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私の新刊の表紙が死ぬほどダサい件に関してご報告があります

文学フリマ、いよいよ明日ですね。私もサークル「ルーセットレ」で参戦予定です。
ここで、私の新刊に関しましてご報告があります。
まずは表紙を見て頂こう。話はそれからである。

5/29 文学フリマin東京にて発売予定の表紙

うん、ダサいね。

何をどう切り取ってもダサい。
ちなみに、サイズが横長なのは背表紙も含んでいるからです。
とりあえず言い訳からはじめてもよろしいでしょうか? よろしいですよね。とりあえず話は製作過程に戻ります。

経緯

時は5月24日。時刻は午前1時。私は原稿を書いていた。
タイトルは表紙画像にもあるとおり、「ウキョサキョ 奇跡の骸晶と伝説の大泥棒。そして新米作曲家」です。
奇跡の骸晶と呼ばれる超スーパー鉱石を巡る、すったもんだの大騒ぎ……的なお話です。
詳しくは上記ツイートをご参照ください。

締め切りは、同日正午。残り時間は11時間を切り、私の精神は限界だった。
かれこれ6時間はぶっ通しでPCと向き合っている。終わらない原稿、今までの怠惰への後悔、自在に変わるプロットにSAN値をゴリゴリと削られながら、カタカタしていた。
全然終わらん……。
自身の新刊を落とし続けてはや三年。もうこれ上落とし続けることはできない。まぁ、落とすと言ってもようやく「そろそろ本作りたいな~!」と思い立ったのだけれども。
そして、そう思い立ち数ヶ月。原稿は真っ白なまま。
ようやく締め切り1週間前にして火が付いた。
前日(9時間前)になっても進捗は半分以下だったが……。

ま、それは置いておいて、全然原稿が書けていなかったのである。

もう段々眠くなってきたし、ここで終わらせてもいいんじゃないか?という気持ちもあった。そろそろ100ページ越えそうだし……。
一旦寝て、朝早く起きて原稿やるか……。なんて案も出た。
だがそれは危険すぎる。絶対に絶起だ。

そう悶々としながら午前2時。締め切りまで10時間。もう小学生の睡眠時間くらいしか残っていない。とりあえず原稿は形にしてから寝たい。表紙は一ミリも考えていなかった。やばい。表紙もやばい。でも今は本文を完結させなきゃ。

と、ごっちゃごちゃになりながらも、なんとか完結。両手はじんわり痺れていて、もうこれ以上打てないよーと指の付け根が悲鳴を上げていた。
誤字脱字をザラザラッとチェックして、体裁を整えて、一息つけた。
午前3時手前。脱稿である。あとはサイズを規定のものに合わせてPDFに変換するだけである。もう本文については知らない。できたことに意味があるのだ。

そして表紙!!!!

何も考えていなかった表紙!!!!

私は焦った。メロスにはデザインがわからぬ。画力もそこそこかなり低い。
一から構造を練って、イラストを描いて……なんてことできない。なんなら眠い。というかもう寝たい。

そんなIQギリギリの私が考案したのが「写真に文字入れればそれっぽくなるんじゃね???」というやつ。文庫本、単行本問わず確かに用いられていますね。花とか、海とか、夜景とか、色々。
そしてチョイスしたのがコチラ。

私が撮影したテントウムシ。かわいいね

うん! うん! 悪くないんじゃないですか!?
構図も悪くない! 地味な背景に、赤い一匹のテントウムシ。うん!いいね!!いいじゃん!

この時点でほとんど満足していました。あとは文字を入れるだけ。

ここで私は気づいていなかった。己のセンスのなさに。

「ここにタイトルを入れて……傾けるとオシャレ! 傾けるとオシャレやん!?」
「副題は下の方かな。ちょっとキャラの名前で色分けするとそれっぽいのでは!?」
「大きさはこんなくらいかな? まぁいいね! うん!」

と、クソデカ独り言を呟きながら、PCに向かってカチカチ。脳はもうオーバーヒート状態。朦朧とする意識の中、完成したのがコチラです。

二回目の登場! 段々愛おしくなってきた!!

