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暇つぶしの餌食に『ミノムシ』

絶滅危惧種になってしまった『ミノムシ』

山道をサイクリングしている途中の休憩で
偶然、見かけて昔を懐かしんだ
わたしが小さい頃は、秋から冬にかけて
当たり前のように、庭木の枝にぶら下がっていた

幼少期の年末年始は、わたしにとっては暇で
暇つぶしの餌食に『ミノムシ』を選んだ
単純に小枝や枯れ葉のミノが可愛く感じた

寒風に晒されたミノムシは死んでいるのだろうか
暖かい部屋で蘇生しないか
複数のミノムシをちぎって実験してみることにした

ミノムシは室内に置いたぐらいでは、動かない
コタツに入れると誰かが踏むかもしれない

石油ストーブの給油蓋はヤケドしない程度に温かくそこにミノムシを並べ、様子を見ていた
ミノムシは案外、早くに顔を出し蓋の上を這う
愛らしい、黒い頭のミノムシは
遠慮がちに、ミノを背負って移動を始めた

子どもという生き物は、残酷にできている
次に、ミノの中が見たくなった

断ちバサミで、そっとミノの先を横に切り
そこから、ハサミの先を入れ、縦に切る

小枝で出来たミノは
内側がフェルトのようしっかり織ってあり
ミノムシは、グレーのぷっくりした体をしていた
わたしの知る毛虫より数倍可愛い、イモ虫だった

生まれて初めて見る、冬眠からの目覚め
「生きてたんだ…」確認すると、また欲が出る

お土産でもらった、千代紙の箱に
救急箱から出してきた綿を伸ばして、中敷する
まん丸のミノムシを綿の上に置いて、蓋をした

急速ではなかったが
ミノムシが作ったのは、綿で紡いだ白いミノ
とても柔らかい
童話に出てきそうな、温かなフォルムだった