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六月の星々(140字小説コンテスト)応募作 part4

part1 part2 part3 part4 part5 結果速報

月替わりのテーマで開催する140字小説コンテスト。

【6月のテーマ】
作中に必ず『雨』という文字を入れる。

6月30日までご応募受付中です!
(応募方法や賞品、各月の受賞作などは下記をご覧ください)

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応募作(6月20日〜26日・投稿順)

みやふきん(サイトからの投稿)
先日蓮池に行った際、蓮の中に一寸ほどの観音様を見つけてしまった。思わず掌をさしだすと飛び移ってこられたので我が家までお連れした。鉢の蓮をお住まいに、お食事は天からの雨を葉で受けてできた玉の水。晴れ続きで弱られた観音様。元の蓮池へお連れすると蓮の中から顔を出す観音様たち。俄かに雨。
ヒスイ(サイトからの投稿)
僕の恋人には
僕以上に大切なものがある。
仕事。友人。そしてこどもたち。

あなたにとっての優先順位は知りたくないけれど。
僕の愛情もその手の中に入れておいてほしい。
こぼさないで。
ずっと。

僕の恋情は地から湧き出て、天にのぼって雨になる
きみにふる
この恋は。
天地無用。
白石慎(サイトからの投稿)
「天の川を見に行こう」と彼女に導かれたのは、なぜか鬱蒼とした森の中だった。理由を訊ねようとすると、不意に目の前に小さな星が落ちてきた。無数の光が呼吸するように明滅している。昼間の雨のせいか、足下には長大な水溜りが流れていた。そこにも黄緑色の星々が瞬いていて、彼女はそっと微笑んだ。
甘宮雨(サイトからの投稿)
雨はどこからやって来るのか。天から降る雨を追いかけ雲の上に辿り着くと巨大な水溜まりになっており、見上げるほど大きな黄色い鳥が泳いでいる。「あなたはこっちですよ」案内された先には水甕が並び、黒い鳥が楽しげに遊んでいた。「これの名前は孤独。あなたはここで気が済むまで遊べばいいのです」
甘宮雨(サイトからの投稿)
濡れ鼠だった自分に「よかったらどうぞ」と傘を差し出してくれた君が今日は無言で傘を差し出し、雨の中を去っていく。頬を濡らしたまま歩いても傘のおかげで誰にも見えない。最後まで優しかった人の呪いを捨てたくて道端で濡れていた飼い猫に傘を押し付けた。私もあの日首輪をしていれば良かったのに。
ケロボン(サイトからの投稿)
下駄箱前を通ると、雨を呆けた顔で見つめる友達がいた。私も後ろからそれを見ていると、彼はこちらを見て、「君も雨、好きなの?」と言う。私はなぜか何も言えずにいると、「そっか。じゃあね。」と言って、彼は雨のもとへ駆けていき、雨と共に溶けていった。
福岡1年目会社員の暮らし(サイトからの投稿)
「仕事行くの嫌だなぁ」と妻。
予報通り雨が降った。傘をさす人、仕方なくレインコートを着る人、外出をやめる人、子供を車で送ってから行く人まちまち。皆嫌そう。僕は前日からかき氷を準備し、口を開けて外に出た。みんな、予報をくまなくみたか?今日の雨はいちご味らしい。
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