あーあ

朝起きて、もう一度見直してみました。
なんだこれはと。
一番ヤバイのは文字。見づらい。あと配置もそこそこにダサい。
どうして昨晩の私は「オッケー!入稿!ッターン」としてしまったのか。
しかし後悔先に立たず。入稿済みの表示は取り消しできない。
まぁ、それでもこれはいわゆる「自分の生み出してしまったものへの過小評価」効果的なものも含まれているのではないかと、ちょっとだけ期待していました。期待していましたとも。
さっそく色々な人に見せることにしました。

観察者一人目 恋人

私の事を親の次くらいに知っている人物こと、恋人。
そしてこの記事の人物でもある。
私は多分、彼が好きです【ほぼ他人編】|さよ|note
続きは今週中には書きます。必ず。


ここ数日原稿で死にかけていることも知っていたため一番作品を見せるハードルが低い彼に、正直に感想を言って貰おうと思った。

ありがたいことに、もう「こんな事言ったら嫌われちゃう……」やら「素直な気持ちを言ったら関係がギクシャクしちゃう……」などの駆け引きする時期は過ぎている。彼ならド直球なかんそうをいってくれるだろうと。
ついでに、彼は美的センスが非常に高い。ポスターとか製作したことがあるそうだ。

で、彼も「そんなこと言って謙遜じゃないの~」みたいな態度だった。表紙を見るまでは。

「うわ、見づらっ」

心、イズ、ポッキー。
彼の第一声で私の繊細なマインドは打ち砕かれた。
これで私のダサさは幻ではないことが確定した。そうだよねぇ、見づらいよねぇ。それは事実なので、もう受け止めました。でももう印刷まで進んでいるので止められません。ではどうするのか、次に生かすのです……!

というわけで、彼に聞いてみました。どうすればそれなりにマシになるのかと。

「まず上の段ね。主題なんだからもっと大きくはっきりさせないと。文字の後ろに陰をつけるといいかもしれないね」


上の段のお話

「あとはフォント。遠目から見たらカタカナの横線が見えないよ」

ここのカタカナの事です。確かに遠目から見たら見づらい

そして最後に一言「作る前に相談してくれたらよかったのにー!」

確かにその通りです。
そして、締め切りの3日前くらいから作り始めていればよかった。
ここ、一番の後悔ポイントです。

技術的なことはさておいて、時間が足りなかったのが(ついでに技術も足りなかったのが)最大の原因ですね。そこから初めてセンスが問われていくわけです。あまりにも浅薄な決断でした。

そして、数日後。もう一人、いや二人、三人ぐらいに聞いてきました。

観察者 二人目~ サークルの人々

私の所属するサークルはもうかなり心を許している人達だらけ。きっとここにもストレートに意見をぶつけてくれるだろう。ということで、サークルの皆さんに私の表紙を見て貰った。
ここからは音声のみでお送りいたします。

「いやいやさすがにそんなヤバい訳……あっ、……スゥー……あ~(言葉を濁すんじゃない)」
「なんかこう、この部分が要らないかもしれないですね(指で指してくれた)」

この部分。ほとんど全部ですね

「テントウムだけだったらまだ耐えていた(何に?)」
「あ、ダサいですね!(可愛い後輩です)」
「まぁ、ジャケ買いはされないでしょうね!(確かにそうです)」

そんな酷評の嵐の中、一人の子がこう言ってくれた。
「なんか、いいじゃないですか。初々しくて!」
褒めてるんですかね?

聞けば、「駆け出しのYouTuberみたいなフォントと編集」とのことでした。捉え方によっては可能性の塊って事なんですかね?
確かに最初の表紙ならわかりますよ。でも3回目なんすわ。表紙作るの。
過去2回は3年以上前なのでノーカンにしちゃえば、初回と言い訳しても良いんですけど。いやよくないんですけど。
もう何回も表紙を見ている私はそろそろこれが愛おしくなってきましたよ。我が子なんでね、この子。三女、ないしは三男です。長子、次子は失踪していますけど。

ダサさから学ぶこともある

こんな感じで、表紙がダサくなった経緯を書き綴ったわけですが、この経験を機に、寝不足の脳味噌の判断力がいかに危ういのかと、いかに前もって準備をするかの大切さを同時に学ぶことができました。
ようやく「一晩置いて客観的な目で見る」ことの大切さが身に沁みました。もしかしたら本文も大きな誤字脱字があるかもしれないと考えると震えが止まりませんね。

過ぎてしまったことですが、販売は控えているので胸を張って売りたい気持ちはあります。
私の古参ファンになりたい方、必見です。もちろん私の他にも、素敵な作家さんの素敵な本があるので、そちらもぜひ。
というか、そちらこそ! ぜひ!

