カンコドリ

稀代のおばあちゃん子、カンコドリです。 閑古鳥ではなく緩股鳥です、詳しいことはここでは…

カンコドリ

稀代のおばあちゃん子、カンコドリです。 閑古鳥ではなく緩股鳥です、詳しいことはここでは書きませんがご想像にお任せします。

最近の記事

不安が負けた

恋人ができた。 不特定多数と関係を持つような生活を初めて1年。相手はアプリで知り合い、そこから仲良くなった人だ。 空気よりも軽い遊びの関係だったけど、私の名前を呼ぶ声、注意散漫しがちな私を引いて歩いてくれる姿。たとえその場だけだとしても私ひとりに与えてくれる視線、心にいつの間にか執着してしまい、私以外に優しくしていることを想像しては勝手に嫉妬していた。 けれども関係は空気よりも軽いもの。関係性はあくまで「セックスもする友達」で彼を占有する権利は一切ない。けれども、それがど

    • 言葉

      いちばん身近で、いちばん強い呪いをご存知でしょか。 「言葉」 Twitter上での他人へのディス。 呟くのも呟かないのも個人の自由であるのでそこに関して私は何かを言える立場にないのでわれ関せずを通してきた。 一貫して私はそういう呟きに一切「いいね」を押さないようにしている。これはFacebookでも同じで、誰かがそれを見て傷つく可能性のあるものに関しては一切かかわらないようにしている。たとえSNS上でも,、「いいね」を押すことで私と仲良くしてくれている方にその呟きが流れてし

      • 夜光虫

        「とある路地で女に引っ掛けられるらしい」 そうまことしやかに囁かれているのを男はある日知った。母親から九州男児になるべく育てられた男は元来とても疑り深く、そんなの噂に尾ひれ背びれがついて誇張されたものだろうと一蹴し、噂に興じる同僚たちを鼻で笑った。 そんな男はある日、会社のお得意様相手の接待で夜遅くまで飲み、徒歩50分の駅から自宅への道を歩いていた。 時刻は零時を少しまわったあたり。 良く言えば倹約家、悪く言えばケチな男はタクシーに払うならば、と歩いて帰ることに決めた。

        • ゆらゆら、ゆらゆら、 文字の海を揺蕩う。 遠くの彼が紡いだ言葉を目で拾う。 文字の裏に潜む感情の機微ひとつもらさぬよう、丁寧に丁寧にすくい上げる。 その文字が私の心に馴染むとき、まるで心に明かりが灯ったように温かくなる。 鉛の破片が紡ぐ想いを大事に大事に心にしまう。

        不安が負けた

        • ゆらゆら、ゆらゆら、 文字の海を揺蕩う。 遠くの彼が紡いだ言葉を目で拾う。 文字の裏に潜む感情の機微ひとつもらさぬよう、丁寧に丁寧にすくい上げる。 その文字が私の心に馴染むとき、まるで心に明かりが灯ったように温かくなる。 鉛の破片が紡ぐ想いを大事に大事に心にしまう。

          はじめての旅行・前編・

          今回は初めての18禁なるものを投稿します。 実際に体験した初めての旅行を忠実に書き残していきますが、身バレや特定を避けるため一部変えておりますので、実話を基にしたフィクションというスタンスで楽しんでいただけたらな、と思います。 また、話の内容上性行為について触れるのでこれらが苦手な方や嫌悪感を抱かれる方は読まないことをおすすめします。 最後に、少しでも気に入っていただけたらいいねを押してくださるととてもうれしくなりますので、どうぞよしなに。 恋人と行く、初めての旅行。初めて

          はじめての旅行・前編・

          武器

          私たちが勉強する意味とは何なんでしょう。 知識を身に着けるため、見識を広げるため、学校で習ってるから、将来楽したいから。 どんな理由でもいいと思います。 料理、登山、健康、機械、勉強の対象は何でもいいと思います。 料理だって知っていれば独り立ちしたときに食に困らなくなる。 登山だって万一山で遭難した場合、その知識でどうにか助かるかもしれない。 健康について知っていれば誰かが目の前で倒れていたら助けられるかもしれない。 機械だってもしこの世が世紀末に突入したら機械についての

          私の夢

          "I have a dream" その一節で始まる演説をした人をご存知でしょうか。マーティン・ルーザー・キングJr. は1960年代に活躍した牧師でアフリカ系アメリカ人公民権運動の指導者として有名な方です。 私が初めて彼の名前に触れたのは小学2年生のころ。黒人差別の残る地域に越してきた私は幸いにもリベラルな公立学校に通えたおかげで小学校低学年からとても先進的なものに触れてきました。しかし、数十年前までひどい人種差別が残っていた地域で育ったということもあって、公民権運動ゆかりの

          横顔

          その横顔はとても優しい その横顔はとても男らしい その横顔はよく笑う その横顔はいつも上機嫌だ その横顔が、好きだ。 笑いじわのよった少し鋭いその一重を見て、最初は気後れしてしまった。 だってあなたはとても魅力的だから。 笑うたびに覗くその八重歯はかわいいけど、私といても笑えているのか心配になった。 だってあなたはとても社交的で友達が多いから。 いくら理由をつけてみてもあなたに吸い寄せられていくこの心を無視できない。 あなたの視界に入りたくて、普段座らない席に座る。 私

