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著…梶井基次郎 絵…げみ『檸檬』

 お金も無い。

 健康にも恵まれない。

 そんな主人公の物語。

 彼の心は「えたいの知れない不吉な塊」におさえつけられています。

 以前は好きだったはずの音楽にも、詩にも、画本にも、喜ばなくなっていました。

 現実は、ただぼんやりと辛い。

 だから、自分が生きている場所ではないどこかへと、心は翔んでいきます。

 現実と空想の境目も曖昧になっていきます。

 そんな中、彼は「檸檬」と出会います。

 鬱屈した彼の世界に突如現れた、鮮やかな「檸檬」。

 死の影がまとわりついている彼の心身に、エネルギーが立ち昇っていく瞬間の描写が素敵。

 イラストもこの小説ととても合っていて美しく、この本を読むとセンチメンタルな気分に浸れます。

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