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#4「Blue Mantle」

inner STORYは、あなたの潜在意識から物語を紡ぎます。
詳しくは

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inner STORY『Blue Mantle』

そこは、遥か地平線まで続く青い海を望む岬、その岬の先端に程近い場所に、サークル状に立ち並ぶモニュメントが56体。
青っぽい一枚岩でできた石のモニュメントは、それぞれ長方形の四角い形をしていて高さが大小あり、でこぼこと不規則に並んでいる。
大きなもので高さが4mくらいあるだろうか。

石の表面には、それぞれに大小の渦巻状の模様が刻み込まれ、56体のうち海沿いに並ぶ4体には、大きさの異なる真円にくり抜かれた穴が一つづつあり、季節の太陽の回りによって、それぞれの穴にちょうど太陽の光が差し込む日が1年に4度訪れる。
今日は今年4度目の光がモニュメントに差し込む日である。

その日、そのストーンサークルを目指して海から一人の女が、この岬にやってきた。
亜麻色の長い髪に、透き通るほどに白い肌をしたその女は、足まですっぽりと覆い、表面が鱗状で青く光沢のあるフード付きのマントを羽織っていた。

ストーンサークルに着くと女はマントを外し、モニュメントに囲まれた円の中心に立ち、一呼吸おいてから、両膝を地につけ、今から光の差し込もうとしている穴の開いたモニュメントを正面に見据えながら両腕を空に向かって突き上げた。
すると、モニュメントの穴に太陽の光が差し込み始めた。
その光は、円の中央にいる女へと伸び、亜麻色の髪が金色に輝く。

それが合図のように、女は「13の存在の4つの側面」へ捧げる舞を始めた。
13の動きを連続させて舞うことで、サークル内の空間の圧が次第に高まっていく。

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それと並行するように女の動きも激しさを増す。
すると、地響きが地上に響き、サークルの中心の地中深くから、白いエネルギーの渦が立ち上がり上へ上へ と空高くに舞い上がっていく。

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そして、しばらくすると今度は、遥か上空に舞上がったエネルギーの渦が、再び地上へと降り注ぎ、地響きとともに地中深くに沈んで行った。
地中に沈んだエネルギーは、岬から遥か遠くの地まで響きわたり、地は活性化され豊穣な恵を生む大地となる。

このエネルギーの渦が3度地中に沈んでいくと、女は動きを止めた。
女は、高揚し白い肌を淡いピンクに染めて、大きな深い呼吸をしながら膝をつき、両手で大地に触れ、地中に響き渡る振動を感じていた。
舞を終えた女は、ストーンサークルの外に出て、先ほど外したマントを羽織った。 そして、岬から海へと続く足場の悪い岩場の細道を慣れた足取りで降り、岸辺から、もうすぐ日が沈もう としている地平線を眺めた。
空には気の早い星々が、一つ、二つと煌めき始めている。
女は、日が地平線に完全に沈んだのを確認すると海に飛び込んだ。

一連の女の姿を、岬のストーンサークルに程近い茂みの木の上から隠れてみている少年がいた。
この岬の近くに住む、漁師の息子だった。
少年は季節の変わり目にサークルの石の穴に太陽の光が差し込 むのを知っていて、この木の上から眺めるのが好きだった。
そこからだと、日の光が海面を照らし、さらに サークルの中心を照らす様子がよく見える。
この瞬間を眺めていると、少年は何者かに自分は生かされているのだと感じることができた。

だが今日は太陽の光ではなく、海から現れた女の美しさに心を奪われた。
美しい亜麻色の髪、透き通るような白い肌、そしてしなやかに舞う女の姿が、心から離れなかった。

漁師の息子は、次に女が現れるのを待ちわびて、サークルに日の光が差し込む日には必ず、この木の上から眺めていた。
そして4年の月日が経った後、女は再び現れた。

少年は、青年へと成長していた。

女は、やはり青く光沢のあるマントを羽織り現れた。
前に見た時と変わらぬ美しさだった。
 女がマントを外しサークルの中に入っていくと、青年は、女が外したマントに近づき、持っていた自分の鞄の中に入れた。
程なくして女は、サークルでの舞を終え、マントを羽織ろうとサークルの外に置いたマントを探した。
だが、いくら探してもマントは見つけられず、女は困った様子で岸辺の岩場から、太陽が沈むのをただ眺めていた。