          幽霊

          昔からオカルト好きな私は幽霊を題材にした映画やアニメ、漫画が好きだった。 自分の脳内で勝手にイメージを作り上げて空想にふけるのが楽しかったのかもしれない。 いるのかもいないのかもわからないけど、「いる」という人や「いない」という人がバランスよく混在する、幽霊という存在。 幽霊とは何なんでしょう。 魂だけの存在? ただただ心残りの場で永遠と同じことを繰り返す残留思念? それとも、生者が生んだ心残りの部分? 私はどれもそうで、どれも違うと思う。 幽霊なんていうものは信じたい人

          夢を泳ぐ

          晴れた日の休日の朝、 洗濯物を干し終わり、少し疲れた私はカーテンから差し込む陽射しと心地よい風を感じながらふたりで選んだソファに体をたおす。 外からは近所の子供達が元気にはしゃぐ声と子鳥のさえずりが聞こえてくる。 いつもより少し、ゆっくりめの空気が流れる土曜日に身をあずける。 もうすぐ起きてくるあなたと食べるための朝食を準備したいけど「あと5分」と誓ってほんの少し目を閉じる。 揺蕩う体と思考、ゆっくり夢の底へといざなわれるがそのままゆだねる。 かるい、かるい、雲の上。

          木陰にシートを敷いて木の根に背を預ける私の膝の上には大好きな君。 木漏れ日が君の顔を照らして少し眩しそうに身じろいで私のお腹に顔を押し当てる。 それがどうしようもなく愛おしくて少し癖のある髪に指を通し、その肌の温もりを感じる。 心地よい微睡みを揺蕩うあなたをまた好きになる。

          木陰にシートを敷いて木の根に背を預ける私の膝の上には大好きな君。 木漏れ日が君の顔を照らして少し眩しそうに身じろいで私のお腹に顔を押し当てる。 それがどうしようもなく愛おしくて少し癖のある髪に指を通し、その肌の温もりを感じる。 心地よい微睡みを揺蕩うあなたをまた好きになる。

          「雨で星見えなかったね」と少し残念がる私を連れ出して小高い丘に連れて行ってください。 子供が使うようなレジャーシートを敷いて体をぴったりと寄せ合いましょう? ふたりで雨上がりの草の香りに包まれながら夜空を見上げましょうよ。 星が見えなくてもいいんです。 あなたと一緒なら。

          「雨で星見えなかったね」と少し残念がる私を連れ出して小高い丘に連れて行ってください。 子供が使うようなレジャーシートを敷いて体をぴったりと寄せ合いましょう? ふたりで雨上がりの草の香りに包まれながら夜空を見上げましょうよ。 星が見えなくてもいいんです。 あなたと一緒なら。

          埋まらぬ穴

          そこに穴がある。 ぽっかりと空いた穴が。 決して埋まらぬ、決して見過ごせぬ穴が。 よくしていただいている方が言っていた〝心の穴〟。 大事な、唯一無二を亡くされたときにできた、ぽっかりと空いた穴。 その穴は絶対に元通りにはならない。 その穴は絶対に埋まらない、だってその穴には今は亡き方しかはまらないから。 いくらほかの人で満たそうにも、決して決して埋まらないでしょう。 そう、たとえるならばこの世界にたった一つしかない形の穴に別の、この世にたった一つのピースをはめるようなも

          埋まらぬ穴

          終わりの時間

          最初は増える一方だと思っていたあなたといる時間も、いつしか気づいでしまった。 これは減る一方なんだって。 いつしか来る終わりの時間、その時間が憎い。 駄々っ子のように抗いたいけれども、そんなのが敵うはずがないと分かっている。 人間、永久の時間を生きられない。 なにかの歌で聞いた「緩やかに若さを溶かす」。 その通りだ。 あなたも私も毎日若さを溶かして消費して迫りくるその時間へと進んでいく。 いつしかくる終わりの時間、憎いばかりではない。 終わりがあると分かるから日々の他愛も

          終わりの時間

          絶対の部屋

          「戦争の始まりを知らせる放送も アクティヴィストの足音も届かないこの部屋にいたい もう少し」 宇多田ヒカルさんの楽曲、「あなた」のワンフレーズ。 twitterの相互さんと話していて祖母と私のいる部屋はまさにこの歌詞のような幸せな空間なんだろうな、と言われて知ったのがこの歌。 どんな不安も、心配事も、憂い事も、祖母といる部屋は何者にも破れない安全な、絶対の部屋。 なにも祖母といるときに必ず出現する部屋ではない。 日常のふとした時に現れる、何物にも代えがたい時間がその部屋。

          絶対の部屋

          夏の昼寝

          鉄筋コンクリ3階建ての屋上付き一軒家が祖父母の家。 居間は2階、階段を登った先の右手側。 築40年ほど経ったがまめな祖父のおかげで綺麗に保たれている。 毎年祖父母の家に遊びに行くと、到着する頃には長旅に疲れてしまい大体昼寝をする。 私が昼寝の場所に選ぶのは3階の客間だが、まれに居間。 西日が差して少し暑いが、座布団を枕に日陰を選んで少々休む。 井草の匂い、仏壇に挨拶した時にあげた線香の香り、そして祖父母の家の匂い、絶対的に安心できる空気に包まれて私は眠る。 用事を終えた祖