学べる人/学べない人のシンプルな違い
年が明けて受験シーズンに入ります。受験生とその関係者の皆様は体調管理には気をつけて、ベストな実力が発揮されることを祈っています。
こんにちは。プロフェッショナル人材の能力開発をご支援する、アンドア代表の堀井です。
さて、私自身は「学ぶ」ということに苦労してきました。高3での全国偏差値は40。”入れる大学は無い”とフィードバックされました。自他ともに認める勉強嫌いでした。
そんな私が今では予備校業界、社会人研修を通じて「学び直す」お手伝いをしています。学ぶことに苦労してきた分、その辛さと面白さを言語化してお手伝いできると自負しています。
では、学べる人と学べない人のシンプルな違いはなにか。そして、正解のない社会人にも、どのような教訓が活かせるのかを示したいと思います。
■学べない人の3大傾向
1.持っている参考書、問題集の量がやたらと多い
2.間違えたときに参考書、問題集のせいにする
3.そもそもの原理原則を読み飛ばして、とにかく問題を解こうとする
【解説】
勉強が苦手な子を受け持つとき、まずは「どんな参考書や問題集を持っているか写真を見せて」と伝えます。子どもは喜んで”見栄えがする”写真を持ってきます。
ここに重要な鍵があります。勉強が苦手な子に限って大量に参考書や問題集を所有しているのです。何を隠そう、私もかつては参考書コレクターであり、本が増えてもまったく成績が上がらない泥沼に苦しみました。
先生「これ、全部やるの?」
生徒「うん。いつかね。」
こう答えた多くの生徒が、実際には手を付けることなく参考書や問題集を手放します。では、学べない人の本質とはなにか。
自分の弱点を知らいない
この1点につきます。
間違えた
↓
原理原則をよく読まず、問題のせいにする
↓
自分の弱点を知らない
↓
外部環境のせいにする
↓
新しい参考書や問題集を買う
↓
間違えた(再掲)
こうして学ぶことが嫌いになってしまいます。
■学べる人の3大傾向
1.同じ問題集を繰り返し解く
2.間違えたときに自分の癖を知る
3.そもそもの原理原則を納得するまでなぞる
【解説】
一方で勉強が好きな子ほど1冊の参考書や問題集をボロボロになるまで使っています。「この1冊が完璧にできればどんな問題でも怖くない」と、生徒と本の間に強固な信頼関係さえ見られます。
では、なぜ彼・彼女はそんな1冊の参考書や問題集と強固な信頼関係を築けたのか。
そもそもの原理原則を知っている
つまり、
何のために勉強をするのかをよく対話した
結論、勉強する目的が明確なのです。
実際に受験指導をする際、高校受験なら4月に、大学受験なら6月に、一コマ90分をフルに使って生徒と対話をよくしました。テーマは、
「なぜ、あなたは勉強をするの?」
というものです。
苦しくて楽しくもない受験です。楽をしようとすればいくらでも娯楽が手に入る現代において、どうして勉強するの?勉強せずに遊んで暮せばいいじゃない。
このように、悪魔が囁くかのように生徒に尋ねると
「いや、受験をすることで様々な困難を解決できる大人になりたい」
と、ビジョンが出てきます。
そして、彼・彼女のように”困難を解決できる大人”になるためには、
自分の弱点を知って克服する必要がある…2.
だから一つの基本を繰り返し身につける…1.
このようにして学べる人が育っていきます。これを【マインドセット】と言います。マインドセットがあるから【スキルセット】の効果が出ます。
■子どもは親を真似る
では社会人にも同じことが言えるのでしょうか?
私は、問題の質こそ違うだけであって、”学びの本質”は受験生も社会人も同じだと考えています(後述)。
もっと言えば、子どもは親を真似ます。
勉強が好きな子は決まって「父や母も勉強する時間をとっているから、自分もやらなきゃって思う。」と言ってくれます。
さて、社会人が学び続けるためには何が重要なのかを見ていきましょう。
■社会人が学び続けるための教訓3つ
1.同じ問題集を繰り返すとは…
✗知識は知っている状態で満足し、「うちは特殊だから当てはまらない」と実践に移さない
◯一つのフレームを繰り返し練習し、仲間と学び合う
2.間違えたときに自分の癖を知るとは…
✗上司や環境のせいにして「違う条件だったらできた」と主張する
◯自分の中にある癖や思い込みを言語化し、克服する練習メニューを見つける
3.そもそもの原理原則を納得するまでなぞるとは…
✗とにかく目標達成、評価UPのために仕事を”こなす”
◯誰の何のための仕事なのかを仲間と明確にし、優先順位をたてて仕事を”組み立てる”
【解説】
先述の通り、受験生も社会人も”学びの本質”は同じです。
つまり、上記の3項目で記したとおり、✗をやりがちな組織ほど人材育成や生産性に課題感を感じています。
しかし、大人の学び直しを困難にしている要素はいくつかあります。
1.成功してきた”プライド”がある
2.若いうちに我慢をすれば、中堅以降に”楽”をできるという(うっすらとした)ビジョンがある
3.仕事の価値には正解や明確な指標がなく、自分達で作り出す必要がある
こうしたことを謙虚に受け止める【マインドセット】がなければ、いくら素晴らしい参考書や問題集を得ても、学べる人の習慣化には程遠いことでしょう。
■最後に…社会人が「学び直す」なら【マインドセット】から
ここまでお読みいただきありがとうございます。
では、私堀井が年間13,000人の方と社会人教育でご一緒させていただいている中で思うこと。それはシンプルに
あなたは、なぜ学ぶ必要があるのですか?
この問への答えを、新聞やニュースで見た話ではなく、自分の言葉で誰かに説明することです。つまり、【スキルセット】の前に【マインドセット】をすべきでしょう。
いきなり高い教育プログラムに投資する前に、じっくり対話することをおすすめします。
弊社のコーチング/グループコーチング/外部環境と目標設定の研修もお役に立てると思います。学ぶことが好きな大人に向けて、一歩を踏み出しませんか?
堀井 悠(Holly)プロフィール
アンドア㈱代表
スターバックス、学習塾、リクルートを経歴し、国内・国外と大手・ベンチャーのカルチャーを経験。スターバックスで学んだ理念に基づく主体的なチーム開発を得意とし、日本国内最王手の製造業、自動車メーカー、食品会社、スタートアップ事業での研修の企画、開発、講師登壇を経験。年間13,000人の受講者、5段階評価で平均4.8点と高い満足度に定評がある。人事向け大型カンファレンスの登壇や、雑誌への執筆では独自の理論「腹割り対話でつくる組織変革」を提唱。モットーは「あした、また、がんばろう」と思えるチームを増やすこと。
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