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私が対州馬を絶滅から救いたいと思う理由 その84

対馬の対州馬・調教師さんが、採血に来られる②

 

小太郎の飼い主である岡嶌獣医師は、自宅とは離れた場所にある元養鶏場のような場所で小太郎を飼育していました。
目印の無い山中にあり、私も一度しか訪れたことのない場所で、すっかり迷ってしまいました。

岡嶌さんに電話して説明してもらいますが、何しろ似たような山中ばかりでさっぱりわかりません。
篠原さんの帰りの飛行機の時刻まで、あまり余裕が無いので、いたずらに時間を費やせません。

「自分からわかるところまで出てきてくれればいいのにね!」
「あちらが年上だからしょうがないけど、もしこっちが年上なら、ちょっとお前出てきてくれんや!って言うのにね!」などと冗談を言いながら、やっとのことで小太郎の場所にたどり着きました。

しかし、そこからが、また一苦労でした。

わずか3m四方くらいの柵の中で何年も飼っている小太郎は、岡嶌さんに体を触らせないというのです。

従って、岡嶌さんは獣医なのですが、自馬の採血はできないので、篠原さんに頼むと言うのです。

篠原さんは、獣医ではなく調教師なのですが、採血の覚えがあるというので、私と岡嶌さんで小太郎をおさえ、篠原さんが採血をするということになりました。

周りはコンクリと鉄柵に囲まれた場所であり、対州馬の暴れた時のパワーというものを私も知っていたので、非常に緊張したのですが、何とか無事に採血を終えることが出来ました。

 その後、三人で少し話したのですが、どうやら小太郎を飼い始めて間もない頃、岡嶌さんが小太郎にまたがって、子どもさんが小太郎を引いて歩いていた時に、小太郎が急に走り出したために、岡嶌さんは振り落とされ、大怪我をし、救急車で搬送されたらしいのです。

長崎のひん太のところへ向かう車中で、篠原さんと話したのですが、その大怪我によって岡嶌さんは小太郎に対してトラウマを持ってしまい、それ以来飼い主と馬ではあるが、まったく気を許していない間柄になってしまったのだろうという推測に至りました。

毎日、野草を刈るなど大変な思いをされて世話をされているのに、馬は体にも触らせないなんて、なんて悲しいことだろうと、その時話しました。



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