そこへ、青年が近づいて行って、女に話しかけた。

「日暮時に、こんな岩場で何をしているんですか?もうすぐ、海は満ちてきます。日が沈んでから、この辺りを歩くのは危ないですよ。」

「さっき、この辺りに置いたはずのマントを探しているの。そのマントがないと、私は家に帰れなくなって しまう・・・」

「それは、大切な物なのですね。ならば明日、日が昇ってから一緒にマントを探しましょう。今日は、私の漁師小屋で休むといい。」

女は、迷いながらも頷いて、青年に案内されて小さな漁師小屋へ向かった。

「お腹は空いていませんか。」
「何か食べるものを用意しましょう。」

青年の申し出に女は首を横に振り

「私は、海からきました。ここの土地のものを、食べることができません。食べてしまうと、マントなしで は今までの記憶を忘れていってしまうので。」
「これで大丈夫。」

と腰につ吊り下げている袋から、木の実を取り出し口に含んでいた。
その木の実は、この岬の近くにも自生している、小さな赤い実に似ていると青年は思った。

青年は一つ分けてくれないかと頼んでみた。

 女は「ええ、かまわないわ。あなたが食べる分には問題はないから。」

と一粒分けてもらった。
その実を食べて見ると、やはりこの近くに自生している赤い実と同じ味がした。
青年は女に、明日の朝また来ますと言って、漁師小屋を出た。
青年は漁師小屋を出ての帰り道、小さな赤い実のなる茂みに立ち寄って少し摘んで行った。
翌朝のまだ夜明け前に、青年は漁師小屋に行くと女はまだ眠っていた。
青年は、そっと女の持っていた実の入った袋から実を取り出して昨夜、自分で摘んだ赤い実と取り替えた。

こうして女は、この土地の赤い実を口にして、少しづつ故郷の記憶を失くしていった。
そして、マントを探していることも忘れていってしまった。
青年はいつかマントを返し、本当のことを話そうと思っていたが、女といる時間が長くなるほどに、話すことが出来なくなってしまった。
女は、記憶を失くしてはいたが、いつも海ばかりを眺めていた。
青年は海を眺める女の姿を見ると、不安と罪の意識に苛まれた。

ある日青年は、女にここを離れ二人で暮らそうと話した。
女は、海を名残惜しそうに眺めながら一緒に岬を離れた。

二人は岬を離れ6日ほど歩いたところで、近くに森や川もある小高い拓けた土地に出た。
そこは、人の住む気配もない場所で、静かに二人で暮らせそうだった。
青年はそこに小屋を建て、畑も耕していった。
その土地は肥沃な土地とはいえなかったが、なぜか女が種を蒔くと作物たちは見事に成長し、たくさんの 収穫の恵を得ることができた。
二人には有り余るほどだった。

そして月日な流れ、二人には13人の子どもが生まれた。
先に生まれた12人は皆、父親似の黒髪と母親に似た透き通る白肌を持つ美しい娘たちだった。
13番目に生まれた一番末の子どもは、初めての男の子だった。
髪は亜麻色で瞳はブルー、肌も透き通るよ うに白く、母親にとてもよく似た顔立ちの美しい男の子だった。

