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「ドラゴン桜」第8話、どっちつかずは倒れるという話。

前回の振り返りnoteでは「運に乗るためには覚悟が必要」という話を書きましたが、第8話も東大受験の覚悟を問う回でした。

フィーチャーされたのは、平手友梨奈さんが演じる岩崎楓。「両親を失望させたくない」と過剰に気を遣い、東大受験への挑戦を言い出せなかった彼女。意を決して東大受験への想いを伝えた楓の表情は、凛とした美しさがありました。

もともとアスリートとして、突出した集中力がある楓ですから、東大受験までのラストスパートで学力を飛躍的に高めることができそうです。

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と、第8話のラストシーンをバラしてしまいましたが、そこに至るまでのプロセスにこそ学びがあります。

楓はもともとオリンピック出場を期待されるバドミントン選手でした。残念ながら怪我をしてしまい、インターハイ出場を断念します。本人よりも親が失望し、そのことに楓は心を痛めました。

怪我をきっかけに、楓はスポーツ医学を学ぶために東大受験を決断しますが。しかし両親にそのことを言い出せません。かつて楓の父親は「勉強なんて才能のない平凡な人間がやることだ」と話しており、両親を再度失望させたくなかったのです。

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夏休み、受験勉強に集中しなければならない時期です。

東大専科の仲間と共に勉強に励んでいた楓は、親から「社会人の強豪チームで練習する許可をもらった。1ヶ月みっちり練習してこい」と指示されます。(この時点で、楓の親は、楓が東大合格を目指しているとは知りません)

自分の意思を伝えることができず、楓は、受験勉強とバドミントンの練習を両立させようとします。

ですが、バドミントンの練習は想像以上にハード。ラケットを持つ手が震えてしまうほどでした。それでも楓は、練習後、睡眠時間を削って勉強に励みます。

健闘むなしく、夏休み期間中に受けた東大模試は、東大専科の中で最下位に。心配する桜木や仲間に対して「私は両立できる!」と強がりますが、ついに楓は睡眠不足による体調不良で倒れてしまいます。

「親を失望させたくない」と繰り返す楓に対して、桜木は強く諌めます。

お前は優しい人間だな。だが本当に優しい人間じゃない。親がお前を苦しめていることを、なぜ親に教えてやらない。それは優しさか?岩崎、いくら親子だからって、お前が親の期待を一心に背負う必要は一つもない。親には親の人生がある。お前にはお前の人生がある。お前が背負う必要があるのは、お前の人生だけだろ。いいか、親ってのはバケモンだ。誰よりも長く強く、お前のことを思ってる。そいつに理解させるには、親子の縁を切るくらいの覚悟が必要なんじゃないのか。
(TBSドラマ「ドラゴン桜(2021)」第8話より引用、太字は私)

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こうして、楓は親に東大受験のことを伝えました。

親の期待を背負い、倒れてしまった楓の心情は察して余りあるほどです。しかし冷静に考えると、優先順位を二つ並べて、「どちらもやろう」というのは難しいものです。

ただ、彼女の気持ちは分からないでもありません。

例えば起業をするとして。全く売上見込みがない状況の中で、A, Bという全く違う事業を検討します。どちらも成功の可能性を掴めず、なので保険をかける意味でそれぞれフルコミットしようとします。

その人が特別な強みがあれば話は別ですが、ほとんどの場合、何も武器を持たずに両立しようとするのは無理な話です。どちらにも先行してビジネスをしている人たちがいるわけですから、彼らを凌駕するポイント(スタートアップの場合、ほとんどの場合が、熱意やスピード、柔軟性といったところでしょう)で勝負しなければ太刀打ちできません。

ビジネスでは、「選択と集中」という言葉があります。

どっちつかず、中途半端に色々なものに手をつけるのでなく、フォーカスしたい領域に絞って、組織のリソースを投入し、最速で利益を出そうとする活動のことです。

頭では分かりますが、リスクヘッジを考える(保険をかける)のが人間の性です。選ぶべき場面では、勇気を持って選択をすべきなのです。

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見逃した方はTVerでぜひ!

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各回の振り返りnoteはこちら。(3話からです)


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