J-POPレビュー #1 小室プロデュース作品7選(前編)

音楽の記事についてはtwitterでも分量的に可能ではあるものの、noteのほうで記事にまとめた方が管理がしやすいので、こちらに書き溜める。

はじめに


幼い頃にカーステレオから偶然流れていたX JAPANやWANDSなどのJ-POPが今でも焼きついている。VHSにGコードで録画予約(死語)したCOUNTDOWN TVを見たり、月刊歌謡曲やCDでーたというような雑誌を読み、当時は中々オンタイムで入ってこない情報を取り入れていた。

2020年を迎えた今、自分は最近の音楽と一昔前の音楽をごちゃ混ぜにして聴いている。ほぼJ-POPの約25,000曲の貯めに貯めたライブラリのおかげで、サブスクリプションの音楽サービスなどというものは不要である。限られた音数を無限に組み合わせることで作られる音楽はアイデアが枯渇することなく、いつの時代にも多かれ少なかれ必ず良い音楽が存在する。

年齢のわりに年代の範囲や90年代の知識量はある自負はあるので、それらを一度ライブラリ化したいと思ったのが紹介記事を書く動機である。

小室哲哉に触れずしてJ-POPの何が語れるか?

しかしながらヒット曲たちは語り尽くされいるため、全く陽の目を見なかった曲や、ヒット歌手の2番手以降の曲を取り上げる方が多くなる。良い曲ながらもアーティストの人気の下降曲線に合わせて埋もれてしまったり、タイアップ等で認知がされずオリコン下位に終わってしまった良曲は当然ながら多い。

J-POPを語る上で欠かせないのは、90年代のCDバブル期である。そしてその栄光の時代をセールスというわかりやすい指標で支えたのは、紛れもなく小室哲哉の音楽である。彼の楽曲はたくさんのスターを生み出し、一種のムーブメントを巻き起こしてきた。TRF・安室奈美恵・華原朋美に代表されるようなミリオンアーテイストが90年代の音楽シーンの顔となり、各賞や音楽番組に顔を出した。その中でも、全盛期に代表作たちの陰に隠れてしまったり、ヒットはしたが全盛期から外れていることから彼の代表作として語られない良作も数多い。
このジャンルの記事のスタートにふさわしい存在として、たくさんの小室プロデュース曲の中から、ミリオンヒット曲以外で個人的に選んだ名曲7曲を前後編に分けて挙げていきたい。(5曲だと紹介できる曲が少なく、10曲だと挫折する可能性が高いためである)


1.「Lady Generation」篠原涼子(1995)

作詞・作曲 小室哲哉
ファミリーマートのCMソングとなっているが記憶にはない。この曲を皮切りに、3曲がこのタイアップでシングルカットしている。オリコン最高位5位。小室プロデュースのシングル3枚のうち最後となるこの曲は、唯一の篠原涼子単独名義であり、同名のアルバムからの先行シングル。小室最後のプロデュースユニットとなったDef Willがカバーした、多くの小室楽曲の中から選ばれた曲でもある。王道よりはクールな音作りで、個人的には大ヒット作である「恋しさとせつなさと心強さと」よりもこちらが好み。この時期のファミリー内の女性ソロアーティストの中では声量もあり歌えている方だが、ピッチは不安定さを感じる。転調した大サビが若干苦しそうで聴いていて応援したくなる。最後のサビの途中でがっつりフェードアウトする手法は最近の曲ではあまり見かけなくなった。

2.「恋をするたびに傷つきやすく…」翠玲(1995)

作詞 秋元康 作曲 小室哲哉
アニメ「ナースエンジェルりりかSOS」のオープニングテーマ。アニメのストーリーは記憶にないが映像とも意外に合っており、あの秋元康が作詞を担当している。サビ前の"出会わなきゃよかったと IFの嵐"という斬新なフレーズがある意味刺さる。この曲以外には聞いたことがない。翠玲(すいれい)は全盛期にも関わらずお世辞にも流行ったとは言えなかった小室のプロジェクトEUROGROOVEの出で、日本と中国のハーフのようだが、95年の小室全盛期らしい王道サウンドに、ファミリーあるあるのピッチが不安定なボーカルが乗っかる。そして非常に無機質な歌い方で曲が進行していく。転調するとやはり苦しそうではあるが、このボーカルが曲に合った最適解だったのかもしれない。この曲もまた、大サビフェードアウトパターンである。

3.「mystery of sound」円谷憂子(1996)

作詞 MARC 作曲 小室哲哉
アニメ映画「金田一少年の事件簿」主題歌。オリコン最高位19位とスマッシュヒット。円谷というくらいなので、あの円谷家である。レコード会社の移籍もあり、再デビュー曲ともいえる。小室ファミリーあるあるの声量の足りてない・上手いのかよくわからない女性ボーカルはやはり味があるのだが、夜もヒッパレでは同じファミリーの安室奈美恵が歌唱し、あっさり本家超えしてしまった。サビにはこっそりTKのコーラスが入っているなど、総じてglobeっぽさも含んでおりクオリティが高い。曲中"チャンス逃がして~"のあたりは節回しが完全にKEIKOである。やはりマークパンサーが作詞をしている影響が強いのか?ちなみにテレビアニメ版のOP「confused memories」も歌っているが、ラップがある以外はかなり似た曲である。この2曲をもって歌手活動は停止している。


残り4曲は後編につづく。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?