青年は、年月が経ちこの辺りの土地の領主となっていた。
二人は恵まれた作物や作物から作った果実酒を売るようになり、最初に建てた小屋ではなく、大きな屋敷に住んでいた。
領主となって、多くの子どもにも恵まれ、念願の後取りとなる息子も誕生し、領主は幸せだった。
この幸せが永遠のものになるようにと願っていた。
そして幸せであればあるほど、領主の気持ちに影をさす女のマントを、ある時燃やしてしまおうと考えた。
だが、マントは燃えなかった。
次に、鋭く大きな剣で切り裂こうとも試みたが、マントに微かな傷さえもつけることができなかった。
結局マントは、そのまま鍵付きの箱にしまい、領主の心の奥に暗い影をつくった。

女は、月日がったても年老いることはなく、領主と出会った頃とほとんど変わらぬ姿だった。
なぜ、自分だけが年老いていかないのか、とても不思議だった。
それに領主からはある日、海から流されてきたと聞かされているが、その時のことや海に流される前はどこにいたのか、全く思い出すことができなかった。
でも、女は領主のことを深く愛していたし、子どもたちのことも愛していた。
とても幸せだったが、一つ気がかりなことがあった。

それは領主が、誰にも告げずに抱えている心の痛みを持っているように感じられることだった。

ある時、領主が村人たちと一緒に、重い表情で館に戻ってきた。
女は領主に尋ねた。

「村で何かあったのでしょうか。」

「村の者が町まで作物を運ぶ途中、隣の領主の土地に通りかかった時、盗賊に襲われて作物は奪われ、怪我 もおったようだ。」

「隣の領地を通るために、高い通行料を支払っているというのに。」

「私たちの土地は豊かで作物も多くが実るが、他の土地では、年々作物が実らなくなり、荒れ野が増えているらしい。」

「隣の領地も食べるものがなくて飢えている者がいるらしい。」

「それでは、うちの作物を分けてあげてはいかがでしょうか。」

「隣の領主は強欲だ。こちらの善意につけこんで、通行料をますます上げて来るだろう。このままでは、話し合いだけではすまないかもしれない。」

「明日、町に積み荷を運ぶ時は、私も一緒に行こうと思う。」

「危険ではないでしょうか。」

「護衛の者を何人か連れていくよ。」

領主は、明日の荷運びをするために村人たちと話し合っているとき、あることを思いついた。
あのマントを羽織っていけば、襲われ剣や矢を受けても、マントを貫くことはできないのではないか。
領主は村人たちを説得し、明日は一人で町まで荷物を運ぶことになった。
案の定、隣の領地を通る頃になって矢が飛んできたが、領主のマントは矢を跳ね返し無事に通り過ぎることができた。
そして積み荷を金に変えて帰ってくると、また同じ場所あたりで今度は、盗賊たちが剣で襲ってきた。
その剣もマントを羽織った領主を貫くことができず、逆に何人かの盗賊は、領主に刺され息絶えた。
  
領主は、返り血を浴びたマントをつけて亡霊のような表情で館に帰ってきた。
女は帰ってきた領主を見て、血の気がひき凍りついた。
青光りし魚の鱗のようなマントは、血に染まって異様な雰囲気と匂いを放っていた。
それに帰ってきた領主の表情も、自分の知っている夫とは思えなかった。
女は恐ろしくて領主に近づくこともできなかった。
と同時に初めて見るマントに、恐ろしさとは裏腹に惹きつけられるものも感じた。
女は、マントに惹きつけられる自分の感情を恥じた。

領主は、マントの血を洗い流し、鍵付きの箱にマントを戻した。
マントを羽織っていると、地上の全てのものが自分のもののように感じてしまう。 自分を中心に世界が動いているような。
そして、盗賊の返り血を浴びた時、このマントが飢えを潤すように喜んでいるのを感じた。
領主は一瞬身震いをして、その場を離れた。

領主はその後も、このマントを羽織って、村の積み荷を町まで運んだ。
すると矢や剣を突き刺すことのできない青い鱗のマントを羽織った領主の噂は、しだいに広まり、領主の村の積み荷を襲うものは誰もいなくなった。

