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教科書を読む「ごんぎつね」②

小学生の頃、毎朝教科書を3回音読するよう

母に言われていました。

サボって学校に行こうものなら

遊んでいる朝の校庭に

当番作業をしている石炭山に

母は現れ、私は家に連れ戻されました。

昭和の時代の田舎の母なりの教育。

でも母の執念があったからこその今の自分。

お母さん今日も娘は沢山読み仕事しましたよ。

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という事で、今回は「ごんぎつね」の2回目。 

前回は惜しくも2行で終わってしまいましたが

このままだと解説に2年はかかると気づき

今回は正々堂々スピードアップすることを

誓います。

では…いかせていただきます。

これは、私が小さいときに、村のもへいというおじいさんからきいたお話です。
 むかしは、私たちの村のちかくの、中山というところに小さなお城があって、中山さまというおとのさまが、おられたそうです。
 その中山から、少しはなれた山の中に、「ごんぎつね」という狐がいました。ごんは、一人ひとりぼっちの小狐で、しだの一ぱいしげった森の中に穴をほって住んでいました。そして、夜でも昼でも、あたりの村へ出てきて、いたずらばかりしました。はたけへ入って芋をほりちらしたり、菜種がらの、ほしてあるのへ火をつけたり、百姓家の裏手につるしてあるとんがらしをむしりとって、いったり、いろんなことをしました。         
ー青空文庫よりー

さて、前回できなかった冒頭部分。

今回は3行目から。

まずは「村の近くの、中山にある小さなお城」という場所関係です。村のにある中山の場合、村に中山が含まれるので「らの中の、⤵︎かやま」とからで一段音が落ちますが、村の近くの中山なので、村と中山が並列の関係。「らの近くの、かやま」のは同じ高さだと良いです。
「ナカヤマ」という土地も山があって城下町があってという風景をこの4文字でしっかり想像しながら読むので少しスピードが落ちます。
「おとのさまがおられたそうです」とありますが、そうですというのも実は大事。こういう細かい部分に読むヒントが落ちているものです。見逃さないで下さい。
もうすっかり自分で語っている気分になりがちですが、これはあくまで村のもへいおじいさんからの伝聞であり、登場人物も場所も、実はもへいおじいさんから提示されているのです。私が最初の2行でもへいおじいさんの扱いに少しこだわったのもここに理由があります。もへいさんがストーリーテラーなんです(笑)。ここを最後まで意識してください。
昔から意識して読んでとかイメージして読んでと言われると、えっとえっと雰囲気でなくもっと理論的に教えて欲しい…というムズムズがありました。
ですので、どうすればもへいおじいさんの伝聞として語れるかは細かくちょこちょこ出していきます。 

おっと…。またやってしまいました。

まだ2行。

親愛なる隣人(本名ジェーン・スーさん)から

長い、細かいとツッコミがありましたので、

私は勇敢に進みます。

うふふ。5行目に入りますよ。

その中山から、すこしはなれたところに「ごんぎつね」という狐がいました。」そのが前の2行を全て受けています。
ではどう受ければいいのか。そのの音での表し方です。「…いたそうでの中山から」す。と言葉は終わりますが息遣いはつなげます。すuuの余韻を残したまま息を吸いを大きく被せて強く出します。
そして、出てきました「ごんぎつね」。「」と文字を一つづつ粒立ててだします。いいともの「」と一緒です。同じ名詞でも先述した山や情景を想像しながらゆっくり出す「なかやま」とは違います。ここではごんぎつねにまだ意味は持たせません。初めて出てくる単語でしかなのです。だから無機質に同じリズムで、「」と声に出します。
で、で。次の「ごんぎつねいうきつねがいました。」の「」が大事なのです。「とッいう」とちょっと跳ねて出す「とツ」と、「とoいう」という少し伸ばして出す「とo」あなたならどちらで出しますか?この場合はそう先ほど言いましたが、もへいおじいさんが言ってたことの回想です。自分で発見したのなら「聞いてッ!あのねッ!」と跳ねていいのですが、あなたは何もしていないので「とoいう」と落ち着いてまた次の人に繋げるだけなのです。
伝聞の話だと意識するとこうやって細かいところが違ってきます。

今日も4行しか進まなかった。

スピードアップとか偉そうに言ってしまった。

次回は頑張りたい…。


ちなみに文中唐突に出てくる「石炭山」ですが

当時、私の小学校は石炭ストーブで

石炭山に登りバケツで石炭を運ぶという

日直当番の仕事がありました。

40年前の話です。

2020・3・25 TBSアナウンサー 堀井美香