数日電話がかかってこないとみんなで心配した。
keidokaii(サイトからの投稿)
世界都市時計を見るため走り始めから発情した犬のような音を発していたエンジンが砂埃のせいですっかりイカれてしまってからもまだ五百マイル走らねばならない。道中分裂を繰り返す胚のように増殖していく露店に並ぶ串に刺さった球体は時計の眼球で俺はその灰褐色の視線から逃れられない気がしていた。
keidokaii(サイトからの投稿)
薄暗い廊下に教室の扉だけが浮かんでいる。きゅっきゅと音をたてながら進んでいるのは、誰もいない校舎が怖いからだ。下校時刻はまだの筈だった。やっと、前から歩いてくる女生徒が見える。こんにちは、ウエハラ先輩と話しかけられて、私は咄嗟に、かみはらだよ、と訂正した。彼女に見覚えはなかった。
ヒトシ(サイトからの投稿)
2555日目。夜が明けたらわたしはこの安寧の暮らしを捨てて、空に飛び立つ。地獄の7日間の始まりだ。その間、わたしは声をかぎりにひたすら歌い続け、次世代へのバトンをつなぐ。食事をすることすら許されないその日々の果てに再び土に還る時がくる。7年と7日。その運命をわたしは恨みはしない。
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