そして、12人の美しい娘たちが年頃を迎え、それぞれ近隣の領主や領主の息子たちのところへ嫁いでいくと、その村の作物も豊富に実るようになった。

それから月日が経ち、この12の村は連合国として大きくな り、領主はその国の王となった。
近隣の痩せた土地に住むものは、食べていくために、この実り豊かな国の人々の奴隷や召使いとなっていった。
さらに王は、マントを羽織り遠くの痩せた土地の国々へ兵を伴い、戦いを挑み、領土を広げていった。
王は戦から戻るたびに、青いマントを血で染めて帰ってくるようになってから、年を取らなくなっていった。
王は、血に飢えた歳もとらぬ王として、皆に恐れられていった。
そしてその妃もいつまでも若く、歳をとらぬ姿から魔女だと噂する者もいた。
王は、人と話すことを避けるようになり、マントを保管する自分の部屋に閉じこもって、マントに向かって 何やらブツブツと話しかけているようだった。
女はマントを恐れてもいたし、何よりもマントに惹かれる自分を恐れていた。

そんな女の慰めは、13番目の息子だった。
息子といる時だけは、心穏やかに過ごすことができた。
息子は争いを好まず、恵を皆で分かち合うことを好んだ。
息子の周りにはいつも人が集まり、皆、息子の人柄を愛していた。
集まるものの身分は関係なく、貴族や学者も農民も、召使いや奴隷も関係なかった。
その中でも奴隷として、この国に連れてこられた少女とは、とても仲がよかった。少女の故郷の村は海辺にあって、息子がまだ見たことのない海の話をたくさんしてくれた。
そして、海の生き物たちの話や、少女の村に伝わる海の中で暮らす人たちの伝説を聞くのが大好きだった。
息子は、父親に幾度となく海が見たいとせがんだが、その願いは聞き入れてもらえなかった。

ある時、息子が城の中を歩いていると、囁き声のような音が聞こえた。
その囁き声が気になって、声のする方に歩いていくと、父の部屋からその声は聞こえた。
ドアをノックしてもなんの返答もなく、ドアを開けて見ると父は出かけているようで、部屋の中には誰もい なかった。
しかし、囁き声は続いていた。
囁き声は部屋の隅にある鍵付きの木箱の中から聞こえているようだった。
息子は木箱に近づき木箱に手を触れた、すると木箱が一瞬青白く光、カチャリと鍵が開いた。
息子はそっと木箱を開けると中には、父親の戦のマントが入っていた。
囁き声は、マントから聞こえてくる。
マントを手に取ると鱗状の表面に、窓からの光が反射して青く光沢していた。
光の角度によって、様々な青が浮かびとても美しかった。
息子はこのマントを近くで見るのは初めてだった。
どんな刃先も通さないと聞いていたが、厚みもなく、手触りも柔らかい。
マント広げ、自分の肩に羽織りフードを被ってみると、何かの皮膚を纏っているような感覚になった。

すると突然、目の前が暗くなり、水中の中に息子は浮いていた。

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水の中は暗くあまり周りがよく見えないが、上の方から微かに光が差し込んでいて、ぼんやりと周りが見える。
自分の体を見てみると、マントが体にぴったりと張り付いて、足先の方は魚のヒレのような形になっている。
息も水の中なのに苦しくない。
恐るおそる、足ひれを左右に動かして前に進んでみると、思った以上の速さで前に進む。
息子は楽しくなって、グングンと水中の奥深くへと潜っていった。
暗闇にも目が慣れてきて、さっきよりも周りがよく見えるようになった。
すると、たくさんの魚たちが、それぞれ群れをつくって泳いでいるのが見える。

「もしかして、ここは海の中なのか。」

奴隷の少女から聞いていた海の中の話しより、遥かに広く美しかった。
しばらくすると、前方に青く発光したものが浮かんでいるのが見えてきた。
なんだろうと、泳いで近づいてみると、透明で巨大なドーム型のものが幾つも見えてきた。
ドームの中には建物や広場などの街並みが見える。
街の中の光はどれも青白く、ドーム全体が青く発光しているように見える。
青白く発光する幾つものドームは、透明なパイプラインで繋がっていた。
そのパイプラインの中を沢山の青い光の球体が行き来している。