一応、もう一度再掲しておきます。

「オー25」で待ってますね!

宣伝はさておいて。
このダサさを教訓に、もう少しセンスを磨こうと思いました。じゃあ具体的にどうするのか。そう、お勉強ですね。

デザインを学ぼう!


そこで、こんな本を買いました。

なるほどデザイン〈目で見て楽しむ新しいデザインの本。〉 | 筒井 美希 |本 | 通販 (amazon.co.jp)

デザインを学ぶといってもいきなり専門学校に通って~、なんて事は思わず、専門書みたいなものないかな~と思って捜していたら、出会ったのがこの本でした。
これ、めちゃくちゃ面白いですね!
画像や文字の配置から、それの与える印象、カラーリング、イメージなどの理論を直感的にわかりやすく説明されています。
ザ・デザインの本!って感じで、デザインをデザインによって描かれているので、用語を知らない私でもスルスル読み込むことができました。
これを読んでから、雑誌の表紙やら、本の表紙、Webサイト、ポスターなどの配置が段々気になってきました。
「こういう意図で配置しているのか~!」と一人でニヤニヤする時間もふえました。

世の中、デザインで溢れているんですね。当たり前だけど。
誰かが見るって事は、誰かが作ってるって事なんですわ。当たり前の事すぎて考えていないけれど、こうやって文字打って文章にするのも、デザインの一つなんですね。

もっと早くに読んでいれば……と思うくらい、すぐに実践できそうな、そんな一冊でした。
マジでもっと早く読んでおけばよかった……。

デザインって、すごいや。

印刷されている本から学ぼう!

そしてもう一つ。洋書を買ったんですよ。読めもしないのに。
あ、虫注意です。

左書籍『放浪者メルモス』右書籍『ゴキブリ』

どちらもイギリス出版の書籍です。ちなみにタイトルしかわかりません。
カバーがなく、表面がツルッとしたこの感じ、私が作りたかった本そのものです。
最終的にはこんな感じの本が作りたいのです!!!!

という事に気づき、機会に恵まれていたので即購入。
英語もいつか勉強しなくちゃと思っていたので、これを機に、中身の方も頑張って読もうかなと。(多分いつか記事にします)

この二つの表紙、日本のものとだいぶ違う。
まぁ、私が知ってる表紙の数もたかが知れてるんですけど。

まずは右側の『ゴキブリ』から見ていこう。
超シンプルなイラストと、わかりやすいフォント。
上部の「Ian McEwan」が作者さんの名前で、下部の「the Cockroach」がタイトルです。間にはリアルなゴキさんのイラスト。

左側の『放浪者メルモス』もかなりシンプル。
中央に「Melmoth the Wanderer」がタイトル。その下にある「CHARLES MATURIN」が作者さんの名前です。周りにはピンクと黒のろうそくのイラスト。背景の青色と、両サイドのピンクラインが映えていますね。

二冊の表紙の特徴としては
・イラストのみが用いられている
・タイトル、作者名がはっきりわかる
・超絶シンプル

の、三点でしょうか。
精巧なイラストも、オリジナルイラストも必要ないんです。まぁ、日本と海外でノリとかウケの良さとかは変わってくるとは思うんですけど。

これだったら私でもできそう! 一目見たときに買ってしまいました。
中身を読み終わるのはいつになるんだろう……。でも、これが「ジャケ買い」です。私の本にはないヤツです。読むのが楽しみだなぁ。

明日への意気込み

ま、どんなに嘆いても明日はやってくるし、文学フリマin東京は開催されるわけで。
なんか、明日授業参観がある子供みたいな気持ちですけれども、ちゃんと行きます。行きますとも。
ぜひこの記事を読んでくれた方、文フリ行きたいけど目当てのサークルさんとかいないかも……とか迷ってる方、参会者だけど他のサークルさんはどんな感じなんだろう……と思ってる方、是非我がブースに遊びに来てください。
別に購入しなくてもいいです。
なんなら前を通るだけでもいいです。
ただ、表紙を見て欲しいそれだけです。
是非、私の表紙を見て元気を出してください。
他の本は凄いので、そっちをぜひ買って欲しい。
それだけです。
最後にもう一回だけツイート貼っておきます。

それでは、明日文フリ東京でお会いしましょう。
オンライン通販も、予定しています。完売しなかった場合は!!ですけどね!!

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