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描くだけに飽き足らず。(庵野秀明展)

国立新美術館で開催されていた庵野秀明展に行ってきた。

今年公開された「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の記憶は生々しく残っている。2016年に公開された実写映画「シン・ゴジラ」、そして来年以降も「シン・ウルトラマン」「シン・仮面ライダー」公開が予定されている。大衆といかに折り合いをつけたヒーロー像になるのか、庵野さんの映画監督としての執念が楽しみでならない。

また、NHKで公開されたドキュメンタリー「プロフェッショナル」も話題を呼んだ。

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圧倒的なアウトプットの数々に驚嘆した方も多いと思う。しかもプロになる前から細部へのこだわりも凄い。その質と量の掛け算が、「庵野秀明」という唯一無二の存在へと押し上げたのだと感じた。

印象的だった展示はいくつもあったのだが、彼が自主映画として撮影した「DAICONFILM版 帰ってきたウルトラマン」は目を引いた。

何故かというと、若かりし庵野さんが、自らウルトラマンを演じていたからだ。(なぜか素顔を丸出しにして)

原作を見事にトレースしつつ、怪獣との戦闘シーンでは、庵野さんらしい独特のカメラワークを見せる。色々なやりたいことがある中で、ウルトラマンまで演じたのは好奇心ゆえだったのかなと思う。

演じることでウルトラマンの動きを知り、撮影に生かす。描くだけ、撮るだけに飽き足らない庵野さんのこだわり(あるいは執念)が象徴されていると言えないか。

シン・エヴァは、従来のアニメとは違って、実写の要素を取り入れたり、役者でモーションキャプチャーを撮って動きを作らせたりと色々な取り組みをしていた。

普通であれば「収まり良く」まとめようとするのだが、庵野さんは予定調和を徹底的に排除する。

庵野さんの世界観に魅せられる人は多い。だが本質は、アウトプットまでのプロセスにおける汗の多さというか、汗をかかせることを厭わない姿勢にあるのではと感じた企画展だった。

会期終了のギリギリに駆け込めて良かった。

しばらくは図録で余韻を満たそうと思う。来年5月の「シン・ウルトラマン」も楽しみだ。(子どもの頃、ずっとウルトラマンを観ていたので公開初日に観たいと思います!)

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