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息子は、ドームの表面に近づいて、このドームの入口を探したが見当たらない。
するとドームの中の建物から一人の男が出てきて、こちらに近づいてくる。
その男の髪も亜麻色でブルーの瞳、顔立ちもどことなく自分に似ている。
その男が優しい眼差しでこちらに近づき、ドームの内側からドームに触れると、男の手はドームを突き抜けこちら側に飛び出してきた。
伸びた手で、ドーム内へ息子を頭から引っ張り入れた。
ドームの中には、水はなく、体にぴったりと張り付いていたマントも体から剥がれ、二本足で歩くことができた。

「よく来たね。待っていたよ。」

「ここは、何処でしょうか。」

「ここはヴァンダルク、深海の都市だよ。」
「そのマントを着けた者しか中に入ることは出来ない。」
「ところで君の母君は、元気にしているだろうか。」

「あなたは、母を知っているのですか。」
「私の娘だからね。よく知っているよ。君は私の孫。」

「えっ、でもとてもお若く見えますが。」

「君の母君も若いままではないかな。私たち種族は老いることがないのでね。」 「さあ、こちらに。」

息子は、建物の中へと案内された。 建物の中は、広間になっていて奥に大きな鏡があった。
その鏡の縁取りは、マントと同じ青い鱗で覆われていた。

「さあこの鏡は、君の母とマントが辿った出来事を映し出す。これを見て欲しい。」

一部終始を見を終えてから、男は語り始めた。

「娘が、ストーンサークルで舞を踊らなくなって、幾年が過ぎ去った。地上の土地は衰え、荒れ野が広がり始めた。生命のバランスは崩れている。それは地上の人間たちの精神も歪めてしまう。どうか娘にマントを戻し、記憶を蘇らせて欲しい。それは、君の父親の罪を正すことでもある。この難しい役目を引き受けてはくれないか。」

「はい、お祖父様。母の記憶を取りもどすため、必ずマントを母に戻しましょう。」

 「ありがとう。」

すると、目の前が白けていき父親の部屋に戻っていた。
そこへ、父親がドアから入ってきた。
マントを羽織った息子の姿を見た父親は取り乱し、しだいに怒りの形相を浮かべこちらに近づいてくる。

「父上、私はこのマントの本当の持ち主が誰であるのかを知りました。このマントを母上に返しましょう。」

「それだけは、絶対にならん。」

逆上し我を忘れた王は、息子の首を力の限りで締め付けた。
息子は抵抗することなく、ただ父親の瞳をじっと見つめていた。
そして最後に一粒の涙を流し息絶えた。
その涙が、息子の頬を伝い、王の手に流れた。
王はその時はっと我に帰った。

「おおっ、息子よ。私はなんていうことをしてしまったのだ。」

王の大きな嘆きの叫びを聞きつけ、女が駆けつけると、王の腕の中でマントを着け息絶えた息子の姿があった。

「私は、息子の命を奪ってしまった。」

王は力つき、憔悴しきった表情で女に告げた。
さらに王は言葉を続けた。

「私はもう一つ、抱えきれない大きな罪を背負っている。どうかこのマントを着けて欲しい。」

そう言うと、息子からマントを外し女の肩に羽織らせようとした。
女は恐れと怒りで激しく抵抗したが、マントが女の肩に触れた途端、雷に打たれたかのように動きが止まり、静かにマントを羽織って、その場にうずくまった。

女は、全ての記憶を取り戻した。

「私は、君を側におきたいばっかりに君のマントを盗み、地上の実を食べさせて記憶を忘れさせた。この罪の重さは年月を重ねるごとに重くなり、そこから逃れるために私は多くの人の命を奪った。そして、自分の息子の生命さえも。」
「ああっ、私はどうしたらよいのだろう。」

