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大相撲名古屋場所と番付の行方〜最後の愛知県体育館開催

大相撲について時折書いているのだけれど、ここのところ書きたくなるようなネタが思い浮かばない。それでも、本場所は進行し中日を終えたのでなにか記そう。

今場所は暑い七月場所だが、1965年開館と共に開催場所となっていた愛知県体育館最後の場所である。NHKでは思い出の取り組みを連日放送しているが、中日は地元優勝を遂げた三重ノ海だった。1979年のこと、当時三重ノ海は31歳、ベテラン力士の横綱昇進は印象に残っている。頑張っていれば、良いことがあると感じた覚えがある。

大相撲の歴史を見届けた体育館での今場所は、復帰した横綱・照ノ富士の強さ、横綱としての威厳が光っており、ようやく場所に芯が出来た。それだけに大関・大関予備軍の迫力が感じられない。朝乃山は一山本との一番で左膝靱帯断裂。ショッキングなシーンは見ていられず、思わず画面を消した。

心配なのはカド番の大関・貴景勝。かつての相手を弾き飛ばすような立ち合いが見られず、すでに5敗。大関から陥落した霧島は序盤戦こそ好調に見えたが、そんな貴景勝に一方的に押し出され4敗で、大関復帰の10勝を上げるためには、あと1番しか負けられない。

先場所優勝し、期待の新鋭大の里、大関が見えてきたという声もあったが、序盤戦は不甲斐ない相撲。流石に地力があり、盛り返してきたので、後半戦に期待。

光っているのは、小結・平戸海。闘志溢れる相撲で、観ていて気持ちが良い。いつも全力の宇良も、黒星先行ではあるが、照ノ富士との一番は相撲の素晴らしさを表現した。

ちょっと意外なのが正代。6勝2敗と、二番手グループにとどまっている。数年前、両国国技館で相撲見物していたところ、客席から「正代、本気出せ!」という、聞いたことのない声が飛んだのは忘れられない。今場所は、本気出しているのだろうか。

もう一人の2敗は大関・琴桜と、なんとか「番付の権威」を守っているが、照ノ富士がいなければ、今場所も混戦となっていただろう。

“番狂せ“というのは、番付が機能してこそであり、大相撲は上位の壁があってこそ、個々の対戦の妙味があると思う。照ノ富士がギリギリの状態で横綱を張っていてくれる間に、“番付の権威“を取り戻してほしい。

とは言え、嬉しいニュースは、怪我で序の口まで落ちていた炎鵬が復帰、ここまで3勝1敗。前々場所、新入幕力士として110年ぶりに優勝したものの、その時の負傷の影響で休場していた尊富士が中日から復帰して快勝。それにしても、負けたモンゴル出身の阿武剋(おうのかつ)は、学生横綱を経て、昨年11月場所デビュー。一気に十両筆頭まで上がってきて6勝2敗。またも、チョンマゲすら結えない力士が活躍している。

後半の土俵、暑さを凌駕するような熱戦を期待する





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