王は取り乱し、憔悴し、多くの涙を流した。
すると王はみるみると年老いていって、王の本当の姿、老人の姿に変わっていた。
女は、老人を赤子を抱くように腕の中で抱きかかえ、愛おしい眼差しで見つめた。

「あなたの罪は汚れた大地に還さなくてはならない。私はあなたを赦している。私はあなたを愛している。 この汚れた大地に、あなたを還さなくてはならないことを赦して欲しい。」

そう呟くと、老人の額に優しく唇で触れて祝福を与えた。
すると老人の体は、白い砂となって砕けた。
女は、砕けた白い砂を壺につめ、息子の亡骸を馬車に乗せて、あのストーンサークルのある峠へと向かった。
途中、12人の娘たちも集め乗せた。

ストーンサークルまでつくと、56体のモニュメントの中で一番大きな物に、息子の亡骸をもたれさせた。
そして12人の娘たちも、モニュメントの12体の前にそれぞれ立った。
女は、サークルの中央に穴を掘り、白い砂となった老人を埋めた。

そして、舞い始めた。

すると、サークル内の圧が高くなり、サークルの中心の地表深くから、エネルギーの渦が上行し、空高くに上がっていく。
しばらくすると、遥か上空に上がったエネルギーの渦が、再び地上におり、地中深くに地響きとともに沈んで行った。
そして、あたりは暗闇になった。そこに13の存在が浮かび上がった。

「女よ、私たちを呼び起こしたかな。」

「はい。私はあなた方に使える者、私は生命のバランスを崩し、生命を滅ぼす力を人間たちの世界に芽吹かせてしまいました。」

「闇を人の心に芽生えたのは、お前のせいだと言うのか。」

「はい。私は闇を芽生えさせ、その闇を大きくさせました。そして、その闇を灯した生命を愛していまし た。」

「我々には、4つの側面があるのは知っているね。」

「はい。」

「4つの側面のうち、お前たちの世界では3つの側面が顔を向けている。4つ目の側面は顔を表すことはない。」
「3つの側面、光、闇、均等それぞれの側面に位置するときは、3つの側面の全体を把握することはできな い。顔を表すことのない4つ目の側面に位置することで初めて3つ全てを理解できる。そしてこの世界で顔を表すことのない4つ目の側面に通じるには、光だけではなく、闇の側面の扉も開かなくてはならない。」
「闇の次に、均等の側面の扉を開いたときに、4つ目の側面へと通づる道が見えるだろう。」
「お前が、闇の側面を開く物語を創ってくれた。人間たちは、自分たちがこの世界の偽りの父であることをいつか理解するだろう。忘却の母と偽りの父から生まれた息子たちがいつか、均等の側面の扉を開き、母に真実を見せるだろう。」
「お前の物語は、その為の雛形を人間たちの意識に埋めたのだ。」
「さあお帰り、次の扉が開くまで、深海の故郷へ。」

女が気がつくとそこは海の中、青い鱗のマントが体にしっかりと張り付いて、自由に泳ぐことができる。
様々な魚たちの群れ、そして遥か先にヴァンダルクが見えてきた。
目を凝らすと、懐かしい顔ぶれがドームの内側からこちらを見ているのがわかる。

胸が熱くなり、自然と涙がこみ上げる。

 「ああっ、私のヴァンダルク。」

STORYの象徴を紐解く

このストーリーを潜在的にもつ人の

【テーマ】 
 ・男性(性)の罪を赦す、浄化する。
 ・闇(恐れ)の真実を知る。

【自我のもつ幻想】
 ・偽りの(人間本意な)自然崇拝信仰への過度な献身。
 ・自分の存在が、男性(性)に悪影響(闇)を与えてしまうという罪の意識。
   
【マインドの傾向】
・海へ望郷に似た感情を抱く。
・男性社会の矛盾への抵抗。
・恵や豊かさを他者と分かち合いたいという欲求。
・忘却したアイデンティティ。

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